第80話 『大丈夫』なんて言う時は大抵、『大丈夫』じゃないんだよ
『大丈夫?』って聞かれて、『大丈夫じゃないです』って、なかなか答えられない。
わたしは、本当に大丈夫じゃなかったら、親しい人とか、反対にどうでもいい人には『大丈夫じゃない』って、答えるけど。
親しい人には、甘えられるから。
どうでもいい人には、どう思われてもどうでもいいから。
自分自身でもね。
うん、大丈夫。大丈夫だ。
って言う時って、そう言い聞かせてる時。
大丈夫じゃなさそうだから、言い聞かせてる。
だって、本当に大丈夫なら、『大丈夫』という概念すら、頭に浮かばないはずだよ。
それでもねぇ。
冷静になれば分かってるのに、つい、聞いてしまうんだよね。
『大丈夫?』
って。
見るからに、大丈夫じゃなさそうな人に。
そうしたらさ。
聞かれた方は絶対(8割9割以上)
『大丈夫です』
って答えるに決まってるじゃん。
あれ、なんて聞くのが正解なんだろう?
難しいなぁって、いつも思う。
それで、何度も失敗している。
失敗しているのに、また繰り返してる。
わたし、全然『大丈夫』じゃないっ!
『大丈夫』禁止令でも、敷こうかなぁ、自分に。
便利な言葉だからねぇ、この言葉は。
色々使えるし。
だからこそ、やっかい。
人の本音が、見えづらい。
本音を知る必要が無い人には、使っても全然問題無いんだけどさ。
ただの挨拶、みたいな?
でも、そうじゃない人には、なるべく使わない方がいいんだろうなぁって思う。
自分には?
自分には、使った方がいいかなぁ。
自分に使う時は、大抵自信が無い時で、自信が必要な時で。
自分に言い聞かせてる時だから。
特に、わたしみたいな人間には、必要な言葉だと思う。
先月退職してしまった同僚も、きっと『大丈夫』ではなかったはず。
別の聞き方をしていれば、何か別の解決法が見つかったのかな。
結局退職に繋がってしまった本当の理由が分からないまま、本音が聞けないまま、退職することになってしまって。
そう思うと、ものすごく悔やまれる。
何て聞けば良かったんだろう?
どうすれば、本当の事を教えて貰えたのかな。
今となってはもう、知りようもないけれど。
・・・・というか。
上司から彼女の退職を聞かされた時には、もう既に、彼女の中では退職が決まっていたんだよなぁ・・・・あの上司、彼女に何言ったんだ?まったく・・・・
頑張り屋さんほど、我慢強い人ほど、『大丈夫』って言うんだよね。
その時点できっと、『大丈夫』ではないはずなのに。
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