第16話 田中と首藤の祝福と世界の祝福と

正式に.....俺達は付き合う事になった。

それは俺の告白で、だ。

その事は.....早速だが椋が帰ってから綾香と楓さんに報告する。

すると2人とも心から喜んでくれた。


(本当におめでとう。お兄。まだまだ先は長いかも知れないけど.....乗り越えられるよ。2人ならきっと)


(有難うね。綾香。君のお陰でもあるから)


(そうだね。感謝してよ。とびっきりのお菓子ちょうだい)


(分かったよ。今度とびきりのお菓子を用意するから)


(うん。まあでも無理はしないでね)


そんな会話をしながら俺は夕焼け空を見る。

こんな俺だが.....本当に幸せだな。

そう思いながら、だ。

すると楓さんから今度はメッセージが入ってきた。

そのメッセージにはこう書かれている。


(おめでとう御座います。良かったです)


と。

俺はその言葉に笑みを浮かべて、有難う、とメッセージを送る。

君のお陰もあるから、と言いながら、だ。

すると楓さんは、いえ。全ては氷を溶かした貴方の手柄ですから、と遠慮がちにメッセージをくれる。

俺は言葉に苦笑した。


(でもそうなるともう恋人同士なんだよね?じゃあお友達に報告しなくて良いの?例えば田中さんとか首藤さんに)


(アイツらには学校で話す事にしてるからね。大丈夫だよ)


と思ったら。

電話が掛かってきた。

その主は.....田中と書かれている。


よく見れば音声通話じゃない。

画面通話である。

俺は?を浮かべて押してみると。

すると田中と首藤が映る。


『おめだぜ。雪歩』


『そうそう。おめでとうでヤンス』


「ちょっと待ってくれ。どういう事だ.....」


『俺らが何も知らんと思ったかこのアホ』


『何年の付き合いだこのボンクラ』


よく見れば。

巫山戯る2人の背後にケーキが並べられている。

そして食事も、だ。

ハァ.....もう知っていたって事か。

俺達の愛を見抜いていたのか。


「.....で?どうするの。そのケーキと食事。俺はそっちに居ないよ」


『これはな.....つまりこうすんだよ!!!!!』


『妬ましいテメェにな!!!!!.....って俺!?』


ケーキを思いっきり首藤に田中が打つけた。

それから怒り狂ったその首藤がやり合う。

俺はその姿を目を丸くして見ていたが。

あまりの事に笑いが止まらなくなってしまう。

何やってんだコイツら、と思いながら、だ。


「そうだ。田中。首藤」


『なんだ!今は忙しいんだよ!このバカを殺す!』


『やってみやがれこのタコ!ふざけやがって!全然と相談したシナリオと違うじゃねーか!!!!!』


『音無に殺されたらどうすんだよ!万が一コイツに打つけたらよ!!!!!』


「いやいや.....話を聞いてくれよ」


『ハァハァ.....いや。何だよ』


田中と首藤はケーキの生クリーム塗れになったままスマホを手に取る。

それから俺に向いてきた.....ヤバい。

お腹が痛いんだが.....。


コイツらバカなの?アホなの?

そんな首藤と田中に俺は頭を下げる。

そして笑みを浮かべた。


「田中と首藤。お前らのお陰でもあるからね。.....こうして結ばれたのは」


『おう。じゃあ100万円寄越せや。それで分かち合おうじゃないか心の友よ』


『それは良き考えですな。悪代官殿』


「.....お前ら祝ってんの?呪ってんの?どっちなの.....」


どっちかと言えば呪いたいけど。

でもな。俺達も良かったって思ってるよ。

と生クリームを拭きながら答える2人。

俺はその姿を見ながら涙を浮かべた。

そして唇を噛む。


『泣くなよ.....お前』


「ウルセェよこの馬鹿.....本当に.....有難うよ」


『ったく。しょうがねぇ相棒だぜ。お前は』


「.....首藤。有難う」


『これから先も祝ってやるからな。全く』


そのネタは古いぞ。

俺は思いながら苦笑する。

それから生クリーム塗れの2人を見てまた爆笑した。

するとそんな2人の実況中継の中。


コラァ!!!!!お前ら何やってんだぁ!!!!!、と女の人の怒号が聞こえた。

やっべ。母ちゃんだ!、と田中が青ざめる。

家の中だったのかよ!


俺は苦笑いを浮かべながら田中を見る。

田中は、すまん。切るぞ!、と言ってくる。

首藤も慌てて逃げ出した。

そして電話が切れてから.....今度は綾香からメッセージ。


(お兄?どうしたの?メッセージ送ったけど)


(ゴメンよ。田中と首藤の馬鹿に付き合っていたんだ)


(あ。そうなんだ。相変わらずかな)


(そうだね。相変わらずだよ。でも良かった。相変わらずで俺を迎えてくれた。全て知っていたみたいでね)


(そうなんだ。相変わらずだね)


ああそうだね、と言いながら会話する俺達。

すると椋からメッセージが来た。

ゴメン。椋から来たから、と綾香に言うと。

恋人同士は大変だ、と言いながらそのまま、分かった、と言いつつ切れた。

それからそれを確認してから直ぐに椋にメッセージを送る。


(どうしたの?)


(うん。話したくなったから)


(そうなんだ)


(ねえ。雪歩君。今度は私の家でデートしようよ。歓迎するよ)


(そうだね)


この事はお母さんとお父さんに話したから、と笑顔を浮かべる様にメッセージをくれる椋.....え.....ってか、え?

と思いながら青ざめる。

それって大丈夫なの?、と送ってしまった。

すると、うん。お父さんもお母さんも喜んでるよ、とスタンプとメッセージ。


(そうか。なら良かったけど)


(成長したんだね椋。大人になったね。だって。とても嬉しかった。だからお父さんもお母さんも歓迎しているから来てね。雪歩君)


(そうなんだね。優しいご両親だね本当に。君みたいだ)


(私みたい?)


(うん。君は特別な優しさがあるから)


もう。恥ずかしいよ、とメッセージを送って来る椋。

俺はそのメッセージに、アハハ、と返事を書く。

それから、ねえ。椋、とメッセージを送る。

すると、何?、と返事が来た。


(君は優しいね。有難う。こんな俺を好きになってくれて)


(前も言ったよ?それ。変な雪歩君)


(いや。今度は意味が違うよ。今度は本当に全てが嬉しいから)


(そうなんだ。うん。分かった。じゃあそう捉えるね)


(俺は君に出会って。全てに出会ってから世界が変わったよ。本当にね)


俺の中の灰色だった世界が色付く様に。

そのぐらいに全てが変わったのだ。

考えながら.....俺は椋にメッセージを送る。


すると椋は、嬉しい、と送って来てくれた。

そして俺に写真を送ってくる。

プリクラだ。


(また撮ろうよ。おもちゃ屋さんに行こう。きっと全部が違って見えるよ)


(それは確かにね。全部違って見えるよね。そうだね。行こうか)


(そうだね。君と一緒なら何処までも行けるよ)


そんな会話をしながら.....俺達は幸せな時間を過ごす。

するとインターフォンが鳴った。

俺は?を浮かべてから俺しか居ないのでそのまま玄関から出ると。


そこに田中と首藤が立っていた.....。

生クリームを拭いているが甘い匂いの、だ。

それに加え頭にたんこぶが.....出来ている。

互いに三発ぐらい。

えー.....。


「いや。.....何しに来たのお前ら.....」


「おう。丁度良い記念品を持ってきたぞ」


「そうだな。これを渡したくてな」


誰かからボコボコにされている2人から。

何かを受け取る俺。

白い箱だった。


それを開けると.....中にロケットペンダント、アルバムが。

俺は驚きながら顔を上げる。

田中も首藤も柔和な顔をしていた。


「アルバムは首藤。んでロケットペンダントは俺。.....思い出を作れよ」


「そうだぜ。相棒。まあ安物だけどな。アッハッハ」


「.....全く.....お前らという存在はね.....」


これのせいで涙が本当に止まらなくなった。

それから3人で肩を組み合う。

そしてハイタッチをする。

甘い香りがするがそんな事も気にならないぐらいに、だ。

そして笑顔を浮かべた。

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