第6話 占術の開発者家元とアイドル占術師KAKO

那覇空港のロビーを抜けて外へ出ると、僕は家元へ電話した。

しばらくして那覇空港近くで待機していたでろう銀色の可愛らしいコンパクトカーが、僕の目の前で止まると、首にオレンジ色のスカーフを巻いた一人の女性が車から出てきた。


「はじめまして!アキラさんですよね?」


「はい!アキラです。もしかしてKAKOさんですか?」


「はい!私のこと知っているのですか?」


「はい。インターネット勤務ですのでFACEBOOKやインスタでKAKOさん活躍はいつも拝見させてもらっています!しかし、実際にお逢いすると、とてもお綺麗な方なので人違いかと思いましたよ。」


「えー!綺麗だなんて。アキラさんは褒め上手ですね!あ、今日は私の車で来ていまして。中に家元も乗って待ってらっしゃいますので、どうぞ車へお乗り下さい。」


アキラはアイドル占術師のKAKOとは初体面。

帝国ホテルで面接してもらったトップ鑑定師の佳子(よしこ)先生から今一番人気がある占術師としてKAKOの話題を聴いていたのだが、実際にお逢いしてみると人を魅了してしまうパーソナル『公』を持っていることがすぐに理解できた。KAKOの育ちの良さを感じさせる上品かつ妖艶な立ち振る舞いに、ずっと忘れかけていた女性へのトキメキを感じてしまったのである。


占術の開発者でありミラクルスポットグループの会長である家元とも初顔合わせだった。

KAKOの車に乗り込むと家元は「アキラ君!今日はラッキーだったね。アキラ君を迎えに他の鑑定師を向かわせようとしたら、出張だの広島店へ出向中だので、メインメンバーがすべていなくて。

会社のトップである僕がこうして迎えに来るということは他の上級鑑定師ではありえない。」

KAKOの運転する助手席のミラー越しから家元は言った。


「わざわざ那覇空港まで迎えに来てくれて光栄です。ところで今日はどちらへいくのですか?」


「アキラ君はまだ夕飯これからでしょ?東京とは違い沖縄は飲食店が閉まるのが早いからこの時間からだとファミレスくらいしかないけれどいいかな?KAKOちゃんにも新しい情報を教えてあげたいから今日は経営者であり神様を信じていなかった僕が、なぜ非科学的な占術を開発したのかを講義してあげるよ!」


家元の発言を受けて「やったー!これでまた占術のシークレットがきけるのですね!ラッキー!」運転しながら家元とアキラに占術の話題を振っていたKAKOは芸能人ばりのテンションの高さでワクワクを抑えきれないといった様子で一人はしゃいでいた。


那覇国際通りから少し離れた場所にある真夜中過ぎのファミレスでの家元・KAKO・アキラによるセッション会がはじまった。


家元はカレーを注文すると食べ物よりも早く占術とパワーストーンのシークレット講義を聞きたかったKAKOとアキラは、時間短縮のため家元と同じカレーライスを注文した。

ドリンクバーでKAKOと二人っきりになったアキラは、和気あいあいとしながらサラダバーで3人分のサラダを盛り付けていると、遊び心満載のKAKOは「私のはピカチュウ風に盛り付けて下さいね!」とわがままなことを言って少し頬を赤きらめて僕に甘えた表情をみせた。

初対面であるアキラとKAKOはすでに旧知の仲のように打ち砕けて、僕は真夜中のセミナーに期待とワクワクで胸がいっぱいになった。


注文した料理が届くまでの間、軽い自己紹介がはじまった。

KAKOは家政婦として雇われて沖縄に来たのだが、家元と佳子から、鑑定師に向いていると言われて、沖縄を拠点とした鑑定師活動をすることになったらしい。家元のリアルセッションは400万円払ってトップ鑑定師になってもなかなか聴く機会がないというのに、KAKOはラッキーだなと僕は思った。


「アキラ君はなぜ沖縄へ来たの?」と家元が僕に訊ねてくると

「自分の持つ天職を知りたかったのと、強運の秘密、あとはDNAのルーツに秘められた謎を解明したくて母親の故郷である沖縄に来ました。」と僕は答えた。


「アキラさんのお母様って沖縄なんですか?私は広島県出身で第二次世界大戦では原爆を落とされましたよね。佳子先生は同じく原爆を落とされた長崎県の出身だし、沖縄も最後の地上戦やひめゆりの塔などの悲惨な歴史がありますしね。アキラさんとは前世でも深い縁で結ばれて意味があって沖縄で出会った気がします。」


僕は家元と向かいの席にいてきずかなかったのだが、僕の隣に座っているKAKOは左手に眩いばかりに光輝く『7Aゴールドルチル』を身に着けていて、僕は自分自身の事よりもKAKOのことが気になって仕方なかった。


「KAKOさんが着けているストーンって7Aのゴールドルチルですよね?」


「はい!7Aゴールドルチルです!私は占術に興味があって沖縄へきたからパワーストーンとか全く信じていなかったんですけど、あまりにも不思議な現象ばかり起きるので徐々にパワーストーンに興味を持ち始めてしまい。信じられないかもしれませんが、この7Aゴールドルチルを身に着けた瞬間から一気に灰色になってしまったんですよ!

高かったのにえー!ショックってしばらくは立ち直れないなと思っていたんです。

けれど、佳子先生がゴールドルチルは自分で勝手に浄化してくれるストーンだから大丈夫!

一週間もすればまた元の輝きに戻るよ!と言われて。

あんなに綺麗だったゴールドルチルが一瞬で灰色になってしまったことについて、私、そんなにドロドロしたものを持っていたんだーと。衝撃を受けました。

ストーンもマジカルカラーもはじめは信じていなかったのですが、沖縄へ来てからは言葉では言い表せられない不思議なスピリチャルな体験ばかり続くので毎日が楽しいです!」


KAKOの発言を受けて家元は

「KAKOちゃんはパワーストーンを信じていないところかマジカルカラーのお洋服を勧めても、私、茶系しか似合わないからオレンジは着ません。といって、頑なにマジカルカラーを拒否しているんだよ。マジカルカラーを信じていないなら、じゃあなんでわざわざ沖縄に来たのってこっちが聴きたいくらい頑固な性質を持っているんだよ」と困惑の表情でそう吐露した。


「マジカルカラー身に着けているじゃないですかー!このオレンジ色のスカーフちゃんとみて下さいよ!」


「スカーフだけでなくて、一応うちの会社は高級なパワーストーンを扱っているんだから、ユニフォームなんだと思ってオレンジ色のお洒落な服を着てよ!絶対に運気が良くなって成功へと導かれていくから。」家元はオレンジジュースを飲みながら深層心理に宙を持つKAKOに忠告をした。


深夜のファミレスでの講義は深夜1時を過ぎると徐々にパワーストーンのシークレットへと話しが発展していって、僕を含めた三人は、疲れるところかむしろ講義が進むにつれて、このまま朝まででも聴いていたいというワクワクな好奇心で未来の夢を語り合った。


「アキラ君はさっき、海外へ行ってみたいと言っていたよね。それはなんでなの?」


「もともとはJAZZが好きでエレキギターをやっていたのです。

海外へ行ってみたいのは単純なる憧れなのですが、ある事情があって本当にやりたかったエレキギターではなく小説を書いていまして、佳子先生からは小説家になりたいのだったら、読書だけでなくて、アウトプットのためにブログ記事とFACEBOOKの記事を書いてみてごらん。アキラ君の自叙伝は電子書籍サイトで見せてもらったけれど、名は体を表すと言われる通り、きらりとひかる文才を持っていると、私はあなたの文章力を高く評価しているのです。

だから今は、キャパシティーと見聞を高めるためにメール鑑定を任せてみたいと思っています。と言われて、佳子先生からミラクルスポットの広告やメール鑑定のお仕事を任されて東京で活動しています。


もともとは世界平和を叶えるのが夢と思って活動していたのですが、佳子先生が言うにはみんなメディアに踊らされているだけで、もともと日本ほど平和な国はないのよ、と言われて衝撃を受けました。


確かに、日本も貧富の差は激しいとは思っていましたが、つまるところ、どんなに困難だったとしてもチャレンジし続けて学び続けた人たちがお金持ちになっているだけの話で、日本ではどんなに貧乏だったとしても、食べていくだけならば最低限の権利として認められている。確かに、平和な国ですよね。


しかし、今まで僕は世界平和を目指していると周囲に公言しながらも、自分の事は後回してボランティア活動をしてきたのです。それに、自分の家族を後回しにしてきた結果、実の兄貴の異変に気づけずに兄貴の自殺を止められなかったことを死ぬほど後悔して自暴自棄になっていた時、占術にであったのです。この占術だったら自殺企図している方がたの最後の相談役として死を食い止めることができるはずだと考えています。


それに、今、お金がなくて困っている人たちだってそれぞれに専門家がいるんだから、必要以上に絶対的正義を振りかざす宗教の人たちと関わっていくのはリスキーだと感じはじめてきたのです。


自分自身のやりたい時間も削って命を懸けて戦ってきたのに、兄貴の死に対してもそっけない対応をされて、宗教に無関心な人たちからは馬鹿にされて、何一つ良いことがありませんでした。

だから、そろそろ自己犠牲に生きるのはやめて、本当に自分自身の夢を叶えるために、佳子先生に師事することを決心したのです。

佳子先生は僕にアドバイスしてくれました。

もしも、お金の苦労から解き放たれて、時間も自由に使えたとしたら、アキラ君は何をしますか?と。


僕はこう答えました。

もしも経済的自由、時間的自由、精神的自由を手に入れたとするならば、小説を書きながら夢だった音楽活動をしたいです!と。

しかも、世界を舞台にして輝けるアーティストになりたいです。

そのために、過去、英会話スクールで覚えた英語力や人を癒すセラピスト業界に携わってきた経験を活かして、一番自分自身が才能を発揮できる物書きの適正を伸ばして小説家として生きていくことに決めました。占術を学んでいるのも小説を書くための知識や経験を短期間でマスターするためです。」


家元とKAKOはアキラが占術を学ぶきっかけを聴いて、特にKAKOはアキラの壮大なる夢の大きさに衝撃を覚えたような表情浮かべて、家元の返答を固唾を飲んで待ちわびていた。

しかし、そのアキラの夢はけして絵空事ではないことを家元は理論的に説明した後に、

「バイオリズムから観ても5シークレットから観ても十分に実現可能だ」とアドバイスした上でさらにストーンを持つことの必要性を説いた。


「小説家になるのは本当に難しい。出版不況で本は売れない時代に突入しているし、しかも小説は書く労力に比べて、自費出版にかける費用を考慮すると仮に10万部売れて1000万円を手にしても次回作が出なければすぐに忘れ去られてしまうし、占術のビジネスとは全く違って、本はだしてみないと結果が解らない厳しい世界だ。一部の人気作家しか本業にできていない。


けれども、本当に書くことが大好きならば諦めてはいけない。


アキラ君の鑑定を観させてもらったけれど、キーワードとして『宗教』と『険しき道』という天命がでてきた。僕はこの占術との出逢いによって、一気に成功の道へと導かれていったし、占術を開発して世の中にだした後に、お客様たちからの奇跡の声や体験談、そして感謝のメッセージが連日のように届く。その体験談をもとにして、占術の精度も年々飛躍的に向上している。


FACEBOOKの投稿やコメントブログも少し拝見させてもらったけれど、間違いなく、文章力においてはアキラ君がうちの会社ではダントツに輝いている。アキラ君が書いた記事からレスポンスが上がり続けていて、お陰様で新規のファンも増え、協会員も爆発的に増えていった。


アキラ君の天命である『宗教』というキーワード、占術の創始者の立場から言わせてもらうとするならば、眼には見えない不思議な力を信じて活動するのが宗教家の役割だから、アキラ君は占術師に凄く向いていると思う。

これは占いはおろかパワーストーンみたいな非科学的に思えるモノなど全く信じていなかった過去の僕の経験から言わせてもらうけれど、アキラ君が今必要な経験をするためにおススメしたいとっておきのストーンがある。


アキラ君も知っての通り、うちは天珠というチベットの王族しか持てなかった希少価値の高いパワーストーンを扱っていて、天珠の売り上げは世界でナンバーワンなんだ。それの意味することは、リピーターが多いということなのだけれど、奇跡を起こしたいならば、卍一眼天珠をお勧めする。


実は、9眼天珠が最強の天珠として世の中に知られているし、うちのお客さんにも9眼天珠が最強と言って販売しているのだけれども、多くのパワーストーンを扱ってきた僕だから言わせてもらえば、本当は卍一眼が最強の天珠だ。

KAKOちゃんには器を広げてもらうために大人天珠を持ってもらっているけれど、一心に叶えたい夢があるときには、一眼天珠、それも卍のマークが描かれた卍一眼こそアキラ君にぜひ持ってもらいたいストーンだ。

今すぐには無理かもしれないが、もしもアキラ君の状況や環境がよくなった後に、特別な卍一眼をお譲りしてあげるよ。

僕はもうストーンのセレクトはティンバと佳子先生に任せてあるから、ストーンセレクトの第一線からは身をひいているので、久しぶりにワクワクする夢の話を聴かせてもらってついついセレクトさせてもらった。自分がはじめて卍一眼天珠を持ち始めた時の奇跡的な体験も思い出すことができたよ!ありがとう!機会があればまたお話しさせてもらうよ!」


通常は会うことすら難しい家元の講義を生で聴けたことを他の鑑定師にお話しすれば嫉妬されることだろう。KAKOとこうして逢えたことだって、上級鑑定師のアキラよりKAKOはもっと上の立場である理事長という役職をもっているのだからなおさらだ。


家元は九州出身で、沖縄移住したのはずっと憧れていた沖縄でくらしてみたかったからだ、と話してくれた。そして、沖縄の地でビジネスをしているうちに、占術と出逢い、その後、占術の権利を持つ占い師が借金を背負って困り果てていた時に台湾人の占い師から占術の著作権を買収したという。


もともと的中率の高い占術として、一部の経営者たちの間では知られていた占いだったらしいのだが、占術の権利を買収したときにはA4の紙2枚ほどの計算式しか送られて来ずに、ほとんどが開発者である家元が2年間自宅に引きこもりっきりで寝る間も惜しんで占術の解明に取り組んだという。


沖縄の北谷に小さな占いのショップを立ち上げた時、あまりにもあたりすぎるという口コミだけでお客さんが増えていき、逆にお客さんの方からパワーストーンを求められたことがきっかけで占術師のグループだったミラクルスポットは、新規参入しても成功しないと言われている厳しい時期にパワーストーンの販売をすることになった。


独自の結界を張るブレスレットを開発したことがきっかけで、結界ブレスはミラクルスポットの看板商品として広く世の中の人たちに知られることとなっていった。


結界ブレスのキセキを体験した2万人にも及ぶユーザーの中でも、ひと際、ミラクルを起こした体験談がある。

潰れかけの中華料理屋のおかみさんがこのままでは会社が倒産して一家が路頭に迷ってしまうという危機に直面した。貯金も底をつきかけ10万円しかない時に、全財産である10万円を全てパワーストーンを購入する費用にあてたのだ。

不思議なことにパワーストーンを持ち始めたその日のうちに店はじまって以来の貸し切り予約が入ってきた。その後、店は人気店となり、アルバイトを雇う余裕もできたので、中華料理屋のおかみだった初級鑑定師はパワーストーン屋さんとして念願だった店舗を持つようになり、お金の苦労から解き放たれて、女社長として活躍していくことになった。


信じる人にだけキセキは起きる、という体験談は瞬く間に、全国へ広がっていき、経済苦、恋愛の悩み、離婚問題、病気、才能の開花、投資のタイミングなど様々な相談が寄せられるようになった。


家元の講義は深夜過ぎまで行われて、僕はKAKOが運転する車で那覇の国際通り入り口付近にあるビジネスホテルまで送ってもらった。

運転手のKAKOは「アキラさん、今日は家元の講義ワクワクしましたね!またこちらからご連絡しますね!」とテンション高くそう言った。

興奮冷めやらないまま「家元、KAKOさん、今日はありがとうございました!僕は佳子先生からのお仕事をする以外はフリーですから、また講義聞かせて下さい!」というと家元が

「佳子先生は東京に出張だったね。明後日には沖縄に戻ると思うから、今日は仮眠とって15時くらいにまたこちらから連絡します。今日は疲れただろうから、少し休んで、お仕事頑張ってね!」と言った。


ビジネスホテルの玄関をすり抜け、受付を済ませると、ウェルカムドリンクのコーヒーとオレンジジュースを持って、マジカルナンバーの5階まであがり、部屋へ入った瞬間、疲れがどっと噴き出てきた。けれどこのまま寝るわけにはいかない。佳子先生からサイトのカスタマイズを任されているからだ。熱いシャワーを浴びれば復活するはずだから、と自分に言い聞かせて僕はお風呂のお湯がたまるまでのしばしの間、ベッドに横たわってKAKOの事を考えていた。


30も半ばになると純粋なる恋愛感情など沸かないと思っていた。

でもそれは間違いだった。


今日はじめて逢った占術師KAKOの魅せるプライベートでの可愛らしい一面に、どうやら過去の恋愛の記憶と重ね合わせて、青春時代へとタイムスリップしたような錯覚に陥ってしまったのだ。

僕よりも4つ年上の佳子先生も魅力的な人だったし、東京銀座店の占術師であり先輩の村田智子も人妻でなければ電話番号の一つでも交換して、親密な交際をしてみたかった。

一体、なぜ、うちの占術師は美人ところが集まってくるのだろうか?

女性が9割を占めていた前職のセラピスト業でも、こんなに魅力的な女性に囲まれることはなかったはずだ。一体、俺はどうしてしまったというのだろう?

琉球に眠りし姫の伝説を信じていた僕は、ピュアな気持ちでソウルメイトを探していたことも事実だ。しかしながら、一般の会社であるならばオフィスラブなどご法度であるし、うちの会社だってきっと同じことだ。夢と現実の恋愛と天秤にかけて、また僕は夢を選ぶだけ。


僕はしばらく、ベッドの上で空想に耽ったのち、シャワーを浴びて、今度は佳子先生の事を想っていた。すると、突然スマホから電話の着信音が聴こえた。


ーAM3.33ー 佳子先生からの着信だった。

(佳子先生からの電話?長いことお付き合いしているけど電話ははじめてだな。)


(シンクロニシティ)

思っていることはすばやく現実になる。

運命が動き出す時の止められないスピード感。


「はい。アキラです。」


「アキラ君。深夜にごめんね。家元とはちゃんと逢えた?」


電話越しに聴こえる佳子先生の普段とは違う甘い声質に、うっとりしてしまい、

まだ洗い立てでアロマの香りがする素肌に柔らかなバスローブに身を包んだまま、上司からの電話に出てることになってしまった自分自身のことを古き良き時代の映画のワンシーンを演じているかのような錯覚に陥って、主人公気分になったまま、佳子からの電話に耳を傾けたのであった。

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