第5話
「あのね。家の宿屋なんだけど、最近お客さんが減ってきてるの。すごく減ってるわけじゃないのよ?いつもより少し少ないなって感じなの。ただ、このまま減ったら大変だってお父さん達が話してたから。心配になって」
「そうなんだ。それは心配だよね。無理もないと思う。原因に心当たりはあるの?」
「うん。近くにね。新しい宿屋ができたの。最近できたから、ウチより綺麗でしょ?値段も少し高いだけみたいだから。新しい方を選ぶ人も出てるみたいで」
「なるほどね。それは確かに困り事だね」
私がそう呟いたときに先生が入って来た。授業が始まるみたいだ。
「帰りは一緒に帰ろう?その時までに考えてみる」
それだけをリサに言うと席に戻った。
学校の授業はそう難しいものではない。簡単な足し算や引き算。後は文字の練習とかである。
学校も毎日あるわけではないし、時間も昼前後に終わる事が多い。前の生活のようにきっちりとしたカリキュラムではないのだ。
私からしたら楽勝な内容な事が多い。やりすぎると大変なことになりそうなので、適当に手を抜いて授業を受ける事にしているのだ。
目立つのはありがたくない。遠慮したい案件だ。
そのおかげで授業内容は真面目に聞かなくても大丈夫。私はリサの話を考えることにした。
問題をまとめてみよう。
① 宿屋の近くに新しい宿屋が出来た。
② お客さんが少なくなってきた。
③ 値段は新しい宿屋の方が少し高いらしい
話としてはこれだけだった。総体的にお客さんが少なくなっているから今後が心配、という事で良いだろう。
なら、どうすればお客さんが帰ってくるか、という事になる。
私が客の立場で考えてみよう。
なにが嬉しいか、泊まる時の決めてを考えてみる。
私が泊まるなら
① 値段
② 利便性
③ アメニティ
④ 食事の有無
⑤ ポイント
この辺を総合して納得できる所に泊まるかな。ただ今の生活ではアメニティとポイントはないはずだから考えるべきは、値段、利便性、食事になると思う。
リサの所は食事はできるのかな?食べるなら美味しい所がいいだろうし。その辺は聞いてみないとわからないよね。
リサのお父さんたちに話を聞いてみたい。
やっぱり本人たちの意見も大事だし。
現場でなければわからないことも多いはずだ。机上の空論で物事を決めつけるのは良くない。
私は帰りにリサの家に寄れないか、本人達に話を聞けないかリサに聞いてみることにした。
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