第120話 人を褒めるということは案外難しい

 人を褒めるって、意外と難しい。

 と思うのは、ひとえにわたしが褒め下手だからなのかなぁ?

 一応モノを書いている人間だし、国文専攻した人間なのに、いざ褒めようとすると、とたんに言葉に詰まる。


 どんな言葉を使えば伝わるのか。


 考えてしまうんだ。


 わたし自身が、あまり褒められ馴れていないというか、


 ほんとに?

 それ、お世辞じゃなくて?

 いやいや、そんなはずないから。


 なんて、ひねくれて取ってしまう事が多いからかもしれない。

 単に、照れてしまっているだけの事も、多いけど(^^;)


 だって。

 照れるでしょ!

 褒められ馴れてない人間は、褒められると、メチャクチャ照れるんですよ!

 それで、照れてる自分が恥ずかしくなるんですよ!

 そして、その次に、冷静になって不安になるんだ。

 単なるお世辞かもしれないし。なに舞い上がってるんだ、自分。

 なんてね。


 人によって、言われて嬉しい褒め言葉は、違うと思う。

 それはきっと、目指しているものが違うから、というのも理由の一つなんじゃないかと。

 たとえば。

「美しさ」を目指している人に「可愛いね」というのは、あんまり褒め言葉にならないと思うし。

 特に、「オトナの美しさ」を目指している人には、返ってガッカリさせてしまう言葉になるかもしれないし。

 それから、男の人への「可愛い」は、人によってはものすごく嫌な言葉らしいし。

 ・・・・わたし個人的には、「可愛い=愛すべき」なので、性別問わず結構な褒め言葉なんだけどな。


 最終的には、自分が思った事を素直にストレートに伝えるのが一番だとは思うんだ。

 だって、そう思ったんだから。

 その、伝え方、言葉の選び方、だよねぇ。

 あー、難しい。


 じゃあ、わたしが言われて嬉しい褒め言葉は何だろうな、と考えると。


 魅力的


 かなぁ?

 もし言われたら・・・・


 やだ~も~、何言ってんすか~(*ノωノ)


 って、マジ照れしてしまいそうな気がするけど(笑)

 これだと、お世辞とか、あんまり無い気もする・・・・かな?

 それに、否定しづらい。

 素直に受け取れる気がする。


 あと。

 昔言われた時はピンと来なくて、何年も経ってから嬉しくなった言葉がある。


「平さんて、スルメみたいな人だね」


 って。


 新人(つまりわたし)が入るまでの繋ぎとして来てくださっていた派遣社員の方だったのだけど。

 半月程度しか一緒に居なかったその方が、わたしに言ってくださった言葉。


 当時まだ若かったわたしは


 ・・・・は?


 って思った。正直。

 若輩過ぎて、ちゃんと意味が分からなかったんだなぁ。

 でもね。

 数年経ってふと思い出した時に。


 あれってもしかして、ものすごい嬉しい言葉なんじゃない?!


 って、気付いたの。

 なんで思い出したかっていうと、スルメとは言わなかったけど、似たような事を言われたから。


【噛めば噛むほど味が出る】


 スルメって、そういう事だよね。

 ということはつまり。


【付き合えば付き合うほど、味が出る】


 それって、凄い事じゃない?!


『あなたといる時間が長ければ長い程、色々な味が出てきて、全然飽きないよ』


 ってことでしょ?!(あれ?曲解し過ぎか?)

 そんな褒め言葉、ある?!

 そんなことサラッと言えるあの方、凄いと思う・・・・

 確かに当時のわたしよりは年を重ねていた方だったけど、今のわたしよりは若かったと思うのに。

 わたし、未だにそんなすごい事、言えないもの。


 その方とは、残念ながら、半月しかご一緒できなかったのだけど・・・・

 連絡先も交換しておらず。

 なんて阿呆なわたし(T_T)

 わたしもあの方みたいに、サラリと褒められる人になりたいなぁ。

 ・・・・すぐには分からない褒め言葉、っていうところにも、なんかグッとくるんだよね。ちょっとひねくれ者のわたしには。


 憎いね、この!


 みたいな感じで(笑)

 時間差で伝わる褒め言葉って、なかなか無いもんね。

 そういうの、言える人になりたいなぁ。


 なんて。

 思っている内は、まだまだ、なんだろうな。

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