第13話

冬日となって、数日が経過しました。

まず夏日と違い、気温が寒いので、温かい服装に着替えて、行動する事になっていた。いつもと同じ時間に起きて、メイドのマリエスに言われて、顔を洗い、朝食をとる為に、食卓に行くと、既にエリック父とアリサ母がいて、朝食を取っている。

僕も食卓に着き、朝食を取る。

メニューは、パンにスープと言った思いっきり洋食風なメニューで、たまには和食みたいな料理を食べたいかも……と思っていた。

まあ、前にオコメと言うのを仕入れて調理をしたけど、もうオコメも無いし、パンも美味しいので、これはこれでいっか……と、そう思う事にした。朝食を食べ終えて、今日はどうしようかな?と思っていると、アリサ母が


「エリスちゃん、今日は一緒に出かけましょう」


そう言って来る。一体何所に行くのかな……と、気になったので


「一体何所にですか?」


僕がそう聞いてみると


「教会よ?今日は、何の日か解っているよね?」


教会?何の日? ……全く解らないのだけど……今日……何かのイベントの日なのかな?

そんな事を考えたけど、全く解らなかった。


「お、おおそうか、今日はそうだったな」


エリック父もそう言っていて、ますます解らなかった。いくら考えても解らなかったので、僕は、アリサ母様に


「解らないです……教えてください」


「そうなの?覚えてないの?今日は、貴方のお誕生日よ?」


「え?そうなんですか?」


「ええ、だから最初に教会に行って、神父に報告してから、夜は誕生パーティを開くわよ」


「そうだな、じゃあ私はパーティの準備に取り掛かる事にしよう、マリエス、手伝ってくれ、そうだな……せっかくの娘の誕生日なんだ、誰か呼ぶか……」


「かしこまりました、では招待客のリストとかお作りします」


「ああ、頼むぞ」


そう言って、エリック父とマリエスが部屋から出て行った。


「じゃあ、早速準備していきましょう」


「あ、はい」


そう言った後、一度部屋に戻り、外行きの服に着替えて、アリサ母と出かける事になった。

僕の誕生日ね……その誕生日が、今日だと言う事は、僕も一つ年を取ったと言う事になるのかな?けど……全く実感が沸かないんだよね……

着ている服を脱いで、外行きの服に着替え終わり、玄関口に行くと、アリサ母がいて、こう言って来る。


「さあ、行きましょう」


そう言って、手を握ってきたので、ちょっと恥ずかしかったけど、そのまま手を繋いだまま、移動する事になった。

屋敷から外に出ると、今日は雪が降っていないけど、気温が低いので、結構寒く感じた。グランド城下町の街中を歩いて数十分、辿り着いた場所は、大きな家で、天井に鐘が備え付けられていて、見るからに教会かもって感じの家だった。その中に入ると、結構沢山の人がいて、神官服を身にまとった神父さんらしき人が、中央にいた。その後ろに人が並んでいるので、僕とエリサ母も並んで待っていると、僕達の番になったので、神父がこう言って来る。


「今日は何の御用でしょうか?」


そう言うと、アリサ母が


「今日は娘の誕生日なんです」


「そうですか、では娘さんをこちらに」


「はい、ほらエリス、神父の前に立って」


「あ、はい」


神父の前に立つと、神父が


「今日という日を迎えられておめでとう、貴女に神の祝福があらんことを願います」


そう言って、頭を撫でて来た。

とりあえず、お礼を言った方がいいのかな? と思ったので


「ありがとうございます」


僕がそう言うと、アリサ母が


「神父にご報告は済んだから、戻りましょうか」


「あ、はい」


再びアリサ母が手を握ってきたので、そのまま教会から出る事になった。教会から出た後、ちょっと気になったので、アリサ母に


「これって、誕生日の日に誰でも教会にご報告するんですか?」


「まあ、そうね? この国の慣わしとでも言うのかしら、十二歳までの子供は、誕生日になると、教会に行って神父に報告するという事になっているわ、それはどんな子供でも同じ事よ」


「そうなんだ」


「エリスちゃん、他に行きたい所あるかしら?」


そう言ってきたので、どうしようかな? と思ったけど、別に行きたい場所はなかったので


「特にないかも……」


「そう……じゃあ、戻りましょう」


アリサ母がそう決めたので、家に戻る事になった。教会に向かった後、僕とアリサ母様は、家へと戻る事にした。

家に戻ると、メイドのマリエスが「お帰りなさいませ」と言って、出迎えてくれた。


「じゃあ、私は部屋で着替えるとするわ、マリエス、一体どのくらいの人が来てるの?」


アリサ母がそう言うと、マリエスが


「そうですね、五十人程度は来ております、大広間にいます」


「そう、じゃあエリスちゃんの事、頼んだわよ」


そう言って、アリサ母は、部屋に向かってしまった。


「かしこまりました、さあ、お嬢様、着替えましょう」


「え? 着替えるって……」


「来客の方がお見えてますので、正装でお迎えするんです」


「あ、うん……」


「では、着替えのお手伝いを致しますね」


マリエスに連れられて、エリスの部屋へと向かった。エリスの部屋の中に入り、着てる服装を脱がされて、色々な色のドレスを持ってきて


「お嬢様、何色がよろしいですか?」


僕にそう聞いてくる。何色って言われても……もう着る事は確定らしく、嫌だと断る雰囲気ではなかった。じゃあ何色がいいか? と言われると……とりあえず質素な色を選ぼうかな? と思い、白色があったので


「じゃあ、白色で」


「かしこまりました」


そう言って、僕に白色のドレスを着せてきた。

身だしなみをチェックされて、マリエスが


「お似合いですよ、お嬢様」


笑顔でそう言っているので、本心でそう言っていると思う。確かに似合ってるけど……元男だった僕に言わせると、似合っていいのか……?って感じなんだけど?そう思っていると、マリエスが


「じゃあ、大広間に行きましょうか」


マリエスが、手を握ってきたので、どうやらエスコートしてくれるみたいだった。

手を離す理由もないので、そのままマリエスと一緒に移動する事にした。

移動して数分、大広間と書かれた部屋にたどり着く。中に入ると、大勢の人と、いっぱいの食事が出されてあり、よく見てみると、ドレスを着た女性が数名、あとはほとんど男性の客だった。その中にいるエリック父が僕達を見て、こう言って来る。


「エリス、お誕生日おめでとう、ささやかだが誕生パーティを開いたぞ」


とてもささやかに見えなくて、かなり豪華に見えるんだけど……あの料理とか結構豪華に見えるのは気のせい?


「エリスから、集まってくれた皆に何か一言頼むぞ」


そうエリック父が言って来る。集まってくれたって言われても、ほとんど知らない人なんだけどな……でもせっかく来てくれたんだし、とりあえず僕は


「皆さん、私の誕生日に集まってくれて、ありがとうございます」


そう言って礼をすると、拍手が巻き起こった。

知らない人からオメデトウといわれても、あんまり実感わかないけど、とりあえず言ってくれた人に「ありがとうございます」と返事をしておく事にした。出されている食材を見てみると、ケーキがあったので、チョコプレートに「エリス、誕生日オメデトウ」と書かれてある。赤色のドレス姿のアリサ母が、「ケーキに蝋燭を立てるわね?」と言って、蝋燭を八本立てて、何か呪文らしき言葉を言った後、蝋燭に灯が点火した。


「じゃあ、この火を消してね? エリスちゃん」


「はい」


こっちの世界でも、誕生日と言うのは変わらないんだなあ……と、思いながら、蝋燭の火を消す。消し終わった後「おめでとうエリスちゃん」とアリサ母が言い、「おめでとう、エリス」とエリック父がそう言ってきた。

ケーキを食べてみると、味に関しては甘く、結構おいしかった。

ケーキを食べ終わった後、知らない人に声をかけるのはなんかな……と思っていると、エリック父が


「エリス、プレゼントは部屋に運んでおこうか?」


そんな事を聞いてくる。

うん、ここで貰っても、いちいち挨拶するのは疲れるし、その方がいいかもと思ったので


「じゃあ、もう部屋に戻って、休みたいです」


僕がそう言うと


「そうか……もう遅い時間だしな? お休み、エリス」


「お休みなさい、エリスちゃん」


「はい、お休みなさい」


そう言って、大広間から出て、エリスの部屋に戻る。部屋に戻って、ベットに潜って、眠くなったので、寝る事にした。


こうして……僕こと、エリスは、八歳になったみたいです。

でも見た目は少女のままなんだよね……これから何か変わるのかな……?

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