アプローチ13
せっかく連絡できるツールを手に入れたけど
これといった話題がないので
やりとりできるキッカケがほしいところ。
次の日。
棚卸しの計算が合わないらしいという情報がきた。
計算しているのはhanaさん。
これだ。
昼休み。
「棚卸し、合わないそうですが大丈夫ですか?」
既読にはなるものの、
返信がくることはないまま昼休みが終わった。
帰りも会うことはなく、
俺が駐車場に行く頃には
もう既にhanaさんは帰った後で
あー、やっぱり送らなければよかったかも
少しだけ後悔した。
帰宅途中のコンビニで
スイーツを物色していたら
hanaさんから返信がきた。
「お疲れ様です。
そうなんです。合わなくて…
私の入力が間違ってるんじゃないかと
上からは言われるし、疲れちゃいました。
坂下さんのように、集計のことまで気にしてくれる人がいたんですね。合うまで頑張りますね!」
お?
おお?
好感触??
「僕はhanaさん側なので、愚痴ってくださいね!
できることがあればなんでも言って下さい!」
そう。俺はhanaさん側なのだ。
ほんとになんでもしてあげたい。
「ありがとうございます♪」
hanaさんは、工場長をサイフと思っているのは
果たして本当なんだろうか。
工場長の立場をたてて、
そう言ってるだけじゃないのか?
買えば喜んでくれるけど
おねだりされたことはないし
むしろ、気を遣われてる気がする。
人の金でどうにかしようとする人だとは
とても思えない。
もし本当にそうなら
明日はあれ食べたい!とか
今日はこれ飲みたい!とか
誰にでも言うはずだ。
俺は手に取ったプリンをレジに持っていく。
明日このプリンで
hanaさんを笑顔にしたい。
大袈裟じゃなく
本当にそう思った。
次の日。
運良く朝イチでhanaさんと会えた。
「おはようございます」
「おはようございます!」
いつもと変わらぬにこやかな笑顔。
「あの、これ、頑張ってるhanaさんに」
「わ!え?いいんですか?」
「はい、嫌いじゃなければ」
「嫌いじゃないです!大好きです!」
とびきりの笑顔と言葉。
もし君が
何も知らずにそうしているなら
教えてあげたい。
君のその笑顔と言葉ひとつで
今日1日頑張れるほど
惹かれている男がいることを。
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