第101話 今更ながらに『無知』の功罪について

「知らない」ということは、悪ではないと思ってる。

「知らない」が悪なら、この世に生まれた赤ちゃんは全て「極悪」になるじゃないか(笑)

でも。

「知らない」ことで生まれてしまう「悪」もある。

だから、わたしたちは、色々な事を「知る」べきなのかなぁって、思う。


何年前だったかなぁ。

今の会社に入ったばかりの頃に初めて受けた【人権啓発】みたいな研修。

まぁまぁ大きい会社だと、コンスタントにこんな研修していると思うんだけど。

・・・・わたしが所属している会社はそんなに大きくないけど、親会社が、ね。

まぁまぁでかいから。


その時の研修のテーマが【部落差別】だった。

その研修自体ではなくて、その後の同じ職場の人から言われた言葉、その人が爆発させた感情が忘れられなくて、ものすごく覚えているんだよね。

他の回のテーマは、研修終わったとたんに忘れるものが多いけど(^^;)


恥ずかしながら、【部落差別】っていうものが、今のこの時代にも存在している、ということを私は知らなかった。

学校で習ったのは、もちろん覚えてる。

江戸時代の『士農工商 穢多非人』ってやつ。

随分酷い身分制度だなぁって思った。

インドのカースト制度もだけど。

でもね。

まさかね。

21世紀のこの時代にまで存在しているって、本当に思ってなかったんだよ。

つまりわたしは。


【部落差別】の存在を知らなかった


研修が終わってから、つい言っちゃったんだよね。軽~い感じで。

今もあるなんて知らなかった、って。

そうしたら、同じ部署で働いていた人がね。


「そんなことも知らないなんてっ!」


って。

普段穏やかな人なのに、感情を露わにして怒ったんだ。

びっくりして、思わず謝っちゃった。

だからって、その後その人との関係が気まずくなったとかそんなことは全然なかったんだけど。


わたしは、なんでそんな酷い差別をするのかなぁって、差別をする人の気持ちが分からないし、知らない。

差別を受けたことも無い。

それはただ単に幸運だっただけなんだろうと思う。

だから、「知らない」の。

そんな酷い事が今もまだ存在しているなんて。


いい大人として、恥ずかしい事なのかもしれない。

でもこれは「悪」では無いと、思うんだ。


「知らない」からこそ、差別をすることなんて、無い。むしろできないでしょ。知らないんだから。

でも。

「知らない」からこそ、わたしはきっと、彼女をすごく傷つけた。

これは、「知らない」からこそ生まれた「悪」。

そしてもし、今後わたしがどんどん歪んだ性格になっていったとしたら(今の性格が真っ直ぐだと言っている訳ではない)、もしかしたら、「知らない」がゆえに、差別をしている人達側と一緒になって、差別をしてしまうかもしれない。

それも、「知らない」からこそ生まれる「悪」。


「知らない」ってさ。

純粋 だけど 染まりやすい。

そんな風に、思うんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る