第4話
「おはよう」
「おはよう。なんか機嫌が良いみたいだね」
わたしはまだ学生なので当然、学校に来ていた。
目の前にはクラスメイトのリサがいる。彼女とは学校で仲良くなったのだが、話しやすいので付き合いやすいのだ。1年生からずっと付き合いが続いている。
何となく中が良いままで来ているのでありがたい存在だ。
彼女のお家は宿屋でリサもお家の手伝いを結構していて、彼女は私と反対で早くお嫁さんになりたい願望がある。ちなみに旦那さんになる人の希望は優しい人、ではなく話し合いのできる人、なのだそうだ。
話し合いができれば大抵のことは片付くとの持論だ。
そして私もその意見には同意ができると思っている。
「ねえ、なんか困った事はない?」
機嫌が良いとの言葉に乗って軽く話を持ちかけてみた。小さな困り事を解決して実績を作ろうと思っていたので、早速実行してみる。とりあえずは近しい人からの困り事を手掛けてみようとの企みだ。
そう言うと聞こえは良いが、単にどこから手を付けて良いのかわからないのと、宣伝費もないので、口コミで噂が広がれば良いな、と思っての単純な話を実行しただけのことだ。
「困り事?」
リサは私の言葉に首を傾げる。
急に何を言い出すのかと思ったのだろう、不思議そうな様子だ。
無理もないと思う。学校の友達に『困り事なんかある?』なんて聞かれるとは思わないと思う。私が逆の立場なら急になに?と思うのは間違いないはずだ。
「変な事を聞くのね?何かあるの?」
「んん。ちょっとね。私の将来のために、かな?」
「何それ?」
リサは不思議そうな顔をする。私の予想が当たった形だ。私の将来のために、と言われても理解は出来ないはず。リサは結婚願望がある。私のバリキャリ志望を聞いても理解は出来ないだろう。そこを説明して同意を得られるだろうか?
「まあ、いろいろ考えていると言うことにしておいてくれる?」
「変なの。でも、困り事ならあるわ」
期待のできる返事が来る
私は期待に胸を膨らませつつ先を促した。
「何があるの?教えて」
「私の旦那さん候補。どんな人が来るのか気になってるのよね。どんな人が来ると思う?」
「それってまだ先の話だよね?話そのものが来てないんじゃないの?」
「そうだけど、気になるじゃない?」
私はがっくりとうなだれてしまった。
リサは逆に唇を尖らせ不満顔だ。
「困り事、って言ったじゃない?私の困り事よ?違うの?」
「そうだけど、そうなんだけど。もっと違う方向性を思ってたから」
「違う方向って、どんな方向よ?」
私の説明不足かも。困り事と言われれば自分の事を持ち出すのは普通だった。反省しよう
「そうね。何て言えば良いのか。個人じゃなくて、会社というか、お店単位というか。家族単位とか。そんな感じかな?」
「お店の困り事?会社ってなに?」
「会社は商店の事よ。例えばリサの宿屋で困ってることとかない?その方がわかりやすいかな」
私は会社と迂闊に口にしたこと反省しながら、リサの家業に限定して話すことにした。その方がわかりやすいと思ったからだ。その言葉にリサが反応して下を向いた。
「それって、何でも良いの?」
「もちろんよ。相談に乗るわ」
私はどんな内容か気になりつつ身を乗り出した。
「聞かせて?」
リサは本当に困っているのか目尻がさがり切っていた、
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