アプローチ7

部署が変わってから、

良かったことが1つ確実にある。


hanaさんとグッと距離が近くなった。

仕事のやりとりが増えたことで

必然的に話をする機会も増えた。


合間で冗談を言い合ったり、

同じパソコン画面を見ながら

あーだこーだ言うこともある。


距離。

距離が近い。


そして

その度にhanaさんのことを

意識して、惹かれていく自分に気づく。


あーぁー。

職場にそーゆー人がいるって、



いいな。

マジで。




スイーツアプローチは絶たれたものの

最近は自販機前で会えたら

飲み物をオゴっている。


もちろん、買って!と言われるわけではなく。


自発的に!喜んで!!買っている。



そしてhanaさんはいつも

「ありがとうございますー!」だとか

「やったー!」だとか

純粋に喜んでくれる。



それがとても心地よくて

また会いたくなってしまう。


自尊心が満たされる気がする。

そして癒し効果も。



あの笑顔を見られるなら、

100円200円なんて、毎日でも出せる。




夕方。

定時前に事務所を出るhanaさんを見かける。


戻ってきたら、何か買えるかな?


掲示板を見ているフリをして

待ってみる。



笑い声が聞こえて、

戻ってきたhanaさん…と、工場長。


「あ、お疲れ様でーす」

にこにこなhanaさん。


手には飲み物を既に持っているではないか。


先にやられた。工場長め。




手洗い場にいるhanaさんの隣に

いつも飲んでいるミルクティーを置く。


「え?」

「ここで会ったら、買うことにしたんで!」

我ながら強引。

なんだよそのルールは。


「えぇ?ありがとうございます」

戸惑いながらも笑ってくれる。


そりゃそうだよな。

同じミルクティー2本もあるんだから。


でも俺は決めたんだ。

ここで君に会ったら、買う。

たとえ同じミルクティーを

既に持っていたとしても…!


さすがに気づくだろ。

ここまでアピールしてるんだから。


他の男に飲み物買わせるなよ。

俺だけにしろよ。



しかし、彼女は今日も気づかない。

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