第24話 亡くなったって、消えてなくなる訳じゃない

昨年他界した祖父の、一周忌の法要があった。

こんなご時世だし、親戚は皆遠方なので、家族だけでこじんまりと。


副住職が一生懸命にお経をあげて下さっている中、私は心の中でずっと、遺影の祖父とお話をしていた。

もちろん、一方的に話しているだけなんだけど。

でも、祖父がそこにいるような気がしたんだ。


おばあちゃんとは、もう会った?

あー、「なによお父さん、もう来ちゃったの?!」とか、言われたんでしょ。

ちゃんと仲良くやってるの?・・・・まぁ、おばあちゃんは自由人だからねぇ、あまり構ってくれるとは思わないけど。

おチビ達と会えた?

上のチビはあんまり感情表現上手じゃないからな。でも、会えて嬉しいと思うよ?

下のチビはそりゃもう、耳寝かしてお尻フリフリして、飛んで行ったんじゃない?!

わかるよ、そんなの。目に浮かぶようだよ。

あの子とも、会えた?

私は会ってないけど、おじいちゃんならきっと分かるよね。

あの子のこともチビたちのことも、宜しくね。

いっぱい、遊んであげてね、おじいちゃん。


何か、自分でもおかしいと思うんだけど。

もう、何年も前に他界した祖母も、昨年他界した祖父も、居ない感じがしないんだ。

おチビ達もね。

明らかに居ないんだけどさ。

居るような気がするんだよ。

私がまだちゃんと、受け入れられてないだけなのかもしれないけど。

祖父母の最期には立ち会えたし。

祖父母もおチビ達も、ちゃんと骨になったのを見届けたし。

さんざん泣いたのにねぇ。

それでもね。いるんだよ。

私の中に、まだまだしっかり。


居る場所が変わってしまっただけで、彼らは消えてなくなった訳じゃない。

なんて思う。

私が今いる場所と、彼らが居る場所は、一方通行だし。

彼らはもうすっかり骨になっちゃったから、元の姿には戻れないし。

会話することも触ることもできないけど、向こうにちゃんと居る。

・・・・夢かもしれないけど、ピンチの時に、おチビ達が来てくれて助けてくれているような気がするし。何回か、そんな事もあった。

だから、そんな気がするんだよね。

法要だったから、余計にそう感じたのかもしれないけど。


頭では分かってる。もう居ない。

でも時々、家族の会話の中にだって、ごく当たり前のように登場する。

しかも、過去形じゃなくて。


「おばあちゃん、髪長い男の人嫌いだもんねー!」

「だね、あの人見たら絶対、文句言うね!」


とか。

現在形なの。

面白いね。

でも、私もそうなれたらきっと嬉しいと思うんだ。

過去形は、ちょっと寂しいから。


それにしても。

昨今のお墓(というか、納骨堂?)って、ほんと、便利。

祖父の他界を機に、お墓をね、永代供養付きの、ちょっと近代的なお墓に移したの。

ビルの中にあって、カードを提示すると、お骨がシステム的にお参り用のお墓(家名と家紋入り)の所に運ばれてきて、そこでお参りするというお墓。

お天気関係ないしさ。

雑草取りもしなくていいしさ(←ここすごく重要!)。

いずれ私もそこに入って、うちの家は終わり。

結構な高確率で、ね。

だから、前から私が提案していたのだけど。

移してよかったなぁと思う。

これで、お墓については何の心配も無く、生きられる(笑)。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る