第34話 将来の目標となるもの
この世界は素晴らしく.....だがその中でもたまに困難がある。
それがこの世界だと思うんだ。
だけど.....それでも俺は椋と一緒なら本当に全てを乗り越えれる気がする。
俺は思いながら.....夜中に横になって考える。
全てを思い返しながら、だ。
出会った事も話した事も全部。
ここ最近の出来事を全部。
するとノックが聞こえてきた。
次に椋の声がする。
「雪歩くん。.....まだ起きてる?」
と椋がやって来たのだ。
それから俺に笑みを浮かべる椋。
俺はその姿に、起きてるよ、と返事をしながら電気を点けた。
どうしたの?、と聞いてみると椋は、寝れないからね、と返事をする。
「楓とスマホでやり取りしていたけど.....でも何だかそれでも寝れなくなったから」
「そうだな。俺も寝れない感じだ。.....何か話でもする?」
「そうだね。.....一緒に茨城の事を考えない?」
「.....それはどういう意味だ?」
「私も考えたの。.....楓と一緒に。.....そしたら答えが出たの。茨城の過去はやっぱり許せない。.....でも私も考えを改めるべきなのかな、って」
かなりビックリした。
そうか、と思いながら俺は椋を見る。
椋は、それから茨城の恋を応援してやろうかなって思った、とも話す。
だいぶ変わったな.....椋も。
考えながらベッドの横を空ける。
「.....椋。だいぶ考えが変わったな。お前も」
「何時迄も恨んでも仕方がないって事だよね。.....そう.....何だか思ったの」
「椋.....」
「.....私は.....大切な貴方が傷付いた事を許せないから。.....だから私は全てを許す気にはならないよ」
「.....俺と同じだな」
「でも改心はしているから。全てを許せないで片付けて良いのかなって思うから」
言いながら椋は俺の部屋を見渡して笑みを浮かべる。
俺はその姿を見ながら、この部屋は実は中学時代のままなんだ。家具の位置は変わってないんだよな、と言う。
そうなんだ、と椋は周りを改めて見渡す。
「エッチな本とか無いの?」
「.....は!?いや。無いよ?」
「アハハ。まあ無いよね。君だから。男の子の部屋ってそんな感じな気がしたから」
「まあ.....だよな。男の部屋ってそんな感じだよな」
俺は顎に手を添える。
そして考えてみるが.....まあだよな。
田中とか首藤とかはエロ本ありそうだが。
今頃クシャミとかしているんじゃ無いだろうか。
思いつつ.....俺は苦笑する。
「それにしても本当に色々あったね。この過ごして来た中で」
「まあ.....終わったけどな。色々と」
「.....そうだね。でも終わりじゃないと思う。まだまだ」
「そうだな。.....でももう困難な壁は無くなったと思う。だからもう大丈夫だ」
「その、終わりじゃないと思う、じゃないよ」
え?、と思いながら椋を見る。
椋は無邪気に笑みを浮かべながら、みんなが幸せになって終わりだよ。全部はね、と言いながら椋は俺の手を握る。
そうだな。まあこれまであった分.....幸せになりたいよな。
成程な、と思いながら椋を見た。
「みんなが幸せになって愛に溢れてから終わりだよね」
「そうだな。確かにな」
「.....だから今は.....終わりじゃないから」
「そうだな.....」
俺達は言いながら棚を見る感じで寄り添う。
それから、アルバムあるね、と椋が言う。
俺は椋の言われた通りアルバムを見る。
まあ中学校の卒業写真だな。
思いながら椋を見る。
「差し支え無かったら見ても良いかな」
「.....俺の昔の写真?見ても碌なことは無いけど.....」
「.....うん。でも幼い頃の君を見たいな」
「言っても2年ぐらい前の写真だぞ?幼いか?」
「私にとっては君の写真は.....昔だったら幼い感じ」
「ふむ。なら見ても良いけど.....ろくな写真じゃないよ?」
言いながら俺は棚から写真を持って来る。
卒業アルバム、将来の事を書いた資料とか。
そんなのを、だ。
俺はそれを持ってきながら少しだけ過去を思い出す。
そういやそんな事もあったな、とか。
修学旅行とか、だ。
「.....有難う。見ても良い?」
「ロクな事ないけどでも見て良いよ。君だったら」
「うん。じゃあ失礼して」
そして見始める椋。
それから俺に色々聞いたり考えたり。
そんな事をしながら写真を見ていった。
その中で.....俺に椋が向いてくる。
やっぱり君の笑顔は輝いているね、と言いながら。
「.....ああ田中と首藤の野郎の.....悪戯だな。全く」
奥の方の余白。
つまりサインの所に写真が挟まっている。
それは.....田中と俺と首藤がふざけて撮った写真。
とは言えそれしか笑ってないけど。
俺は.....。
だけど椋は満足げな感じだ。
「君の大切な存在だね。田中くんと首藤くん」
「.....アイツらが居なかったら今の俺は無いと思うよ。.....軽く一線を超えているけどね。でも.....それがアイツららしい」
「ふふ。私の卒業写真より良いかも」
「今度見せてくれないか」
「.....うーん。つまらないよ?」
「俺にとっちゃつまらなくないからなぁ」
言いながら俺は笑みを浮かべる。
椋は見開きながら、うん。じゃあ今度見てもらおうかな、と笑みを浮かべる。
楓の卒業写真は.....それなりなんだけど私は例の件があったりしたからね、と見つめてくる。
そうか.....、と思う。
遠野の件か。
「.....でも今思い返せばそれも思い出かな」
「.....そうだな。.....死んじまったけどな」
「そうだね。結局馬鹿な人は最後も馬鹿なのかな」
「.....そういう事じゃないと思う。だがまあ.....俺達の救いを無視した救いようがなかったのは言えるかな」
遠野でも変われる。
そう思って俺がせっかく救おうとしたのにな。
それを悪と見做して俺達を拒絶したからだから死んだ。
結局最後は惨めな死に方になったしな。
でもどうしようもなかった気もするけど。
考えながら俺は目の前を見る。
「そう。きっとアイツは何か変われたと思うけどな」
「本当に優しいね。雪歩くんは。でも仇になるから気を付けてね。.....それが.....」
「知ってる。もう教わったから」
「.....そうなんだね」
顔を見合わせる。
それからクスクス笑いながらそんな会話をしながら俺は横で将来の夢の資料で俺を探している椋を見る。
その中で、将来って何になりたいの?、と椋が聞いてきた。
俺は言葉に直ぐに顎に手を添える。
今は無いかな、と言いながら。
だが椋は俺の将来の目標を探し当ててから目を丸くしてこんな事を言った。
「え?でも何だか心療内科のお医者さんになりたいって書いてあるよ?雪歩くん」
「.....え?本当か?.....あれ本当だ」
「ふふっ。そうなんだ。.....君なら絶対になれるよ。お医者さん」
「まあその知能指数がな.....」
「大丈夫。関係無いよ。努力だよ。必要なのは。私が大丈夫って言っているんだからね」
その様に俺を言い聞かせる椋。
俺は見開きながら、だな、と返事をした。
そんな感じでお互いに話をしながら俺達は夜を明かす。
とは言っても.....途中でコックリコックリと眠そうな感じになっている椋を見たので途中で会話を止めて俺達は寝た。
それは.....まるで寄り添う様に、だ。
恋人の特権だな、って思った。
翌日の日が差し込んだ。
昨日の嵐が本気で無かったかの様な。
そんな感じだったが。
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