僕の選択

阿紋

 寒いけれどよく晴れている。風は強い。さっき食堂のおばちゃんにきいたら、この辺はほとんど雪は降らないらしい。

 アジフライに豚汁とご飯。本当にそれでよかったのかな。すごく美味かったけれど。

 海がよく見える崖の上に立つ。あの海の向こうはどこにつづいているのだろう。アメリカ、それともチリか。ふと爺さんが、チリ津波のことを話していたことを思い出す。

 この期に及んで爺さんか。他には誰の顔も浮かばない。彼女の顔も。思い出さなくていいんだ。今更思い出したところで…

 なんかまずいなと、思わず下をのぞいてしまった。何とも情けないやつだ。そう思いながら崖にぶつかる白波を見ている。

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