第15話
次の日になって、僕ことエリスは、朝早くに目が覚めました。外の天気を見てみると、雪が降っていなく、快晴でいい天気だった。
確か……今日は、幻想楽団”ファントム”で、踊る事になっているので、とりあえず……顔を洗う為、洗面所に向かった。
洗面所で顔を洗い、身だしなみをチェックし、食卓に行くと、もう既に家族が集まっていて、僕に向かって
「おはよう、エリス」
「エリスちゃん、おはよう、朝食出来てるから、一緒に食べましょうね?」
「あ、はい」
そう言って、僕も席に着いた。出された朝食を見てみると、なんかピザっぽい物があった。
気になったので、切り分けているマリエスに
「あの……これって、ピザ?」
僕がそう聞いてみると、マリエスは
「お嬢様、これはピッツアと言う、南の国の郷土料理です」
「そうなんだ」
ピッツア……やはりピザなのかなあ~と思いながら、お皿にマリエスがピッツアの切れ端を乗せる。チーズにベーコン? を混ぜ込んであって、見た目はそのままピザだった。
結構おいしそうなので、早速食べてみると、やっぱりと言うか、ピザの懐かしい味がした。
うん、はっきり言うと、結構美味しい。これなら、何枚でも食べられそうだけど……でも一枚しか用意していないみたいだし、ここは我慢するしかないかな?そんな事を考えながら、あっという間に食べ終わり、一旦、部屋に戻った後、窓を開けてみると、寒く感じる事はなく、それでも厚着をして、外に出かける事にした。
外に出て、幻想楽団の小屋がある場所に向かい、その場所に辿り着くと、幻想楽団で歌姫と言われている、ミレーヌさんが僕の姿を見て
「あ、おはよう、エリスちゃん、今日は宜しくお願いするね?」
僕にそう言ってきたので、僕も
「宜しくお願いします」
「じゃあ、早速ステージ衣装に着替えましょうか」
「あ、はい」
そう言って、ミレーヌさんに案内されて、小屋の中に入り「着替え、手伝ってあげるわね?」と言って、着てる服を脱がされて、ステージ衣装と思われる、フリルのついた黒色のドレスみたいな物だった。これってゴスロリっぽい衣装なのかな?なんか見た目がそんな感じがする。
それに黒のヘアアクセサリーを装着されて、鏡を見てみると、妖艶?な感じの僕が写っていた。まあ、子供なので胸の発育はないから、色気が足りないって感じだけど……
これが成長したら、妖艶な感じになるのかな?
ミレーヌさんを見てみると、水色のドレスで胸元が開いているので、かなり色っぽかった。
「うん、似合ってるわよ? エリスちゃん」
「ミレーヌさんも、似合ってます」
「まあね、さあ、もうすぐ本番が始まるから、行くわよ?」
「あ、はい」
本番と聞いて、ちょっとどきどきしたけど、昨日練習したので、大丈夫……と、そう思う事にした。そして、時間が経過して、ステージ上に音楽を弾く数人のメンバーと、ミレーヌさん、そして、僕が躍り出る。
ミレーヌさんが、集まっている観客に向かって
「皆、幻想楽団ファントムを見に来てくれてありがとう、今日は昨日と違い、特別ゲスト、小さな妖精、リトル・プリンセスと一緒に公演します、では聞いて下さい!」
リトル・プリンセス……僕の事なのかも……と、そう思っていると、音楽が鳴り出し、ミレーヌさんが歌いだす。僕も音楽に合わせて踊って、ミレーヌさんに合わせるように歌い出す。
大きめに歌わないと、奥まで届きそうに無かったので、大きめな声で歌う事にした。
何とかステージを盛り上げる事に成功した。
あっという間に時間が経って、歌が終わり、ミレーヌさんが
「ご静聴ありがとうございました!」
そう言うと、観客から拍手喝采を受け、僕とミレーヌさんは、それに答えるように手を振った。公演が終わり、ステージ衣装を脱いで、元の服に戻った後、団長のロイドさんが
「お疲れ様、今日は大成功だった、ありがとう」
お礼を言ってきた。
「いえ、お役に立てて何よりです」
「うん、本当にありがとうね? エリスちゃん」
「こっちこそ、楽しかったです、あの……明日も公演するんですか?」
そう聞いてみると
「いや、明日は別の国で公演する予定なんだ、だから今日がこの国で最後の公演だな」
「そうなんですか……」
「また、この国にやってくるわ、その時にまた会いましょう?」
ミレーヌさんが、そう言ってきたので、僕は
「あ、はい!」
「じゃあ、次の国に出発だ」
「じゃあ、さようなら、エリスちゃん」
団長がそう言うと、一人の魔術師みたいな人が出てきて、杖を振って、呪文らしき言葉を言うと、幻想楽団の人達の足元に、巨大な魔方陣が形成され、そして一瞬でその場から消滅した。
「今の……もしかして、転移魔法?初めて見た……」
転移魔法があると言う事は、僕にも覚えられる可能性があると言う事で、でも、何の魔術書に載ってるんだろう……と、考えたけど、解らなかったので、覚える事があったら、探して覚えるぞ!と決意して、家に戻る事にしました。
家に戻ると、マリエスが
「お嬢様、素晴らしかったです」
「え、見に来てたの?」
「はい、まさかお嬢様があそこまで踊れたり歌えるとは思いませんでした、また披露する事はあるのでしょうか?」
「いや、それは分からないよ……そのような予定とか決まってないしね?」
「そうですか……それではお嬢様、食事の用意が出来てますので、ご案内致しますね」
「うん、分かった」
僕はマリエスにそう返事をする。
それにしても……幻想楽団ファントム、また会えるのかな?と、思っていたのでした。
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