第29話 『きっかけ』は、思わぬところにあるかもしれない
小さい頃から絵本を読むのが好きで、絵本を読んではその中に自分を登場させるような妄想を繰り広げることも好きで。
お話の続きを自分なりに考えてみたりすることもあったりして。
たぶん、拙いながらも、頭の中で【創作活動】というものは、その頃から既にしていたんだと思う。
でも、形にしたことは無かった。
要すれば、文字に起こしたことは、無かった。
なんでだろうね?
自分は読む人。
お話を書くのは、他の人。
もしかしたら、そんな風に思っていたのかもしれないな。
じゃあ、どんな『きっかけ』でお話を書き始めたのかと言うと。
これ、友人に話したら、びっくりされたんだよね。
え?それで?
って。
でも、今でもちゃんと覚えてる。
おー、そうか!そうなのか!
って、目から鱗が落ちた感覚(笑)。
ルナールの、【にんじん】という話。
・・・・これを書くに当たって、もう一度パラパラと読み直してみたんだけど、う~ん・・・・やっぱり難しいな。解釈に苦しむ。
これ何で『名作』なんだろう?
読んでると、どうにもモヤモヤするんだけど・・・・
まぁ、それはさておき。
お話の中でね、主人公の【にんじん】がお父さんに本を買ってくださいというお手紙を送るのですけど、そのお父さんの返事がね。
その本の作者だって、お前や私と同じ人間なんだ。だから、お前にだってできる。お前が本を書き、そして読めばいい。
という内容の返事。
すごくない?!
確かに、同じ【人間】かもしれないけどさっ!
作家と、作家希望でも何でもない少年を、そんな大きな括りで一緒にしちゃうのっ?!
と。
ものすごく衝撃だったんだなぁ。
そして。
じゃあ、私にもできるかもしれない?
そんで、自分で書いて読めばいいのか?
って、思ったの。
それが、『きっかけ』。
ほんと、面白いよね。
本を読んでたら、その本の中に、お話を書く『きっかけ』があるなんて。
それまで別に、お話を書いてみたいなぁなんて、全く思って無かったのに。
それから、お話を書き始めるようになるなんて。
とはいえ。
たしかに、世の作家先生も私も同じ【人間】ではあるものの、全然違うに決まってるじゃん。
まぁ、最初はマネゴトみたいになるよね。
好きな作家先生の。
自分や周りだけで楽しんでいたものだから、マネゴトだって問題無い。もちろん、著作権にも抵触しない。する訳がない。
そんなものをいくつか書いていく内に、マネゴトからようやく脱却できて。
自分はこんな話が書いてみたいなぁ、っていうものが出てくるようになって。
そのうち二次創作に走ったり、一時はお休み期間もあったけど、なんやかんやで今に至っている訳です。
未だに解釈に迷うし、好きかと問われれば、あまり好きではないと答えてしまう本だけれども。
私、【にんじん】に出会えて良かったなぁと思う。
最初に読んだ本は、子供向けの本だったからそれは手放してしまったのだけど。
今手元にある本はね、多分、これからもずっと、捨てられない。
私にとっては、大事な『きっかけ』をくれたお話だから。
古本屋で買った、50円の本(笑)。
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