第7話 なにが起きてもこの世は動いているものだ

「それでも地球は回っている」


とは、かの有名な、ガリレオ・ガリレイの言葉。


「それでも地球は動く」


が正しいみたいですけど。まぁ、どちらでもよい。


「それでも地球は回っている」


っていう漫画、確か昔読んだな~。面白かった記憶がある。


それも置いといて。


大きくなるに連れて、当たり前の事なんだけど、自分にとっては【とんでもない現実】に気付く事を、「成長」と呼ぶのだろうかねぇ。

私にとって、最初に気付いた【とんでもない現実】は、忘れもしない、就学前の頃。

ある日、おトイレに入っていて、ふと、気付いたのは。


あれ?

もしかして。

私の大好きな、あの可愛いアイドルの●●ちゃんも、おトイレするのっ?!


当たり前なんだけどね。

人間なんだから。

でもね、小さくて、今よりもっと夢見がちだった私にとっては、それはもう、【とんでもない現実】だった訳で。


あの●●ちゃんが・・・・の可愛い●●ちゃんが・・・・


ほえ~・・・・って。結構打ちのめされた気がする。

まぁ、立ち直りも早いけど(笑)


その次に気付いた【とんでもない現実】が、タイトルの「なにが起きてもこの世は動いているものだ」かなぁ。

細々したものは合間にたくさんあったかもしれないけど、今忘れてるってことは、そうでもなかったんだよね、きっと。


その日、中学生だった私は、通学のためにバスに乗っていて。

そして、ものすごく、お腹が痛かった。

それはもう、脂汗が出るくらい、痛かった。

・・・・お腹、弱かったんだよな。今から考えれば、この腹痛も、ストレスから来るものだったのかもしれないけど。

でも、もうすぐ学校だし。

学校に着くまで、なんとか我慢しよう、って。

痛みに耐えていた時にね。

ふと。

車内にいる他の生徒達(このバスは、通学時間帯は、ほぼほぼ、うちの学校の生徒で占められていた)がね、楽しそうに笑ったり、ふざけ合ったりしているのさ。

それは、至って普通の、日常的な光景。

でも、私はものすごーく、お腹が痛くて。それはそれは、辛くて。

それで、気付いた。


そうか。

私がどんなにお腹が痛くたって、他の人にとって、それは全く関係のない日常なんだ。


って。

ほんと。なにを当たり前のことを。って感じなんだけど。

それがものすごく、衝撃的な、私にとっての【とんでもない現実】。


しかもこれって、逆のことにも当てはまる訳で。

知らない誰かが今どこかでどんなに苦しい思いをしていたとしても、もしかしたら、私にはとってもいい事があって、浮かれ気分ではしゃいでいたりするかもしれない。

って。


ああ、だから時間というものは、安易に止めたり早めたり出来ないようになっているんだなぁと、ものすごく納得したのでした。


だって、さ。

今私がものすごーく幸せで、『今が永遠に続きますように』ってお願いして、もしうっかり叶ってしまったりしたら。

その『今』、ものすごく苦しい思いや悲しい思いをしている人は、永遠に苦しんだり悲しんだりすることになる。

それは、ダメだ。

そんなのは、絶対、ダメだ。

逆もまた、しかり。

永遠に辛いとか、永遠に苦しいとか、絶対ヤダっ!

そんなの、耐えられないっ!


どんなに楽しくても、どんなに幸せでも。

ものすごく苦しくても、ものすごく辛くても、ものすごく悲しくても。

なにが起きてもこの世は動いているものだ。

そうでなければ、いけないのだ。


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