第43話 誰がなんと言っても、『性善説』派です!

大学時代が、実は一番、自ら学んだと自分では思っている。

レポート書くのも、面倒だとは思いつつも、嫌いじゃなかったし。

でも、全く違うレポートを書いて、別々の先生から同じ事を言われた。


「きみは『性善説』に寄り過ぎている」


ってさ。


ひとつは、うろ覚えなんだけど、確か平家物語の【敦盛の最期】についてのレポートじゃなかったかなぁ。

もう一つは、卒論で書いた【女殺油地獄】。


色々な文献調べて、色んな学者の解釈読んで、自分なりの解釈をレポートやら論文に書いたんだけどさ。

『性善説』に寄り過ぎだって。

(余談だけど、私本当は、【四谷怪談】とか【番町皿屋敷】とか、卒論のテーマにしたかったんだ。でも、家族に猛反対された。書いた本人が祟られるなら自業自得として、家族が祟られたらどうすんだっ!って。だから、諦めた/笑)


性善説 と 性悪説。

やっぱりどう考えたって、生まれたての赤ちゃんが、悪の権化とは、私には思えない。

人間だって動物だって、生まれたての赤ちゃんは、純粋無垢な天使だよ。

成長するにしたがって、純白を保てなくなるのはもう仕方が無いこと。

この世は残念ながら、理想郷とは程遠いし。

それでも、どうにか純白に近い色に保とうとするのが、教育とか躾とか、そういうものなのじゃないのかなぁ?


私が卒論で書いた、【女殺油地獄】。

加害者はどうしようもないボンクラの甘ちゃんで、おまけに金欲しさに相手を殺す残忍な奴。

ってしたいんだろうけどさ。

でも。

お話を読むと、彼にだって、そうなってしまった原因があったことが、ちゃんと書いてある。

だから私は、「彼のしたことは酷い事だけど、ただ、そこに至ってしまった経緯を考慮すると、同情は禁じ得ない」みたいなことを書いた気がするんだよね。

彼が生まれ落ちたその時から、そんな、極悪非道な事をするような人間だったとは思えないって。

そうしたらね。

『性善説』に寄り過ぎだって。


そうなのかなぁ。

私は、甘いんだろうか。

まぁ、確かに。

実際に私の大事な人達が誰かに酷い目にあわされたとしたら、加害者に対して


『性善説』なんてクソくらえ!この悪魔めっ!


とか思ってしまうのかもしれないけれども。

それでもやっぱり、思うんだよねぇ。思いたいんだよねぇ。


産まれたばかりの赤ん坊が、極悪非道な悪魔な訳がない、って。



・・・・そういや、大学の先生から、こんなお言葉を貰った事もあった。


『命短し 恋せよ乙女』


・・・・一応、大学時代に恋もしていたのだけど。

そうは見えなかったんかねぇ?

う~む。



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