不意打ち!〜押してダメなら強引に〜
「どーしても告白できない!どうすればいいの!?」放課後の教室、机の上に突っ伏しながら親友が叫ぶ。なにやら事情がお有りのようだ。
「告白ねぇ。ただ『好きだ付き合ってくれ』って言うんじゃ駄目なのか?」
「それがやすやす出来たら私、こんな苦労しないよ〜」
「面倒くせえ奴だな……まあそんなとこ俺、嫌いじゃないけどさ」
「どうせ私は面倒臭い奴ですよっ!」ちょっとスネてしまったようだ。これはいけない。
「すまんすまん。俺協力するからさ。」
「協力って言ったって何するのよ?」漫画みたいに頬を膨らませながら言う。こいつはこういうとこが可愛いのだ。
「お前にイヤモニつけて貰ってそこから俺が指示する。そうすれば多分トチッたりとかもないだろ?」
「それで告白成功したところで、だよ……。だいたい私は……。」
「それなら、告白出来ない理由を洗い出してみてみようぜ。そこから一度それらを分解して要素ごとに取り出してひとつひとつつふさに検証してそこから告白出来ない理由を潰して……。」
「それ余計に面倒になってない?」真っ当といえば真っ当な答えが帰ってきた。そりゃそうか。
「そうか?それじゃあ簡単に、不意打ちでキスしてそのままダッシュで逃亡しろ。」
「そんなムチャクチャな……。」怪訝な表情を見せる。まぁこんな事突然言われればそうなるか。
「いや、俺わりかし本気で言ってるぜ。まずお前かなり色んな奴から好かれてるぜ。俺はお前の事狙ってるやつ二人知ってるし。」
「し、知らなかった……。」
「そうか?で、だ。ということはお前の想い人もお前に対して好印象持ってる可能性は高い。そういう人からいきなりキスされたら最初はびっくりするとは思うが、悪くは思われないはず。そしてお前の真意を知るためお前やその周辺に探りを入れるはずだ。そこで告白すれば成功確率は高い!」
「……随分と自信満々なのね。……まぁ試して見てもいいかな。」ぽつりと親友は言う。腹を括ったか?
「うまくいったら顧問料にラーメン奢ってくれよ!」
「りょーかい。……ところで窓の外のあそこ、あの山の近くに浮かんでる雲、あれの名前わかる?」その言葉で俺の目は窓の外へ向く。
「あぁ、あれな。うーん。単なるかなとこ雲だろ。それがどうし……」と言いかけ、親友の方へ向き直ったところで親友の顔が俺の顔のすぐ近くまで来ていた。そして唇に暖かく、柔らかい感覚があった。しばしの後、唇どうしは離れた。と間をほとんど置かず親友は何も言わず教室から出て走り去って行った。
「ちょっとまて!」とか言いながら俺も教室を飛び出してみるが、親友は見当たらない。振り切られてしまったようだ。
まさか、あいつが好きなのって……。
「おいおいおいおい……マジかよ……。」俺はもうそれしか言えなかった。
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