第202話 体から離れたとたんに、気味が悪くなるもの

 なぁんだ?


 別に『なぞなぞ』をしている訳ではないけど。


 体から離れたとたんに、気味が悪くなるものって、割とあるんじゃないかなって思う。元は体の一部だったもの、という括りであれば、そのほとんどが当てはまるんじゃないかなぁ?

 たとえばさ。

 わたしは小さい頃に【はだしのゲン】のアニメーション映画を観たのだけど、今でも強烈に印象に残っているシーンは


 目玉が飛び出してしまっている人。

 皮膚が溶けて指先から垂れ下がってしまっている人。


 目玉も皮膚も、もとは体の一部でしょ。

 でも、そのシーンは幼いわたしを恐怖のどん底に落としたんだよね・・・・

 ただ、『あるべき場所に無い』っていうだけで。


 これはまぁ、特殊な例かもしれないけれど。


『体から離れたとたんに、気味が悪くなるもの』の代表格と言ってもいいのは、【髪の毛】、じゃないかと思うんだ。

 髪の毛ってさ、1日に何本も抜けるでしょ。知らないうちに。

 1日の大半を部屋で過ごすと、寝る前にはやっぱり何本か落ちているのよ。

 部屋のカーペットの上に。

 お風呂上りでドライヤーなんか使った後なんて、特にね。

 で。

 今、わたしの髪の毛はまた伸びてきてしまって、セミロングくらいあるので、たった1本落ちているだけでも、異様に存在感があるんだな。

(これを打っているときは長かったけど、つい先日バッサリ切ったのでした!だから今は短いのよ♪)


 元々、自分の頭から生えていた髪の毛なんだけど。

 カーペットに落ちているのを見ると、もうすぐに拾って捨てたくなる(そして実行する)。

 嫌なのだよねぇ、ものすごく。

 1本見つけると他に落ちているのも気になって、コロコロ(粘着テープのあのお掃除グッズ)でカーペットの掃除とか始めちゃってさ。それで、粘着面に何本も髪の毛が貼り付いているのを見ると、なんだか気持ち悪いって思っちゃうんだよ。

 最近まで自分の頭から生えていた髪の毛なのにね(笑)

 お風呂場で見つけた抜け毛なんて、なんだかもっと気持ち悪いって思ってしまうんだよね。元は自分の髪の毛なのに!

 抜けた髪の毛 + 水

 の組み合わせは、あんまり良くないのかもしれないなぁ。


 なんでなんだろうなぁ?

 体から離れたとたんに、不要なものに成り下がってしまう。

 不思議だなぁ。


 髪の毛って、願掛けで伸ばすとか、逆に切るとか。

 そういう、【念】みたいなものが籠りやすいのかなぁ?

 もしくは、そのようなイメージが、刷り込まれているのか。


 人形の髪の毛が伸びる!


 とか。

 ホラー系の話でもよくあるしさ。

 和風ホラーのお話でよく登場するのは、【髪の長い女性】だしさ。

 ベリーショートの女性の幽霊がいたって、全然おかしくないと思うんだけどね?

 あんまり聞かないよねぇ。不思議。


 ああ、そうだ。

『体から離れたとたんに、気味が悪くなるもの』の代表格、もうひとつあるねえ。

 それは、【血】。


 以前手術した時に、自己血輸血用にって手術前に400mlくらい事前に血を抜いておいたのね。大量出血したら、その血を輸血用に使うんだって言われて。

 でも、結局出血がものすごく少なくて輸血の必要も無く、術後に


「この血液、戻しますか?」


 って言われたの。

 速攻で断っちゃった(^^;)


 なんか。

 気持ち悪いって、思っちゃったんだよねぇ・・・・血液パックを見て。

 全然、血に弱い訳じゃないんだけど、一旦抜いた血をまた元に戻すのが、なんだか嫌だなって思っちゃって。

 だって、別に貧血で困っている訳でもなんでもなかったし。

 もとは自分の血だから、戻してもらったって全然構わないはずなんだけど、あの嫌悪感は何なんだろう?


 そんなだから、さ。


 誰のか分からない【血】が廊下とか壁とかにベットリくっついていたら、そりゃあ怖いよねぇ(笑)

 ちょっとしたホラーだよね。

 ホラーシーンでも、よくあるもんねぇ。

 血が滴り落ちてくる、とか。

 人の手の形に壁に血がベットリ付いている、とか。


 もともとは、体の中を流れていた【血】なのにね。

 ほんと、不思議だなぁ。


 なんだろうね。

『体から離れる = 死』

 みたいな連想を、知らないうちにしているのかな。

 だから、余計に怖くなったり気味が悪くなったりするのかな。


 こうやって客観的に考えれば『不思議だなぁ』で終わるんだけど、現実的にはやっぱり、気持ち悪かったり怖かったり、するんだよねぇ・・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る