記録:あー、うー、病院船

「この病院船には末期のつくりやまいに罹った人が乗せられているの…ピーガー機器の状態が悪いみたいね…ここんところ、自分のつくりやまいに飲まれて次々に亡くなって、もう残り少ないみたい…ピー私もどうなるかわからないから今のうちに言っておくわ。クソッタレだったけど、知り合いも増えたし、おしゃべりも楽しかった。看護ロボットにはご苦労さんって言いたいわ。みんなが言うにはつくりやまいの力で転生できるって信じてるけど、私はガーもうたくさん。昔の人がドジったのかは知らないけれど、よくもこんなもの残してくれたわね。感謝と憎悪がない混ぜよ。ロボットの挙動もたまにおかしくなるって、コイツらもやまいに罹っているのかしらね。世界を丸ごと変えてくれない限り、何かしらの希望が灯らない限り、もう何もいりません。どうぴーぞまるっとお引き取りください。クソっ、眠くなってきた…私だって、…おさんぽして…好きなものいっぱい食べ…寂しい…眠…」


 ピーガーガーガー


 ギュルルルルルル


 あ


 ピーピーピーピー


(雑音の中でマイクが偶然拾った音声)

「あー、あー、う?あー、うー?」

(カメラ)ひとり、つくりやまいと戯れる赤子

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