第9話

本日はどうやら、イベントがある日みたいです。

この世界で知り合ったリアが言うには、今日は、このグランド王国の聖誕祭と呼ばれるお祭りの日なのだと言う。

朝起きて、エリスの部屋から出て、顔を洗い、食卓に行くとエリック父と、アリサ母、メイドのマリエスがいて、エリック父が、こう言ってきた。


「エリス、今日は聖誕祭だ、お城に行く事になっているので、準備してくれるかな?」


そんな事を言われてしまった。

準備と言われても……一体、何を準備すればいいんだろ……?と思い、エリック父に


「お父様……準備って、一体、何をすればいいのですか……」


そう聞いてみると


「そうだな……その格好ではまずいだろう、マリエス、よろしく頼む」


「かしこまりました、さあ、お嬢様、こちらです」


「え? あ、うん……」


僕は、マリエスに言われるまま、ついていく事にした。衣装が置いてある部屋に行き、マリエスの手によって着替えさせられた。


「とってもお似合いですよ? お嬢様」


着せられたのは、ブルーのドレスで、髪に花飾りらしき物を付けられて、マリエスが、化粧品らしき物を持ってきて、僕に化粧をした。

化粧が終わり、鏡を見てみると、滅茶苦茶かわいい金髪の女の子が写っている。僕は、ロリコンじゃあないけど……すっごいかわいい……と、ちょっと思ってしまった。服装もバッチシと似合っている。


「準備できました、さあ、行きましょう」


「行きましょうって……やっぱり、お城?」


「はい、そうですよ」


「そっか……」


「お嬢様? 行きたくはないのですか?」


そう言われても、メイクもされちゃったし、着替えもされちゃったので、ここで断ったら、何を言われるか解らなかったので


「いや、そんな事は……」


「じゃあ、Okですね?」


「う、うん」


「では、行きましょうか」


そう言われて僕は、持ち物って何か持って行った方がいいのかな? と思ったので


「マリエス? 何か持って行く物とかあるの?」


マリエスに尋ねて見ると


「大丈夫ですよ、持ち物は特に無くてOkです」


「そうなんだ」


「では、行きましょうか? お嬢様」


マリエスに案内されて、玄関に向かう。

玄関に辿り着くと、タキシードにシルクハット姿のエリック父と、真っ赤なドレスを着たアリサ母が待ち構えていて、こう言ってきた。


「エリスちゃん、似合ってるわ~うんうん、かわいいわよ」


「おお、似合ってるな? さすが私の娘だな」


なんか……物凄いベタ誉めしてきて、ちょっと困ってしまった。


「マリエス、準備出来たわ」


そうアリサ母が言うと


「かしこまりました、少々お待ち下さい」


マリエスが言って、外に出る。そして数分後、外から


「準備できました~」


マリエスの声がしたので、外に出てみると、そこにあったのは、馬車があった。遊園地のアトラクションとかで見た事はあったけど、実物を見るのは初めてで、馬もなんかでかく見える。

手綱をマリエスが引いていたので、マリエスが案内人って事なんだと思った。


「さあ、乗って行くぞ」


「ええ、さあ、エリスちゃん、行きましょう」


「あ、はい」


こうして僕は、お城に馬車で行く事になった。

馬車で移動中、グランド王国の城下町はお祭り騒ぎで盛り上がっている風に見える。馬車の中から、町並みを覗いて見ると、かなりの人がいて、陽気な音楽が聞こえたり、衣装や被り物を被った者達が、踊っていたりもしていたので、結構派手なお祭りなんだな……と思っていた。

馬車に揺られて数十分後、メイドのマリエスが「着きました」と言って来たので、馬車から降りてみると、目の前には、巨大なお城が見えていた。ここが、グランド王国だから、このお城の名前ってグランド城なのかな……とか思っていると、エリック父が、門番らしき人に


「ジラード家当主、エリック・ジラードだ、今日は家族と一緒にやってきたぞ」


そう言うと、門番らしき人が


「は、ジラード家の皆様、ようこそお越し下さいました、ささ、中にどうぞ」


そんな事を言って、門を開けた。

門は、開閉式になっていて、水の堀があり、まるで、戦国時代とかに出てくる、お城みたいなつくりだなあ……と、思ってしまった。

門が開き、結構大きな門なので、馬車ごと中に入り、中庭に他の馬車が止まっている駐車スペースがあったので、そこに止まった。


「さあ、中に行こうか」


「では、私は、ここでお留守番をしております」


マリエスがそう言う。


「そうね、じゃあエリスちゃん、一緒に行きましょう」


アリサ母が、そう言いながら、手を握ってきたので、僕は、こう言う事にした。


「はい、判りました」


「では、私は、王に挨拶をしてくるぞ」


エリック父が、僕達が向かう通路とは、別の通路に行ってしまった。


「さあ、行きましょう」


「は、はい」


僕は、アリサ母と一緒に、正面から突入する。

中に入ると、地面に赤絨毯が敷いてあり、天井にシャンデリアがあったり、さすがお城って感じの内装だった。お城の中を移動して、大広間と書かれた部屋の中に入る。

中に入ると、沢山の人が衣装を着て、話していたり、食事をしていたりしていたり、曲が流れているので、踊っている人もいた。

なんか……お城の舞踏会って感じかも……と思っていると、アリサ母に、話しかけてくる男がいた。


「これはこれは、アリサ嬢、お久しぶりです」


見た感じ、髭が物凄く似合ってる、ダンディーな感じの人だった。なんか凄く渋い感じがするんですけど……この人


「あら、ゼクロス殿、お久しぶりですわ」


この人、ゼクロスって言うんだ……


「おや? もしかして……そちらのかわいらしいお嬢さんは」


「はい、私の娘ですわ」


「ほほ~いや、私も息子と一緒にこのパーティに参加してるので、紹介しときましょう?クロフォード、こっちに来なさい」


ゼクロスさんが言うと、見た感じ、小学校高学年ぐらいの男の子がやってきた。

何歳かは解らなかったけど、結構美形に見える。ゼクロスさんと比べて見ると、全くと言っていいほど、似ていなく、本当に親子なのかな……?と少し、疑ってしまった。


「何ですか? お父さん」


「いや、昔の知り合いにお前の事を紹介しようと思ってな? 紹介しよう、昔、一緒に仕事をしたアリサ嬢とその娘だ」


「アリサ・ジラードと申しますわ、で、こっちが娘の、エリスです」


「あ……エリスです」


そう言って僕は、クロフォードと呼ばれた男の子をマジマジと観察してみる事にした。

黒髪の美少年?って感じで、結構もてるんじゃないか?って思うんだけど……そう考えていると


「僕は、クロフォード・ラインドと言うよ? よろしくね? えっと……エリスでいいかな?」


そう話しかけてきたので、僕は


「あ、はい、それでいいです」


「エリス、僕は十歳だけど、君は?」


「私は、まだ七歳ですけど……」


「そっか……うん、丁度いいかも」


何が丁度いいんだ?って思って聞こうとしたら、クロフォードが


「お父さん、このエリスを、将来の婚約者候補に入れてくれない?」


……は? 今、なんかありえない単語が聞こえたんだけど……


「ふむ……クロフォード、気に入ったのか?」


「うん、絶対、将来母親に似て、美人になりそうだしさ?」


「そうか……アリサ嬢、どうやらそういう事らしいので、よろしいかな?」


「え? え~っと……それは、エリスちゃんが決める事で、それにまだエリスちゃんは幼いわよ?」


「ふむ、そうだな……こういう話は大人になってからした方がいいな、今の会話は無かった事にしてくれると助かる。おっと、もうこんな時間か、では、失礼する、クロフォード、行くぞ」


「あ、うん、じゃあ、また会えたら、会おうね?エリス?じゃあね」


そう言って二人は、大広間から出て行く。

出て行った後、アリサ母が


「あの子が、エリスちゃんの許婚って事になったのかしら? エリスちゃん、気に入った? あの子」


そう聞かれて、僕は


「気に入ってはいないです……ちょっと図々しいかも……初対面であんな事を言われれば、誰だってそう思う筈なんですけど?」


そう呟くと


「そうよね?まあ、将来の事はまだ判らないし、その事は、後で考えましょうね」


「は、はい……」


どうやら僕に、許婚?らしき人が、出来たみたいな感じだった。将来、あの子と結婚するかもしれないって事なの?と思ってしまいどうすればいいんだ……と、考えていたのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る