第14話

エリス=僕の誕生日から次の日、朝早くに目覚めた僕は、部屋の中を見て驚いてしまった。

何故なら、沢山のプレゼントの箱が置いてあったからである。

多分と言うか、寝ている間に誰かが、部屋の中に運んできたと思う……とりあえず……箱の中身を確かめる作業をする事にした。

箱をあけていくと、中身は女の子がつけそうなアクセサリーばっかりで、これ……付けなきゃ駄目かな……と、そう思ってしまった。

このリボンを装備した僕の姿を想像してみる。

うん……絶対に可愛いと思う。だって、母親のアリサ母だってかなりの美人さんだしね……まあ、装備するかは、気が変わったら、付ける事になるのかも知れないかな……?

そう思いながら、他のを調べてみると、中には、リボンやら宝石のついた指輪も入っていて、指輪って、サイズ合うのか?と疑問に思うのだけれど、紙が添えられていて、内容は「ヒーリングリング、ダメージを受けた時、少量の傷を治す事が出来る」と書かれてあったので、これはいい物なのかなあ……? 確かに回復する指輪と言うのは、ちょっとお得に感じるけど?

とりあえず……サイズ的に、小指にはまりそうだったので、小指に装着した。

届けられた箱を全て開けたあと、結構時間が経過したらしく、日が昇り始めていた。

結構な時間を使ってしまったので、お腹がすいたので、部屋を出て、洗面所に行き、顔を洗って、食卓に向かった。


食卓に辿り着くと、エリック父もアリサ母もいなく、マリエスが掃除をしていて、僕はマリエスに話しかける。


「おはよう、マリエス……」


「あ、おはようございます、と言っても、もうお昼近いですよ?お嬢様」


「そうなんだ……あの、お腹がすいたんだけど……」


「そうですか、じゃあ今から、用意しますので、少々お待ち下さい」


「うん、解った」


そう言って、椅子に座り、待つ事にした。

しばらく待った後、お昼近いと言っていたので、昼食が運ばれてきた。

中身は、パンとシチュー的な物で、マリエスが「パンに付けて食べるといいですよ?」と言ってきたので、パンに付けて食べてみると、おいしかった。あっという間に食べ終わって、どうするか考えて……部屋に戻る事にした。

エリスの部屋に戻り、外の天気を見てみると、今日は雪が降っていないのか、快晴でいい天気だった。じゃあ、外に出てみようかな……? と思い、冬日なので、温かい服装に着替えた後、外に出かける準備をして、マリエスに「外に出ます」と言うと、マリエスが「お嬢様、国の外に出てはいけませんよ?」と言ってきたので「解った、じゃあ、行って来ます」と言って、外に出る事にした。

ジラード家から外に出て、まずどうしようかな?考えてから、広場に向かってみる事にした。広場に辿り着くと、夏日だと出店を開いているのだけど、今は冬日なので、出店が出ていなく、広々としていた。

人が少なく、何かないのかな……と、探していると、どこからか歌が聞こえてきた。歌が聞こえてきたのが気になったので、聞こえる方に行ってみると、人が集まっている所を発見。

近くで見てみると、ステージらしき小屋に、一人の女性が、踊りながら歌を歌っているのを発見した。

顔を見てみると、水色の髪をした女性で、歌を歌い続けている。

結構美人で、男の観客から、ヒューヒューとか聞こえて来た。その周りには、楽器を使って、音楽を奏でている者達が数人いて、ちょっとかっこよかった。あれってギターみたいな形してるけど、ギターなのかなあ?

歌が終わった後、女性が


「ご清聴ありがとうございました、次の講演は、明日となっております、幻想楽団”ファントム”をよろしくお願いします」


彼女がそう言うと、見ていた観客が拍手喝采だった。ステージが終わったらしく、観客が移動を始めて、人が少なくなっていく。僕も移動しようかな?と思い、移動しようとすると、さっき歌っていた女性が、僕の所にやって来て、話しかけてきた。


「お嬢ちゃん、聴きに来てくれたのかな?」


そう言って来たので、僕は


「いえ、途中までしか聞けなかったです、あの……」


「ん? な~に?」


「歌声、綺麗で、とっても素敵でした」


「ありがとう、明日もこの場所で公演するから、よかったら聴きに来てね?」


「あ、はい」


そう話していると、さっき楽器を弾いていた男がやって来て、僕の姿を見た後


「うむ……そうだ、君、ミレーヌと一緒に公演してみるかい?」


「団長、それは……」


「まあいいじゃないか、君、名前は?」


「あ、エリス・ジラードです」


「じゃあ、エリス、私はこの幻想楽団ファントムの団長、ロイドだ、で、我が楽団の歌い手のミレーヌだ」


「ミレーヌよ? よろしく」


「ミレーヌは、この楽団では、まあ歌姫みたいなものだな」


「もう、団長、何言ってるんですか……」


「で……ミレーヌ、せっかくこの国にやって来たのだし、現地の子と一緒に競演と言うのもいいのじゃないか?」


「はあ……それはいいかもですが、エリスちゃん、それで構わない?」


ミレーヌさんがそう聞いてきたので、僕はどうしようかと迷った。でも、せっかく誘ってくれたんだし、断るのも悪いかな?と思い


「あの……引き受けてもいいですか?」


そう言うと、団長のロイドさんが


「そうか! じゃあ、エリス君、よろしく頼む」


「ありがとう、エリスちゃん、じゃあ次は明日の公演だから、そうね……エリスちゃんには、歌に合わせて踊って貰おうかしらね?それでいいかしら? エリスちゃん」


「あ、はい、構わないです、あ、でも踊りってどうすればいいですかね?あと歌を歌うのもどんな歌なのかも知らないですし」


「それは大丈夫よ、踊りと歌を私が教えるわね?


「じゃあ、決まりだな?早速明日の打ち合わせをしよう、付いて来なさい、エリス君」


団長のロイドさんがそう言ったので、僕はその後について行き、練習場所と団長が言った場所で、踊りの振り付けと歌の練習をする事になった。数時間の稽古が終わった後、団長のロイドさんが


「うむ、なかなかいいぞ、では明日の本番もよろしく頼む」


「お疲れ様、もうこんな時間だし、家まで送りましょうか?」


「あ、大丈夫です、家は近いので、では、お疲れ様です」


そう言って、幻想楽団の人達と別れる。

うん、なかなかいい人達で、ちょっと安心した。

あとは……明日の本番を旨く踊れるかな?と、ちょっと心配だったのでした。

一応、両親に報告しておこうっと、どんな反応するか気になるけど……見に来てくれるのかなあ?

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