娘の体調

「先生、娘はどこか悪いのでしょうか?」

「いえ、特に体に異常は見られておりません」

 

 元気だけが取り柄の娘が数日前から体調を崩している。

 胸の辺りを押さえているのが気になり問い詰めたが、娘からは曖昧な返事しか返ってこない。

 そのため、今日は学校を早退し病院で検査を受けることにしたのだ。

 週末というのもあり、院内はひどく混み合っていた。

 

「ずっと苦しそうなんです……。他の検査もされたんですよね……」

「はい。しかし、血液検査もレントゲンも問題ありません。」

「そうですか……」

「申し訳ありませんが。ひとまず対処療法で様子を見ましょう。お薬を出しておくので、不調が続くようならまた週末にお越し下さい」

「……はい。ありがとうございました」


 結局、薬をもらい帰宅した。

 

 なんだろう。お医者さんにもわからないなんて……。

 きっと重い病気に違いない……。


 そんなことを考えていると不意に娘の携帯が鳴った。




 週末、娘は病院に行かず彼氏とデートに行くそうだ。

 





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