第38話 トラブルが起こったら、第三者は双方の意見を確認すべし

苦い経験がある。

大学の時だ。

男女間の、あるトラブルが起こった。

大袈裟に言えば、性犯罪にも繋がるような。


彼女は大学で初めてできた私の友達だった。

その後友達はなんとなく増えて、彼女を含めた数人のグループで行動を共にすることが多くなった。

番号が近かったとか。

講義が同じだったとか。

そんな感じで。


ある時、彼女のご家族から私に連絡が入った。

彼女が帰って来ない。一緒ではないのか。何か知らないかと。

その時私は家にいたし、彼女が誰とどこにいるかなんて、分からなかった。

それが、事の発端。


後に聞いた彼女の話では、グループ内のある男の子に、から出してもらえなかったとのこと。

当時彼女は、グループ内の他の男の子と恋愛関係にあり、その彼の1人暮らしの家の合鍵も持っていたのだろう。

確かに、ん?とは思った。

彼氏の家に、他の男と2人で行ったの?

そこから出してもらえなかったとは、どういう事?

でも、私は彼女だけの話を聞き、彼女を全面的に信用して、相手の男の子の話を聞くことをせず、その男の子との接触を絶った。


噂は広まり、件の男の子は、孤立するようになってしまった。

女の子にそんな事したのだからまぁ仕方ないだろう、なんて思っていた私だったが。

グループ内のある男の子が、件の男の子から事情を聞いたらしく。

どうやら、彼女の言い分が全て正しい訳ではないらしい、とのこと。

そして、それを私が知ったのは、事が起こってから大分時間が経ってからだった。


どうして私はあの時、男の子側の話を一切聞かなかったのだろうかと、今でも後悔している。彼が学内で孤立してしまった一因を作ってしまったのは、私かもしれない。

それでも、表立って群れる事は無かったが、彼を支える友人が居てくれた事は大変に有り難く、彼が無事卒業を迎える事が出来た事にも、安堵している。


何かトラブルが起こった場合、第三者の立場であれば、必ず双方の意見は聞くべき。

と、痛感した。


彼は今頃幸せに暮らしているだろうか。

非常に勝手だとは思うものの、どうか幸せに暮らしていてほしいと思う。

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