第19話 ひだまりという椋の実家の店が出来た理由
何故か知らないが。
俺の前に元初恋のクソ女が現れた。
その女と俺は滅茶苦茶に仲が悪く.....何方かといえば俺に対して最初にイジメを起こした起源の女だ。
そんな女とは猛烈な感じで敵対している。
何故こんな女を好きになってしまったのか.....今でも考えている。
その女の茨城と敵対から別れてから椋に誘われ俺達は椋の家に行った。
これも椋の配慮だろうとは思う。
申し訳無いな、と思ってしまった。
「ゴメンね。椋。本当に不愉快な気持ちにさせて」
「何で?雪歩君はあの人が現れた事に関係無いよ。あの人はやがては一人になっていくから。あんな態度だったらね。私達はそんな事は無くて.....世界が私達を見る。それがこの世界の定めだよ。雪歩君。だから大丈夫」
言いながら椋の実家。
カフェ(ひだまり)に俺達はやって来た。
椋がインターフォンを押すと玄関のドアが開く。
それから.....笑みを浮かべて父親らしき人が出て来た。
かなりダンディーな感じの髭を持っている丸眼鏡のエプロンを着けている男性。
「.....椋。お帰り。.....それから初めましてだね。君が椋の彼氏の雪歩くんかい?」
「は、初めましてです。.....田中雪歩です」
「そうか.....。僕はマスターの音無一吾(おとなしいちご)って言います。宜しくね。雪歩くん」
「一吾さん。宜しくです」
「.....礼儀正しい子だね。椋」
「そうでしょ?お父さん」
そんな会話をしながら俺達は笑みを浮かべ合う。
すると椋は、早速だけどお父さん。コーヒーとケーキをお願いします、と笑顔をそのまま椋は浮かべた。
一吾さんは頷きながら、分かった。約束だったからね、と柔和な感じを見せる。
俺は頭を下げる。
「特等席に彼を連れて行ってあげてくれないか。椋」
「うん。当たり前」
「.....お世話になります」
そう言いながら俺は頭を下げた。
それから椋が俺の手を引いてくる。
じゃあ早速だけど、と言いながら、だ。
雪歩君。こっち来て、と言いつつ椋は駆け出して行く。
とても元気に、だ。
「ちょ。椋.....」
「あはは。行くよ雪歩君。今日は私の奢りだから」
因みに、ひだまり、だが。
かなり良い雰囲気のお店だ。
住宅街に有り隠れ家的なお店に見える。
ガレージが切り開かれていて天井が透けて見えるお店である。
俺はその、ひだまり、の特等席と呼ばれる場所に呼ばれた。
その場所は街が一望出来る場所だ。
緊張しながら周りを見渡す。
「雪歩君。どう?この場所は」
「う、うん。緊張するけど周りは見渡せるね。一望出来るのが凄いね」
「雪歩君の為に内緒にしておいたからね。.....だからよく見てね」
「.....有難う。椋」
言いながら俺は笑みを浮かべる。
そして.....椋も笑みを浮かべて椅子に腰掛ける。
横の丸椅子に、だ。
俺は、?、を浮かべて椋を見る。
椋は俺の手を握ってきた。
「.....ゴメンね。何か.....怒った顔とか見たくなかったよね」
「そんな事無いよ。俺の代わりに一生懸命に怒ってくれた。それは.....大きいよ」
「.....雪歩君.....」
「君は一生懸命に俺の為にやってくれているよ。有難う」
笑みを浮かべながら俺は椋を見つめる。
椋は赤くなりながら、えっと。じゃあお礼にキスして、と言ってくる。
俺は、へぇ!?、と思いながら真っ赤になる。
周りを見渡しても客は居ないが恥ずかしいのだが。
思いながら.....俺は赤面する。
「む、椋。それって本気?」
「うん。どんな場所でも.....あ。.....じゃあ私からしようかな」
すると椋は俺の頬に手を添えた。
それから俺の唇に重ね合わせてくる。
俺は真っ赤になりながらその姿を見る。
そして椋はニコニコしながら、えへへ、と言う。
それから俺の手を握ってくる。
「.....大好きだよ。雪歩君」
「.....そうだね。俺も愛してる」
そして.....俺達は口角を浮かべ合ってから見つめ合う。
そうしていると、もしもし?2人がた、と声が.....うわ!?
目の前を見ると.....小学生の様な女性が居た。
女児!?、と思ったが。
お。お母さん!?、と椋が言う.....えぇ!?
「やっと気が付いたわね。.....全く」
小学生の高学年。
つまり.....綾香ぐらいの身長しか無い。
だけどエプロンを身に付けて童顔ながらも威厳がありそうな顔をしている。
美人顔じゃ無いが可愛い顔だ。
これはマジか、と思いながら唖然としていると椋が赤くなって叫んだ。
「も、もう!お母さん!いつから見ていたの!」
「ずっと。.....全く貴方達はこんな場所でイチャつくなんて.....」
「す、すいません.....」
「.....まあ良いわ。椋。手伝って欲しい事があるから来て頂戴」
「あ、うん」
言いながら、じゃあ後でね雪歩君、と言いながら笑顔で去って行く椋を見送った。
それから俺はテーブルに手を置いてから.....周りを見渡す。
その明るい世界を見渡す様に、だ。
そうしていると今度は、お兄さん、と声がした。
「楓さん」
「はい。お世話になっています。遂に来たんですね」
「.....そうだね。お世話になってます」
「はい」
言いながら椋の居た場所に腰掛ける楓さん。
それから、良いお店ですよね、とにこやかに俺を見てくる。
俺は頷きながら、こんなに良いお店があるとは思いませんでした、と言う。
すると楓さんはこんな事を小声で話してくれた。
「実は.....お姉ちゃんの為に創った場所です。この場所は.....お店は」
「.....そうなの!?」
「はい。.....このお店はお姉ちゃんの不安定な精神を安定させる為に創られたんです」
「そうなんだね。やっぱり椋も.....」
「はい。.....精神が本当に不安定でした。泣いたり怒ったりが、です」
でもその中で貴方と言う存在に出会った。
それは.....お姉ちゃんには良い薬になったと思います。
このお店を創った時よりもずっと、です。
言いつつ笑顔を浮かべながら俺を見つめてくる楓さん。
少しだけ悲しげに、だ。
「.....お姉ちゃんに告白してくれて有難うございました。.....お姉ちゃん凄くすっごく喜んでいましたので.....です」
「大切な人を愛している。それは重要だよ。だから気に.....」
そこまで言ってから楓さんを見て俺は驚愕した。
涙を浮かべて大粒の涙で泣き始めたから、だ。
号泣とは言わないがその大粒の涙をポロポロ流す。
お姉ちゃんの幸せを願っています.....、と言いながら、だ。
そして楓さんはこう言った。
「.....妹はその為に存在している筈ですから」
「.....君は.....君は本当に心優しいね。.....楓さん」
「私はただ単に嬉しいだけです。だから心から良かったと.....あの頃には戻りたく無いから.....」
「.....」
涙をティッシュで拭きながらだが。
まだまだ泣いてしまう楓さん。
俺はその姿にハンカチを渡した。
それから涙を拭ってもらう。
そして笑みを浮かべる。
「楓さん。本当に有難うね。.....君という存在も大切だから」
「そんな事を言うから.....お姉ちゃんが.....どれだけ貴方に恋しているか分かります。.....感じ取れます。.....ゴメンなさい。.....嬉しくてなどで涙が止まらない.....」
「.....」
そんな感じで接していると。
奥から椋がやって来た。
ケーキを持っている。
そしてコーヒーを一吾さんが持っている。
俺達を見ながら少しだけ顔を見合わせて驚いていたが。
数秒して納得した様にケーキを椋が。
コーヒーを一吾さんが置き始めた。
そして椋が楓さんに向く。
「お願い。.....楓。泣かないで」
「.....お姉ちゃん.....」
「.....ゴメン。.....そんな強い言葉。.....でも私も泣いちゃうから。泣かないで。お願い.....」
「うん。お姉ちゃん.....ゴメンなさい.....」
楓さんは席を譲りながら椋と抱き合ってからグスッと鼻を鳴らして笑みを浮かべる。
それを一吾さんと椋が確認してから。
俺の前の前にケーキが置かれる。
そのケーキは.....所謂、純粋なモンブランだった。
苦労をした末に.....このモンブランは出来たって事か、と思っていると。
「このモンブランはこの前、一緒に居たファミレスからヒントを得たケーキだよ」
「.....そうなの?椋」
「うん。.....悲しみの思いは全然入ってないから.....大丈夫。ゆっくり食べてね」
「.....そうか。.....有難うね。椋.....」
言いながら俺はモンブランとコーヒーを見てから外を眺め見る。
嫌な事も.....あったが。
それを上回るぐらいに幸せだな。
考えつつ.....笑みを浮かべた。
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