第49話

「あくまで9歳と言われるのですね?」


「本当の事だもの。9歳に見えない?」


「姫様は小柄なのでもう少し小さくてもおかしくないかと…」




管理番が口を挟む。


忘れてました。管理番。居たのね…そして、ありがとう、かばってくれてさっきから助かるわ


管理番が口を挟んでくれたので、自信を持って返事を返す。


「でしょう?」




「私と対等に取引をする9歳… 私は城下でも上から数えられる商人なのですが…自信をなくします。それに、姫様は学校へ通われていないと…何も学ばれていないのに…」




商人が何となくしょんぼりと肩を落としている。


悪い事したかな…でも、私の快適なスローライフにこの取引は必要な事だし…そう思うも何となく悪いことをした気分になる。


「商人、学ぶのは学校だけではないわ。本を読んだり人を観察したり、想像したり、できる事はたくさんあるのよ」


「つまり、自分で勉強したと言われるのですか?」


「時間はたくさんあるからね。」


「そうですか」


釈然としないようだがそこは追求しない。


自分で穴に埋まる気はないのだ。




「それよりも、契約書を作りましょうか。それから説明するわ。管理番、紙を用意してくれる?その間に商人に調理法だけ説明していくわ」


「かしこまりました」


二人は揃って声を上げた。




「これでよろしいでしょうか?」


管理番に代筆してもらって契約書を作る。大事なものは第三者がいたほうが良い。




内容の確認をすると、取り分は五分であること、支払いは私の希望した商品で払う事。月に一度明細を出す事、などと書いてある。




「明細?」


横に立つ管理番を見上げると、頷かれた。


「必要です。姫様は信用するとおっしゃいましたが、私も商人が誤魔化すとは思いませんが、明確な数字で出すと嘘がつけませんし、悪い心も出てきません。」


「悪い心…」


なるほど、数字を出さないと誤魔化そうと思うも気持ちが出てくるかもしれない、それを無くそうということね…確かに、大事かも


「ありがとう管理番。確かに大事なことだわ。私も必要だと思う。商人、かまわない?」


「気を悪くしないで欲しい」


私と管理番からの問いかけに商人も同意した。




「もちろんです。私もお願いしようと思っていました」


「なら問題ないわね。商人も見てちょうだい」


契約書を渡す


「拝見します」


商人も読み込み。合意の上でお互いサインをする




「これで成立ね」


「はい、よろしくお願いします」




私の快適なスローライフにまた一歩近づいた。


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