アプローチ9

好き の感覚は人それぞれ。


LIKEでも 好き

LOVEでも 好き


でもそれは

独身の時のあれこれの話。



俺に限って

不倫なんて到底できるわけない。


今のこの状態は

どんな関係なんだろう。



一方的に好きなんだとは思うけど

その 好き ってのは

LOVEとかそーゆーアレではないと思う。


LIKEか と言われたら

なんか少し足りない気がする。


でもLIKEとLOVEの間には

一体何があるというのだろうか。




頭の悪い俺には理解できないが

どうやら俺は

hanaさんのことを特別好いているようだ。


なんか武士のような言い回し。


別に家族のことが好きじゃないとか

嫁が冷たいとか

そーゆーことはない。


hanaさんももちろん家庭があるし

それを壊したいとも思わない。


不倫にまでは達していないし

それを望んではいない。


ただ、

社内に

特別好いている人がいるだけ。


だって連絡取り合ったりもしてないし。


次々と

「俺はそーゆーことはしない」理由が

浮かんできては肯定した。


うん。

そーゆーのではない。






しばらく

自販機前でhanaさんと会わないようにしてみた。


気配を感じたら即!移動。

事務所にも寄らないようにして


仕事でどうしても話さないといけないときは

苦手だけど橋口さんにお願いした。


うーん。。。



びっくりしたのは


hanaさんに会えるのを楽しみにしていた日々と


モチベーションの上がり方が全く違うということ。



まーーー



上がらない。





1週間はこれで頑張ってみることにした。


自分にとって

hanaさんがどれだけのものなのか

確かめたかったというのもある。



月曜日。

ドア越しに見えたhanaさんを

思わず目で追ってしまった。



火曜日。

自販機前で思わず声をかけそうになった。



水曜日。

遠くから笑い声が聞こえただけで

そっちにふらっと吸い寄せられそうになった。


木曜日。

夢に出てきた。


金曜日。

朝イチ、挨拶だけした。

でも、目を合わせることができなくて

自分でもわかるほど赤面だった。


土曜日。

休日出勤だから、hanaさんはいなくて

ホッとしたような寂しいような。



日曜日。

休み。穏やかな休日。

と思いきや、家族の買い物に付き合わされて

あっちこっち歩き回ってぐったり。

ちょっとトイレ…という口実で

コーヒー買って、ベンチで一服。

⬆今ここ。





ぼーーーっとしながら

行き交う人達を眺める。


hanaさんと同年代くらいの女性が

たくさん通る。


髪の色とか、あんな感じだったっけな。

あの人よりは細いか。

あそこまでガリガリじゃないな。

あんなカバンだったような?

髪はもっと短い…



さっき火をつけたばかりだと思っていたタバコは

ほとんどなくなっていて


足元に落ちてしまった灰に

罪悪感が増した。



あー…

俺ってこんな奴だったのか。


好みの女性って言われても

ピンとこなくて


美人は苦手だし

軽い男も軽蔑していた。




結婚したのは

子供がデキたからだったけれど

嫁のことは好きだったし

子供も可愛いと思うし

家族の時間は大事にしてきたつもり。



……でも家族とは別だ。



仕事のモチベーションがあがるなら

それ以上前に進まないのなら

職場にお気に入りがいたって

何ら問題ない。



この一週間でわかったこと。


俺はhanaさんのことが

好きだ。

気に入っている。


でも下心はない。


ただ、可愛がりたい。

それだけだ。


それだけ。

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