第31話 『親不知』って、抜かなきゃいけないのかなぁ?

『歯』には結構、自信があったんだけどね。

子供の頃なんて、全然かからなかったし、歯医者。

歯並びも、大人になってからお世話になり始めた歯医者で褒められたくらいだし。

私が何かした訳ではないから、ほんと、両親に感謝だ。


私の歯並びは、ものすごく綺麗らしい。

親不知は、確か上が一本もともと無くて、あと3本は、他の歯となんら変わる事なく、まっすぐスクスクと生えてきてくれた。

生えた時の痛みも、無かったと思うんだよね。

全然覚えてないから。


でも。


最近は歯医者に行くと、


『親不知、抜いたほうがいいよ』


って言われるのさ。

2人先生がいて、そのうちの1人の先生は、それはもう、しつこいくらいに。

元々無い上の親不知の対になる下の親不知は、


『嚙合わせる歯が無いんだから、抜きましょう』


って言われてね。

なるほどそうか、と思って。

・・・・抜いちゃったんだよね。


虫歯でも何でもない歯を、麻酔かけているとはいえ、多分だけど、ペンチみたいなもので挟んで、ゴリゴリ抜くの。

あの、何とも言えない、イヤ~な感覚!!

もう2度と経験したくないと思った。

他の人から聞いていた、「翌日すんごい痛みと腫れで大変だった!」という状況には、有り難い事にならなかったのだけど。

うん。

何ともなく、普通に会社行ったし。

痛み止めも、念のために1回分、飲んだだけだったしな。


でも、その次に銀歯が外れてまた歯医者に行った時にね。


『ここの歯が虫歯なんだけど、親不知で押されてるから治療がしづらいんだよね。だからまず、親不知を抜きましょう』


って言われて、それはもう致し方なく、また抜いたのさ。

残り2本のうちの1本を。

なのに。

次に歯医者に行ったら。


『ああ、虫歯無いね』


・・・・はぁっ?!

おいこら、虫歯があるって言うから泣く泣く抜いたんだぞ、親不知。

どうしてくれんだっ!!


ちょっと、腹が立った。

なんか騙されたなーと思って。


それ以降。

何回『親不知、いつ抜く?』って聞かれても、『今はいいです』って答えてる。


『嚙合わせの下の歯も無いし、必要の無い歯だよ?今はちゃんと磨けているみたいだけど、歯磨きもなかなか難しい場所だし、虫歯になったら治療が大変になるから、早めに抜いたほうがいいからね?』


って言われても。

もう騙されないぞ。

要は虫歯にならないようにちゃんと磨けばいいんでしょ。

つーか、必要の無い歯って、そうなのかもしれないけど、虫歯にもならずに元気に生えてる私の親不知に対して、失礼じゃない~?

と、思ってる。


なんだろう。

親不知って、そんなに抜かなきゃいけないものなの?

別に斜めとか真横とかに生えている訳でもないのに。

何の迷惑もかけてないのに。

何でそんなに抜きたがるのかなぁ、歯医者さんて。

年取ったら、自分の歯はなるべく多い方がいいって、言ってるでしょ、歯医者さんて。

言ってる事、矛盾してない?

あ~あ。

抜いちゃった2本、抜かなきゃ良かったな。

ごめんね、私の親不知。

虫歯にもなんにもなっていない健康な歯だったのに、抜かなきゃいけない絶対的な理由なんて、大して無かったのに、抜いてしまって。

ほんと、残念・・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る