第5話
私は本を開き読む振りをしながら、つらつらと考え事をする。
完全なインドアだった私の趣味は、料理、読書、アニメ、ゲーム、音楽を聞くこと、映画、旅行等である。
読書、アニメ、ゲームで理解できると思うが、私はオタクの一人である。
旅行もアニメやゲームの場所や舞台を見に行くために出かけるようなものだ。
その私が異世界転生して、ヤッターと思わないはずがない。
5歳で記憶が戻ったとき自分の頬を抓ったものだ。
現実だと気がついて、自分の立場を確認したときは、喜びを静かに噛み締めた。
人の目があったから叫ぶわけにはいかなかったのだ。
そこまではよかった。
王女の一人。
小さな国の3番目の王女としてそれなりの生活を送っていた。
前の生活と比べると諦めざるをえないことがたくさんあったが、それでもまぁ納得出来る生活だった。
それが一変することが起きる。
私たちが逆らうことのできないほどの大国から人質をだせと言われたのだ。
正確には人質とは言われなかった。
国同士の交流のために子供の一人を留学させないか?と誘われたのだ。
自分の国の子供達は適当な理由をつけ留学させないのに、私たちの方には期限をつけてきた。
この日までに留学させろと…
これを人質といわず何と言うのか…
もちろん、国は大騒ぎだ。
誰を行かせるか、大いに揉めた。
あまりのもめっぷりに家族関係が破綻すると心配した私は自ら名乗り出た。
「私が行きます」
そう名乗り出たのだ。
そう、私は自ら志願した。
「私が留学に行きます」
御前会議を行っている会議室に乗り込んだのだ。
当時、私は6歳。
記憶が戻って1年後の事だった。
6歳の子供の言うことだ、勿論周りは納得しない
というか、苦笑いだった。
王国だけあって宰相や大臣達は身内や知り合いだらけ
何もわからない子供がわかった振りをしているのだろう
親や周りの注目を集めたいのだろうと…そういう眼差しだった。
そこで、私はぶちまけたのである。
私が留学するメリットを私しかできないだろうと言うことを
・私は3番目の子供で女であるため、王位継承権がないこと
・上に2人、兄と姉が1人ずついるため、周辺国との縁組には支障が少ないだろうと言うこと
兄達とは3歳程しか離れていないからだ
・下の弟は1人しかいない、王位継承権第2位だ、兄に何かあった事を考えると国から出すわけにはいかない。
加えてまだ1歳の赤ちゃんだ。言葉も喋れない赤子に留学なんて出来るわけがない
そして赤ちゃんを親元から引き離すなんてできないし、したくない。
私の心情的にも無理だ。
そんなことをするくらいなら私が行く。
そう考えると私しかいないのだ
私は熱弁を奮った
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