第4話

今日も今日とて終わりのない生活が始まる。


選択肢の少ない中で、消去法でやる事を決めていく。


そうでなければ、する事を決められないという方が正しいだろう。




食事のあと侍女が本を持ってきてくれた。


お礼を言って受け取る。


彼女は頭を下げ部屋から出ていった。




部屋の中にいるときは侍女たちは出ていく。


私を見張る必要がないからだ。


出口は庭に通じる大きな窓と、部屋の出入り口だけ。


庭が大きいと言うのもあるが、庭の先は森になっており、私みたいな小さな子供ではすぐに迷子になってしまうほどの森だ。


そして、護衛と称した見張りの騎士が窓の外には二人おり、部屋の前には待機部屋があり、用事があればと、侍女がこちらも2人控えている。


つまり、8歳の子供のために大人が四人控えている、ということになる。


人質の王女、しかも8歳になんともご苦労なことだ。




人件費がもったいないなぁ〜


なんて思うのは、前の生活が庶民だからだろう。




私はつらつらとそんな事を考えながら本を開く。




この本は薬草の本だ。


この世界では娯楽が少ない。


前の生活ほど機械も電気もない。


ついでに魔法もない。


ファンタジーが好きだった私からしたらがっかりだ 残念でならない。




「魔法を見てキャーってしたかったのになぁ」


誰もいないことを良い事に私は呟いた。

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