2
天井が見える。知らない天井。ここが天国でないことは僕にもわかる。
そう僕は動けなかったんだ、足がすくんでしまって。そのまま凍えて死ねるかもしれないなどと、甘いことを考えていた。立っていられなくて、しゃがみこんんで。声が聞こえたんだ、背中の方から。なんかわけが分からず涙が出てきた。そして背中に暖かいものを感じた。
「別にいいんですよ」
「もう少しここにいましょうか」
やさしい声だ、僕はそう思った。
部屋のドアが開いた。長い髪の女性がこっちをのぞいている。
「目が覚めました」
僕は起き上がろうとしたけれど、起き上がれない。何かを言おうとするのに、声が出てこない。まだ僕は、夢の中にいるのだろうか。
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