第5話

僕がエリスの体となって、三日目

朝日が窓の外から差しこんで、ちょっと暑かった。

結局、元の世界に戻ってはいないし、エリスのままなので、もう元に戻るというのは、一旦、あきらめて、この体で生活していくしかないのかも……と思い、とりあえず、鏡を見てみる事にした。

鏡に映っていたのは、金髪の少女で、エリスと呼ばれるお嬢様だった。

うん、男だった僕がお嬢様って……なんかね……と思ったけど、なっちゃったんだし、元に戻る気配も微塵もないし、エリスとしてやっていこうと決心して、部屋の外に出る。

お屋敷なので、結構広く、迷いそうになったけど、洗面所に向かい、顔を洗う事にした。

顔を洗い、身だしなみをチェックして、お腹が鳴ったので、朝食かな?と思い、とりあえず、メイドのマリエスを探す事にした。

お屋敷の中を移動していると、掃除道具を持っているマリエスを発見して、声をかける。


「あの……」


「あ、お嬢様、どうしました?」


「お腹がすいて……」


「そうですか、では朝食ですね? ご案内します」


「うん」


そう返事して、僕は、メイドのマリエスについて行く事にした。

食卓が置いてある部屋にたどり着くと、テーブルの上にパンが置かれてあり

お米はないのかな……? と思い、マリエスに聴いてみる。


「あの……ご飯は?」


「ご飯……? 何ですか? それ」


どうやら、ご飯という物が、存在してないみたいだった。

ちょっとショックかも……まあ、パンも美味しいので、別にいいかな……

けど、もしあったのなら、白いご飯を食べたいと思う、うん。

そう思いながら、椅子に座り、パンを食べる。

卵が練りこんであるのか、味的に結構美味しかった。

あっという間に食べ終わり、今日はどうしようかな……と悩んで、そう言えば、昨日、アリサ母が「魔術の本なら、書斎にあるから、それを閲覧するといいわよ?」と言っていたので、僕は、書斎に行く事にした。

書斎の場所は覚えているので、書斎に辿り着く。

前に読んだのは、「アルバ大陸の歴史」と言う本だったので、今回は、魔術に関しての本を探す事にした。

そして見つけたのが「魔術入門~初級編~」と言うタイトルの本を見つけて、書斎からエリスの部屋に持っていく。

エリスの部屋に辿り着き、ベットに潜りながら、その本を読んでみると


「え~っと書いてあるのは、風の魔法~スラッシュウインド~と水の魔法~アクアスピッツ~と火の魔法~フレアボース~かあ……う~ん……どれを最初にやってみよう……」


昨日買った初心者用のメッシュの杖を持ち、考える。

部屋の中で火の魔法なんか使ったら、火事になるし、かといって水の魔法を使ったら、水浸し、風の魔法を使うと、装飾品に傷がつくし……とりあえず、魔法の練習は外でするしかないかな?と思ったので、本とメッシュの杖を持ち、とりあえずメイドのマリエスに聞いて見る事にした。

マリエスを見つけて、僕は、こう聞いてみる。


「あの……魔法を練習するには、何所でやったらいいの?」


そう聞いてみると


「そうですね……グランド王国から出て、平原のシュミッツ平原なんかがよろしいかと、でもお嬢様はまだ子供です、魔物に襲われるかもしれませんので、一人で行っては駄目ですよ?」


そう言って来たので、僕はマリエスに


「じゃあ、マリエスが一緒ならいい?」


マリエスにそう聞いてみる。


「そうですね……私でよければお供致します、こう見えてもある程度の剣術は習っていたので、お嬢様を守れますし」


マリエスがそう言ってくれたので、僕は早速


「じゃあ、今から魔法の練習をしたいんだけど……」


「かしこまりました、では準備をしてまいりますね?お嬢様も外に出るのですから、動きやすい格好に着替えるのがよろしいかと、では」


そう言って、マリエスが移動したので、僕もエリスの部屋に行き、クローゼットから、動きやすい服を選んで、それを着る事にした。

装備に魔術の本とメッシュの杖を持ち、部屋から出ると、マリエスがいた。

マリエスの服装は、腰に剣を装備していて、防具らしき物をつけているので

見た目、女剣士っぽく見えていた。

マリエスって美人だから、男の人にもてるんじゃ……?とか思ったけど

マリエスの交友関係が全く解らないので、とりあえず、この考えはやめる事にした。


「準備出来ました、じゃあ行きましょうか? お嬢様」


「うん、解った」


こうして僕は、マリエスと一緒に、出かける事にしたのでした。


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