第7話
私は今までの事に想いを巡らせ、これからの事を考える。
そう、生活に不満がないといえば嘘になるが、この生活を放棄するほどの不満があるかと言えば、そこまでではない。
快適な生活を求める私としては改善できる不満はなるべく改善したいと思っている。
「さて、どうしようか?」
不満改善の方法に思いを馳せる。
本のページは1ページも進んでいない。
「お茶をお入れしましょうか?」
珍しく声がかかる。
私は驚いて顔を上げた。
ドアの前にはニコリともしない侍女がいた。
「お茶をお入れしますか?」
もう一度侍女から声をかけられる。
私は頷きながらお願いする。
「ありがとう、お願いするわ」
珍しいと思いながら、表情に出さないように注意する。
話が広がると良いなと、思いながら私から話しかけてみる。
話の始まりは雑談が一番だ。
「今日はいい天気ね。最近は天気も良いし過ごしやすくて良いわね」
「そうですね。このまま過ごしやすいと良いのですが」
可もなく不可もなく、当たり障りのない返事が返ってくる。
私は返事が返ってきた事に少し驚いた。
今までも返事はあったが短い単語のみのものだったからだ。
どうしたんだろう…
本人に聞くわけにもいかず、不思議な思いを
表情に出さないように気をつけながら、出されたお茶を飲む。
普段から会話をする事が無いから話題が思いつかない。
話題、話題…
なんだろう…
普通なら共通の知人とか、食べ物の事とか?
そうだ、お菓子のこととか聞いてみようか
「美味しいお茶ね、どこのお茶なのかしら?合わせてあるお菓子は、厨房でつくられてるの?」
「お茶はハーブティーになります。お菓子も厨房で作られたものです。」
あら、返事が来た。
私は2度目の驚きを感じながらうなずきを返す。
すごい、どういう風の吹き回しだろう…
何か理由があるのかしら?
返事がある事に理由があるのだろうと、考えてしまい、素直に喜べない自分に悲しさを覚えつつ、理由を考えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます