第24話 海デート(2)

仮にも勢いでやって来たは良いものの。

俺は.....何だか恥ずかしくなってきた。

だってそうだろう。

カップルも来ている.....様な砂浜が明るいビーチ。


俺も先に水着に着替えたが.....そのパラソルとか。

そんなのどうしようとか悩んでしまう。

飲み物とかボールとか!

借りれる事が出来るらしいが.....動くと場所を取られてしまうかもしれない。


それを考えると.....ああ!

だけど四方八方にカップルカップルカップル.....。

ああ!どうしよう!

恥ずかしい!、と思っていると。

お。お待たせしたね、と声がした。


「.....!」


「.....ど、どうかな」


現れた椋。

水玉のビキニ.....だがその。

上着を羽織っている.....とかそんなのはどうでも良い。

胸.....が.....大きい.....、とかじゃない!

だ。駄目だ.....!


「.....胸がキツい.....かも。間違えたかな。サイズ.....」


「そ、そうですか.....それは.....また.....」


「あ.....わ、分からないよね。ご、ゴメン.....」


麦わら帽子とビキニと上着。

すごく似合っている。

赤くならずに.....居られない。


そして熱くならずに居られない。

ど。どうしたものか。

思いながら.....俺は顔が見れない椋の顔をなんとか見る。

すると椋は、格好良いね。やっぱり好きな人の水着姿、と笑みを浮かべて言う。


「.....そんな事無いよ。お腹も割れてないし.....格好悪い」


「これで逆にムキムキだったら心配するかもだよ。だって.....雪歩君はそんなタイプじゃ無いから。.....悪い意味じゃないからね」


「分かってる。.....でもそれはそうと本当によく似合ってるよ。水着」


「そ、そう?.....良かったぁ.....」


笑顔を浮かべながら俺を見てくる椋。

俺はその姿に笑みを浮かべながら横を空ける。

それから荷物を横にずらした。

そして横に椋が座って来る。


「.....ちょっと何か食べてから動こうか。いっぱい遊ぶだろうし」


「そうだね.....うん」


「さっきのクッキーもそうだけど.....マドレーヌで良いかな」


「うん。大丈夫。美味しいから。どんなものでも」


椋はニコニコしながらそのままカゴからお菓子を取り出しながら渡してくる。

そのお菓子を摘んで食べる。

すると今度は何か500mlのペットボトルを取り出した椋。

それから.....渡してくる。


「これはお茶。.....ジャスミン茶」


「.....ジャスミン茶?」


「紅茶は熱いから.....今の状況には似合わないからね。冷たいもの」


「.....そうなんだ。.....有難う。配慮してくれて」


「そんな事無いよ。当たり前の事をしているだけだから」


言いながら椋は笑顔を浮かべつつ。

ペットボトルのジャスミン茶を飲む.....っていうか。

その。艶かしい.....んだが.....。


困ったものだ。

俺は思いつつ恥ずかしさを隠す様にジャスミン茶を飲む。

それからクッキーを食べた。


「.....良いね。やっぱり海って」


「そうだねぇ。確かに」


「私ね。海って思い出があるの。.....お父さんと一緒に来たの。.....傷付いていた時に.....来たの」


「.....そうなんだね」


「うん。だからその場所に大切な人と来れて.....嬉しい」


体操座りをしながら.....目の前の海を見る椋。

それから俺をにこやかに見てくる。

俺はその姿に同じ様な表情をしてみる。

すると椋は、じゃあ、と言いながら立ち上がった。

そしてボールの萎んだものを見せてくる。


「遊ぼうよ。これで」


「.....え?借りてきたの?」


「うん。レジャーシートを借りたなら、と思って」


「じゃあ遊びますか」


うん、と言いながら口角を上げる椋。

それから膨らませ始めるが。

頬が膨らんで餅.....というか栗鼠の様だ.....。

可愛い感じで膨らませる。


俺はその姿に、俺がやろう、と言いながら受け取る.....あれ。

椋は頷きながら期待して見てくる。

これは完璧な間接キスだよね?

ちょっと恥ずかしいかも.....。

と思っていると椋が聞いてきた。


「.....大丈夫?」


「.....い、いや。間接キスだなって」


「そんなの気にしないよ?.....だって恋人同士なんだから2回もキスだってしているじゃない」


「そ、そうだね。確かに」


言いながらそのまま膨らませた。

それからボールが出来上がったので立ち上がって椋を見ている.....と。

そのタイミングで何かチャラい男がポケットに手を突っ込んで現れた。

そこの彼女。可愛いね。俺と遊ばない?、的な感じで。

その事に全くと無視をする椋。


「オイオイ。お前さん。無視すんなって」


だが諦めずに椋の肩を掴むその男。

俺はその事に不愉快な感じを見せながら溜息を吐く。

そして男の腕を掴んだ。

それから、止めろ、と言う。

すると男は、あ?、と眉を顰めた。


「.....ヒョロガリは黙ってろよ」


「いや。そう言っても俺はこの娘の彼氏だからな。.....手を出すな」


「お前なんかより俺の方が似合ってるつーの」


言いながら椋に触れようとした.....のだが。

椋がそのまま物凄い回し蹴りをした。

バァンと音がする。


それから当たった部位を痛がる男。

そんな姿を冷徹な目で、しつこい、と冷めた感じで男に告げた。

そうしてから、行こ。雪歩君、と言いながら俺に笑みを浮かべる。


「.....ったく.....畜生めが。.....覚えてろ」


言いながら男は睨んで吐き捨ててそのまま背を向けて去って行く。

その姿に、んべ!、と小さな舌を出しながら椋は怒る。

もう会いたく無いよ、的な感じで。


そんな姿を苦笑して見ながら、大丈夫?足、と聞いてみた。

すると、全然。太もも蹴ったし。昔は空手やってたからね、と答える椋.....え.....。

俺は目を丸くする。


「.....えっと.....空手やってたの?」


「そうだよ?雪歩君。中学生ぐらいまでやってたんだ。.....小学校の頃の事を克服する為もあってね」


「そ、そうなんだ。それは.....つ、強いね.....」


「アハハ。雪歩君を守れるかな」


「.....そ、そうだね」


俺は少しだけ青ざめながらだったが椋を見る。

椋はニコニコ笑顔で俺の手を握る。

そして赤くなりながら手を摩ってきた。

その事に俺は頷いてから椋の手を摩ってみる。

それから頷き合いボールを持って海に駆け出した。


「ねえ。雪歩君。ドン引きした?」


「.....してないよ。.....椋が強いって秘密を知ったから嬉しいかな」


「うん。.....それなら良かった。.....有難う」


それから笑みを浮かべて俺達は海に入った。

先ずは浅瀬で.....それから準備運動してから深い所に行こう。

思いながら.....俺は椋を見る。

椋が海水を胸辺りに掛けてきた。

それも勢い良く、だ。


「アハハ」


「.....やったなぁ?.....椋」


言いながら俺はニヤッとする。

それから海水を掛けて遊ぶ。

当初の目的からズレているが.....でも楽しい。

思いつつ俺達は海水を掛け合った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る