第38話
明日から試験的にシャワー室を使う事になった。
これで問題点やクレームなどが出れば、そこを改善して本格的に運用をすればよいと思う。そのあたりの事は荷物の入れ替えが終了した時点でおじさん達にも説明している。
今までに何日もかけて話し合いをしているので信用してもらえて来ているみたいだ、試験運用に対しておじさん達からの反発はなかった。ありがたい事だ。
試験運用なのでお客様から料金はもらわない。代わりに問題点や良かったことを教えてもらう予定だ。何も反応がない事が一番の心配だ。少しでもいいから反応をもらいたい。
おじさんたち全員にどんな小さなことでもいいのでコメントを聞いてもらうように説明している。時に問題が無いと言われた場合は、話を振ってコメントを引き出すように伝えている。始めての事なので上手くいくか分からないが、やってみない事には、どうにも事は動かないので、やってみることになった。
前のおじさん達なら反発しかなかったと思うけど、今は話し合いをすれば動いてくれるので大きな進歩だ。
わたしも少しは信用してもらえているのだと思いたい。
とりあえず今日は終了となった。部屋や荷物の配置換えも終わったし、試験運用も決まった。わたしは特にする事もないので、ひとまず最終チェックをして帰宅する。明日はから数日はお休みだ。試験運用はすぐに結果は出ないので、ひとまず3日ぐらいは運用して、その後に意見をまとめることになっている。
これで1回目の結果が出る形になる。
わたしに対する評価も一度出ることになるだろう。
わたしからしても運命の審判という事になるだろうか。不安が胸にのしかかってくる。
自分への評価に緊張するのも無理のない事だと自分でも思っている。
前の仕事ではこんな風に自分自身で全責任を持つことは無かった。上司がいて同僚がいて予算があってその中で何事も済ませればよかった。結果も自身の会社に関わる事だけで他社に関わる責任問題が発生する事もなかっしクレームを受けることの少ない部署だったので自分に対する評価を直接聞くことも少なかったように思うし、そう考えると前は守られていたのだと思う。
一人で立ってみて上司のありがたさを感じることになるなんて思ってもいなかった。
わたしは改めて今自分がしようとしているコンサルティングの難しさと、一人で仕事をするという大きな責任を感じていた。
だが、いまさらそんな泣き言は言っていられない。自分で始めた事だ最後まで走り抜けるしかないだろう。自分にできるここを頑張るだけだ。ダメだった時はその時に改めて考えることにしよう。
わたしはそこまで決めると帰りの挨拶と3日後に来る事をおじさん達にして、帰宅する事にした。
おじさん達も新しい事が始まるので期待と緊張が混ざっている様だ、少し硬い表情を見せていたが頷いてくれたのでそれ以上は言わない事にする。
緊張しているときにいろいろ言われると混乱して変なことをすることもある。
そんな事になれば目も当てられない。激励だけして帰宅した。後は神のみぞ知る、というやつである。
幸運を祈ろう。
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