第6話
私が勢いと共に自分が行くと話していると、父や宰相達は黙っていた。
理屈で考えると私が言うことは正しいのはわかっていても、素直に頷くことができないのだろう。
返事もできずに私を見ている父達を私は見つめ返し、逆に聞き返す。
「では、誰に行ってもらうのですか?」
父達からは話し合っていると、と返ってきた。
私はため息が出た。どれだけ話し合おうとも、結論は変わらないし、返答が遅ければ大国を怒らせてしまう。そんなことは避けなければならないのに。
「どれだけ話し合っても同じではないですか?兄や弟は論外。姉様は縁談が来ていると聞いています。それとも、従兄弟達にお願いするのですか?その辺はあちら側が了承しないと思いますが?」
「…」
父達からは返事がない。
私は額に手を付きもう一度ため息をつく
「もう一度、言います。私が行きます。私しかいないのです。王位継承権がない。周辺国との関係性も私にはまだありません。弟はまだ生まれたばかり。留学という名目には合いません。言葉は悪いですが、従兄弟達と私が行くのではあちら側の印象が違います。言ってはなんですが私は父の娘ですので… それに、これは私が言い出したこと。強要されて行くわけではないのです。」
「…」
返事はない、私は言葉を変えることにした。
「言い方を変えます。私はあの国に興味があります。かの国で勉強をしてみたいです。ですから、留学させてください。お願いします」
私は笑顔で言いきった。
父が私を見つめ返す。
「本当に行きたいのか?一人で行くことになるのだぞ。良いのか?」
「はい、私に行かせてください。お願いします。かの国に行ってみたいのです。」
私はスカートの裾を摘み淑女の礼をする。
「解った。あちらにはそなたが行くことを伝えよう」
渋い顔をしながら父が決断を下す。 宰相達がざわめいたが父が宰相達を黙らせた。
一瞬で場が静かになる。
「ありがとうございます」
私は笑みを崩すことなく頷いて見せた。
この会議の半年後私は大国へ旅立つ事となる。
あの会議の後はバタバタしたなぁ
大国の方へ私が行くことを伝え、あちらからの了承の返事をもらい。
荷物の用意、護衛の選定、旅程の確認、私の住む場所の用意をしてもらったり。
1番残念だったのは、6歳の私に通える学校が無かったこと…
正確には女性の通える学校は無かったのよね…
計算外だった…
しかし留学が名目だったのに学校に通えないって、意味ないよね…
留学自体は名目だったから人質が来れば問題なかったのかな…
「学校は男の人しか通えないって、なんでかな~、もしかして、他国の女性は通えない、とか?」
この離れから出られない私は事実を確認する方法はない
そう、学校に通えない私はこの離れから出られない事になる。
「まぁ、わからないことを考えても仕方がないけど」
私はもう一度呟いた。
こちらに着いてからはお約束の流れだ。
こちらの陛下に挨拶をし、学校に通えないことを伝えられ、せっかく来たからゆっくりしていけと、表向きの誘いを受ける。
その後はこの離れの逗留をとなり、後はそのまま2年が過ぎる、となる。
最低限の話をするだけの侍女や衛兵がいるだけで、特に揉め事もなく穏やかに過ぎていく。
これはこれで悪くはない。
スローライフを望む私としてからはウエルカムな流れだ。
出来るなら、もう少し自由が欲しい。
庭や図書室、街に気軽に出かけたい。
護衛が付くことは諦めるから、少し自由に出られたら嬉しいな…
もしくは、挨拶と必要事項以外の、世間話が出来る相手が欲しいな…
「どうにかならないかな…」
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