F先生の返信 3
太田 俊哉様
お手紙ありがとうございます。
「金魔女」の説明、楽しく拝見しました。最後の真相部分を伏せてあるあたりが良いですね。でもそれはいったい誰に配慮したものだったのでしょう(笑)。
それはさておき、謎の占い師の件ですが、やはりご自身で直接確かめることにされたのですね。太田様の心情はとてもよくわかります。これだけいろんな情報を入手してしまったら行動せざるをえないでしょう。たぶん私も同じ状況に置かれれば間違いなく会いに行きます。うん、やはりここは行くしかないですね。
とはいえやはり懸念はあります。前回の手紙で忠告めいたことをくどくど書いたので今回は一つだけ。先に出向かれた先輩の「パーフェクトな未来予知だった」という報告が引っかかります。
占いと未来予知は別物です。ムラサキがそうであったように、占い師は事前の情報収集や相手の出方に応じた話術の使い分けを上手く行うことにより、相談者の身辺に関する様々な事象を言い当てます。ただし占い師として当ててよいのは確定済みの過去の出来事に限られます。占い師は未来については曖昧にしか語りません、いや曖昧にしか語ってはいけないのです。その曖昧な未来をより良い未来にするためのアドバイスをします。それをインチキと非難する人もいますが、依頼者の心配事が解消されたり、将来への展望が開かれるのであれば何の問題もありません。占いとはそういうものだからです。それをインチキと言われるのはその占い師の腕が悪いのです。ムラサキはその手法を犯罪のために利用したので論外ではありますが、使い方によっては、悩める相談者への有用な助言となるであろうことは想像できると思います。
また話がくどくなりました。まとめます。
まっとうな占い師は未来予知などしないということを覚えておいてください。未来についてはあくまでも助言を与えるだけ、というのが占い師の役割です。
あと、入会とか契約とかの話が出てきた場合は、安易な返事をしてしまわないようご注意ください。もしボイスレコーダーをお持ちでしたら、占い師とのやり取りを録音しておくことをお勧めします。リアルタイムでは気づかないことも、あとで冷静に振り返れば、おかしな点や矛盾点などを見つけられるかもしれません。
報告を待ちしています。
F拝
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