第30話 初恋の真実

かくれんぼ、という形で俺達は遊んでいた。

その中で.....椋が何かを発見した様に俺の元にやって来る。

それは.....俺と田中と首藤の小学生の頃の写真のアルバムと。

俺の卒業アルバムだ。

それらの.....アルバムを楽しそうに見る椋に聞いてみる。


「椋。.....君の無いのか」


「.....有るけど見たくない。.....引き篭もっていたのもあるし.....まあその、うん」


「そうなんだな。.....御免な。余計な事を聞いて」


「.....うん。.....でも雪歩君と一緒なら見れるかもね。.....今度見ようかな。一緒に」


「そうか」


先ずは、と思いながら幼稚園時代の卒園アルバムを見る。

すると椋が、あれ?、と言った。

それ、を見ながら、だ。


その物品は.....四葉のクローバーの押し花の栞だ。

俺は?を浮かべる。

これは幼稚園時代に、休んでいる女の子に頼まれた、って感じで俺の知り合いの女子がくれたのだ。


つまり幼稚園時代に貰ったモノだ。

誰が作ったものか分からないのでその。

椋が気に止める必要はないと思ったのだが.....次の瞬間。

顎に手を添えながら椋がとんでもない事を言った。


「これ.....私が作ったものだった気がするよ。幼稚園で.....ああそう。.....気持ち的にうつ的な時だったから.....記憶が.....その。あまり覚えてないけど.....」


「.....え.....それって.....」


「ねえ。雪歩君。.....この押し花の人.....気になったかな」


「.....それは.....気になったよ。だってわざわざ栞を作ってくれて俺に渡してくれた.....んだから.....あれ?それだったら.....」


それを考えると.....っていうか!?

どういう事だ!?椋が幼稚園に居たのか!?

何故俺は.....気が付かなかった!?

と思ったが.....椋が苦笑する。


「私、その時は転園して来たけど病弱だったからあまり登園してないんだ。そうだね.....ずっと昔の記憶を押し殺そうと忘れていたけど.....あれ?それじゃあ私の初恋って.....幼稚園で.....君に!?」


お互いにハッとして見つめ合う俺達。

そしてボウッと俺達は赤面した。

それを考えると.....椋の初恋は俺なのか!?


そして俺は椋に初恋を!?

俺は.....真っ赤になる。

身が震えた。

まさか.....そんな馬鹿な!?

椋が涙を浮かべてから唇を噛んで震えてから嗚咽を漏らし始めた。


「じゃあ.....私、結局.....雪歩君に先に恋をしていたんだ.....そうだ.....思い出してきた気がする.....私.....君に初恋をしたんだ。アイツじゃなくて。でも私は君と離れ離れになっちゃったから.....気持ちを押し殺して私は忘れていたんだ」


「.....俺は誰が作ったのか分からなかった。.....だから.....覚えてないし記憶が断片的にしか無いんだ.....」


「嬉しい。.....私の初恋は君に向いていたんだね。雪歩君」


「.....俺達は結ばれる運命の元にあったんだな」


その様に言いながら俺達は手を握る。

そして見つめ合った。

そうなんだ.....俺は。

初恋は茨城じゃなかったんだな。

どんな形であれ.....繋がっていたんだな.....椋と。


「ねえ。雪歩君。小学校のアルバム.....見て良い?」


「.....良いけど.....変な奴らばっかだぞ?」


「良いの。君の事がもっと知りたいから」


「そうなんだな。.....じゃあ任せる。好きなだけ見て良いし.....質問があったらしてくれ」


「.....うん。有難う。雪歩君」


俺達は幸せだった。

何故かといえば.....初恋の件はもっと昔にあった事がである。

その事がとても幸せだった。

俺は考えながら.....椋を見つめる。

椋は俺の顔を見てきた。


「.....ふふっ。昔から変わって無いね」


「そうだろ。俺の馬鹿さも.....田中も首藤もみんな馬鹿は変わってない気がする」


「うん。でも初恋の人のアルバムを見るのが.....こんなに楽しいなんて。気分が上がる感じだね」


「.....そうだな。俺の初恋相手でもあるしな」


「だね」


「.....ああ。好きだよ。椋」


そう言うと椋は見開いた。

それから俺を見てくる。

今。私の事だけど好きって言ったよね?、と。

俺はハッとする。

それから椋はニコッとした。


「言える様になったんだね」


「.....茨城の件が緩いだのかもな」


「有難う。雪歩君。その言葉が聞きたかった。愛してるも良いけど.....好きって言われる方が心にくる」


「.....そうなんだね」


「うん。.....当然私も好き。.....雪歩君の事が大好き」


それに負けないぐらい俺は好きだ、と言うと。

じゃあ私は地球一好き、と言ってくる。

俺は、じゃあ宇宙一好きだ、と話してから胸に手を添える。

そう。この気持ちは本物だな。

思いつつ、だ。


「宇宙一の次って何だろう」


「.....さあ。アハハ」


「ウフフ」


そして俺達は指差しながら俺を探したり。

田中と首藤のアホっぷりを見ながら爆笑したりした。

それから少しだけ横になって休憩をする。

そうしてから椋を見た。

すると横に居た椋は俺の手を握っていて笑みを浮かべている。


「.....本当に今日デートして良かった。.....こんな発見があったんだもの」


「.....そうだな」


「雪歩君。生涯のパートナーとして一緒に居てね」


「うん。約束する」


そして俺達はまた笑い合う。

こんなに幸せな世界は本当に崩したく無いもんだな。

思いながら、である。

椋は.....本当に嬉しそうだしな。

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