第15話 乗り越えた先の雪歩の告白と.....愛している

いきなりだが。

そんな好きなモノと愛してるゲームを掛け合わせたゲームをしている最中の事だ。

本当にいきなりだった。

言っている最中に過去の事がいきなりフラッシュバック.....してしまったのだ。


というのも.....つまり俺の過去が一瞬だけ強くフラッシュバックした。

頭痛が出てしまいその事で一時的に休憩になる。

横になっている俺に心配そうに.....俺を覗き込んでくる.....椋。

そして涙を浮かべている。


「大丈夫.....?雪歩君。ゴメンね。無理させちゃったね」


「そうだね.....ゴメン。ちょっと疲れたみたいだね」


「そうなんだ。.....じゃあ私.....帰った方が良いのかな」


その言葉に.....何故か知らないが。

何故か簡単に、うん、とかは言えなかった。

違う言葉がすんなり出てくる。

その言葉は.....つまりこんな言葉だった。

喉に逆流した涙の涙声で、だ。


「駄目だ。帰らないでほしい.....」


「.....え.....」


「俺は.....君が居ないと駄目だ」


「それって.....どういう.....!?」


「.....」


咄嗟に出てきたのだが。

この言葉は.....どういう意味なのだろうか。

思いながら俺は考えたかったが。

そんな暇はこの瞬間には無い。

その為に俺は別の言葉を言おうとした。


「君が.....俺は.....!」


だが.....その際にもフラッシュバックする。

その昔の記憶が、だ。

それから頭痛.....故に頭を抱えてしまった。


慌てて寄り添って来る椋。

大丈夫。大丈夫だから!私は.....私が.....居るから!、と背中を優しく摩ってくれる。

それから彼女まで泣きそうな顔になる。


「.....椋。.....俺は.....!.....俺は!」


「大丈夫だよ。私が.....付いているから!」


何故その単語が出ない。

そのたった2文字が、だ。

思いながら俺は頭痛の最中、棚を見る。

そこに置かれている卒業アルバムの背表紙。

記憶を思い出した。



俺は心底、生真面目だった。

何時もずっと、だ。

生真面目だっていうのは.....要は俺の性格がガリ勉と同じだった、と言える。

そんな俺は.....とある最低の女子に恋をした。


生まれて初めて.....この女の子を守りたいと。

そう思ってしまったのだが.....彼女は最低だった。

全力を出して告白した俺を振った挙句。

その後にその事を書いた紙を壁に貼ったり噂をしたりして.....拡散したのだ。


お陰で俺はその小学校には居れなくなり転校を余儀なくされた。

イジメも始まったから、だ。

だけどそんな転校した学校でもなよっとしていてイジメられた、のだが。

そんな転校した小学校で出会ったのが.....田中と首藤だった。

俺の前に立ちはだかってこう言ったのだ。


『コラ!クソ馬鹿が!イジメすんなよ!!!!!』


『馬鹿か!?イジメなんて格好悪いだろ!!!!!』


2人のお陰でクラスは落ち着いた。

俺達はこの2人を今でも友人と思っている。

心の底から、だ。

最低な事はしてくるけど.....でも。


俺の大切な友達だ。

それから俺はこの2人の様に強くなろうと。

ガリ勉ばかりじゃない感じで居ようと思ったのだ。


だけど心の傷は癒えなかった。

つまり女子が苦手になってしまったのだ。

告白も怖くなったのだ。

だけど.....その中で.....出会ったのが。

優しげな笑みを浮かべた椋であったのだ。


でも俺は情けない。

その2文字すら言えない。

俺は.....椋を号泣しながら見た。


椋に伝えたい気持ちが出ない。

この気持ちは本物だと思う。

少し前から確信し始めたのだ。

絶対にこれは、と。


「大丈夫!私が居るから!お願い!そんな.....そんなに泣かないで.....泣かないで!そんなに泣かれたら私も悲しいよ.....」


「椋.....ゴメン」


「.....え」


俺は試しにその行動をした。

言葉で伝えられないのなら、と。

その行動とは椋の頬を持つ。

それからそのまま唇を唇で塞ぐ。

そしてキスをした。


椋は両頬を見て咄嗟の事に.....何が起きたか分かってない顔をしたが。

次の瞬間に目を回転させた。

それから唇を離す。

そして俺は俯く。


「椋。俺はね。.....言えないけど.....過去の事でトラウマで言えないけど。.....でも君を.....これをきっと。愛しているって言うんだろうけどね。俺は君にお弁当を作ってきてもらって.....そして君とデートして.....もう十分だと思ったんだ。気が付くのが遅かったけど.....馬鹿だよね」


「.....!」


「その頃からゲージが溜まり始めたんだ。気が付き始めたんだよね。そうだ。.....俺は君を愛しているって」


「.....それ.....そ、それ.....本当に?」


「.....うん。俺は君の事を大切にしたいって思う様になったんだ」


そうだ.....昔の事があって好きって言えないなら。

代わりの言葉。

愛している、と言えば良いのか。

俺は思いながら椋に笑みを浮かべた。

それから椋の手を優しく握る。


「あ、あり得ない.....好きなの?私.....の事。滅茶苦茶に嬉しい.....」


「俺は.....君を守りたい。.....だから君の側に居たいんだ」


「.....」


椋が泣き始めた。

それから啜り泣く。

嬉しいのか号泣し始めた。

えんえん、と、だ。

俺はそんな椋を強く抱き締める。


それから泣き腫らした後に。

俺達はお互いの顔を見た。

キスって不思議だな。

俺の.....過去を浄化してくれる様なそんな感覚だ。


「.....ねえ。雪歩君」


「.....何?」


「私、もう一回.....したい」


「それってキスを?.....は、恥ずかしいんだけ.....」


だがその唇が直ぐに唇で塞がれる。

それから俺の頬を持つ椋。

俺達はそのままキスを交わした。

お互いの感じで、だ。


「えへへ。えへ、えへへ。こんなに幸せな日は無いよ。他に」


「.....そうだね。.....俺にとっても最高の日になった。2つの意味で」


「え?」


「昔が全て浄化された感じだよ。.....君は不思議な子だね。本当に.....俺の為に居る様な.....君に会う為に生まれてきた様な。そんな感覚だよ」


「.....ちょ。そこまで.....恥ずかしい.....」


俺は頭を撫でる。

モジモジしながら赤面して俺のベッドに腰掛けている椋を、だ。

それから笑顔を浮かべた。

駄目だ可愛いな椋は。


「.....ね、ねえ」


「何?椋」


「.....私を好きになったのって.....一生懸命な所?」


「そうだね。アタックに負けたんじゃないかな」


「.....えへへ。じゃあ私の勝ちだね」


「そういう事かも.....うん」


それから俺達は見つめ合ってから。

そのまま手を握り合いながら、何しようか、などを話し合った。

そして笑みを浮かべる。

浮かべ合う。


過去は.....精算出来ない。

だけど俺は.....過去なんか忘れて一歩一歩を踏み出し。

それでも空に手を伸ばし。

そして彼女を守りたい。

そう.....心の底から思えた気がした。

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