天井が見える。知らない天井。ここが天国でないことは僕にもわかる。

 そう僕は動けなかったんだ、足がすくんでしまって。そのまま凍えて死ねるかもしれないなどと、甘いことを考えていた。立っていられなくて、しゃがみこんんで。声が聞こえたんだ、背中の方から。なんかわけが分からず涙が出てきた。そして背中に暖かいものを感じた。

「別にいいんですよ」

「もう少しここにいましょうか」

 やさしい声だ、僕はそう思った。

 部屋のドアが開いた。長い髪の女性がこっちをのぞいている。

「目が覚めました」

 僕は起き上がろうとしたけれど、起き上がれない。何かを言おうとするのに、声が出てこない。まだ僕は、夢の中にいるのだろうか。

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