第9話 バレない嘘はもはや真実のようなもの

「ようなもの」です。

嘘は、嘘。

真実には、成り得ない。

でも。

バレなきゃそれは、真実になる。

と、思う。


子供の頃は、よく嘘をついた。

それはもちろん、悪さをしてしまったものの、怒られたくないから。

まぁ、すぐバレてよく怒られたけど。

悪さをしたことはもちろん、嘘をついたことも、怒られて。

結局、余計に怒られた(笑)

悪さ、と言ってもね。

「危ないから、塀の上に登って遊んじゃいけません!」

とか。

「この柵を乗り越えて、川のそばで遊んじゃいけません!」

とか。

そんなこと言われたら、余計やりたくなるじゃん?

で、めっちゃ遊んで。

他の人にバッチリ見られているというのに、

「そんなことしてないもん」

とか、バレバレの嘘をつくという。

・・・・まぁ。子供らしいというか、なんというか。

我ながら、頭の悪い子供だったなぁ・・・・


そんな嘘はさておき。


私はもうかれこれ10年単位で、バレていないと嘘と共存している。

私がその嘘に既に気付いていることもまた、バレていないだろうと思う。

きっと彼らはその嘘を、墓場まで持っていく覚悟なのだろうなと思うから。

だから私も、墓場まで持っていく覚悟だよ。

私が、嘘に気付いていて、それに乗っかっているという、事実を。

そんな覚悟を持ってまでつく嘘なら、それなりの理由があるんだろうと思うし。

嘘って、通常の感覚を持っている人なら、つき通すのは、結構しんどい。

(もう、普通に、息をするかのように嘘をつくことができる人も、世の中には稀にいるけど)

1人でつく嘘なら、誤魔化すのも結構楽かもしれないけど。

バレたところで、咎められるのはその1人だけだろうし。

でも。

彼らはおそらく、全員で決めて、嘘をついたのだと思う。

それは、結構、リスクが高い。

だれか一人でもうっかり口を滑らせてしまえば、全てが水の泡だから。

でも、誰一人、うっかり口を滑らせた人はいなくて。

私は全くの別ルートで、その嘘の一端に気付いてしまった訳だけど。

でも。

私が知らなかっただけで、その嘘はずっと、私と共にあった。

嘘に気付いた時は、結構なパニックにも陥ったけど。

でも、落ち着いて考えれば、ただ単に、私が知らなかっただけ。

そう考えたら、もう、このまま気付いていないテイで過ごしていた方が、きっとみんな、幸せなんだ。

そう思ったから。

私も、その嘘に乗っかったままでいる。今この瞬間も。

だからもう、この嘘は、私にとっても彼らにとっても、「真実のようなもの」。

それで、いい。


それから私にはもう一つ嘘がある。

これは、私ともう一人だけが知っている嘘。

(厳密には、関わった人は複数いるだろうけど。でも、諸事情により、カウントしなくても、なんら問題ない)

これも、墓場まで抱えていくよ。

だから、周りにとっては、私の嘘は「真実のようなもの」。

でも、私にとっては、大きな嘘で。絶対に忘れてはいけないし、忘れられない嘘。


ごめんね。




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