第23話 黙っていても察してくれ、というのはちょっと難しい

日本人は奥ゆかしい人が多いからね。

『察する』

ということに長けている人が多い人種なのかもしれないなぁ、なんて思う。

でもねぇ。

それも時と場合によるし。

世の中の流れ的には、


沈黙 = 肯定


となってしまうケースが増えてきているような気もする。

たとえそれが自分の意見とは異なっていたとしても。


今の職場に異動になる前は、私はそれほど自分の意見をガンガン言うタイプじゃなかった。

少なくとも、自分ではそう思っている。


言わなくても、常識でしょそんなこと。

言わなくても、分かるよねぇ?

言わなくても、やってくれるはず。


そんな風に思っているところがあったし、実際、私が自分の意見を言わなくたって、仕事は何の問題も無く順調に回ってた。


ところが。

今の職場では、それは全く通じなかった。

全く。通じなかった。驚くほどに、全く!


まず、『常識』なんてものは、はっきり言って人それぞれだということを、痛感した。

少人数だったり、限られた地域だったり。

そんな中では当たり前に通用していた『常識』は、人数が増えれば増える程、地域が広がれば広がるほど、年齢層が広がれば広がるほど、通用しないものだった。

・・・・当たり前のビジネスマナーも通じない、ということも多々あって、それはさすがに今でもブチ切れる一因にはなっているけど。


それから、『言わなくても分かる』。

分からないのですよ、言わないと。

それどころか。

言っても、分からない事だってある。

そんなところで、『言わなくても分かるよねぇ?』が、通用するはずがない。


『言わなくても、やってくれるはず』。

実はこれが一番危険。

様々な仕事があるうえに、自分の仕事で手一杯の人が多い中、はっきり言って、人の仕事までやってる余裕なんか無い。

そんな状態で、誰がやってくれるの?

誰もやらないと、仕事、滞るよっ!


仕事の場ではね。

自分の意見は、言う。

間違っててもいいから、言う。

間違っているなら、指摘して貰えるから。

言わないと、指摘すらして貰えない。

あとで文句を言ったって

「じゃあなんでその時に言わなかったの?」

って言われるだけ。

良かれと思って黙っていたのに、そんなことを言われてカチンときて以来、私は自分の意見は、たとえケンカ腰になったって、言う事に決めた。

結果、良かったと思ってる。

私がどんな考えで仕事をしている人間か、ということを、周りの人が理解してくれるようになったから。

何て言うか、前よりラクになった感じ?(^^;)

切れキャラ、って思われているかもしれないけど(笑)、まぁいいでしょう。

そんなキャラも、職場に1人は必要だろうし。


じゃあ、プライベートはどうだろう?

『黙っていても察してくれる間柄』

これって、理想じゃない?!

とも思うけど。

長年連れ添った夫婦でも、すべてを『黙っていても察する』なんて、無理なんじゃないかなぁ?

それに。

少なくとも、相手にそれを求めるべきではない。と、思う。

自分がね、相手に対して『黙っていても察してあげられるようになりたい』って思うのは、ものすごくいいことだとは思うんだけどね。

意外と難しいのだよねぇ。

明後日の方向に考えていたりされると、もう全然察することなんて無理だし。

でも、それはそれで面白いな、とも思ってしまう。


なにそれ、そんなこと考えてたのっ?!


なんて、ちょっと楽しくない?


『黙っていても察することができる』

理想の関係ではあるけれども。

基本はやっぱり、言葉で伝える事、じゃないかなぁ。

自分の意見を、自分の考えを、自分の想いを。

そんな風に思う。

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