第13話 お家デートの幕開け

椋は一生懸命だ。

だから俺はそんな椋を好きになりたいと思ったりした。

その為には、と思いながら俺は動く。

丁度だが綾香と一緒に、だ。

それから前払いのお菓子をあげてからやって来た。


ウサギの専門ショップに、だ。

取り敢えず椋の誕生日プレゼントを探したいと。

この場所にやって来たのだ。

それから見上げていると綾香が、お兄。誕生日プレゼントのセンスは大丈夫?、と聞いてきた。


「ああ。.....えっとね。ウサギのカチューシャでもあったらあげようと思う。.....彼女、髪の毛を整えているから。ずっと俺の為に」


「.....そうなんだ。じゃあそれで大丈夫だね。よしよし」


「でも綾香。色とかは協力してほしいな」


「うん。協力するよ。お兄の為だからね」


それから俺達は店内に入る.....が。

女性客ばかりだった。

これは綾香に来てもらって正解だったな。


思いながら俺は赤面で綾香を見る。

この程度で恥ずかしがるなんて〜、的な顔をしている。

全くコイツは。


「お兄もまだまだだね」


「五月蝿いな.....」


「ふふふ。お兄。.....取り敢えずはカチューシャでも見る?」


「そうだね。確かにそれは良いかもしれないね」


それから俺達は女性客の人混みをかき分けてから。

そのままカチューシャのコーナーにやって来る。

そこには色とりどりのカチューシャが並んでいた。

髪留めも、だ。

俺は赤緑青の様な感じで並んでいるカチューシャを片っ端から見ていく。


「どういうのが良いかな」


「.....そうだね。椋さんなら.....そうだね。.....赤かなって感じ」


「そうだよね。やっぱり」


赤色のリボンをしていた。

その事を思い出しながら.....赤で装飾されたカチューシャを見る。

それから手に取ってから、これを買おう、と思った。

すると綾香が、でもこれだけじゃ足りないよ、と言ってくる。


「だよね。.....やっぱりそう思うよね」


「うん。思う。.....だからぬいぐるみとか付けてあげて。サービス精神は大切だよ」


「.....うん。分かった。綾香がそう言うなら買おうかな」


「うむ。正しい選択じゃ。殿」


「何のキャラ?」


「ふふふ」


俺達は笑みを浮かべながらくすくすと笑い合った。

それから俺はぬいぐるみのコーナーに向かう。

店内の西側だ。

そこを見るとウサギの巨大なぬいぐるみとかが置いてあった。

その少し小さい方を見る。


「.....あまり大きなものは買わない方が良いよね」


「私の感覚だけど大きなものはあまり良く無いかも」


「そうなんだ。.....じゃあ中ぐらいのサイズで買おうかな」


「そうだね。それが良いと思うよ。お兄」


「じゃあ中ぐらいのサイズとカチューシャをプレゼントしようかな」


綾香は笑顔を浮かべながら俺に頷く。

その姿を見ながら俺は笑みを浮かべた。

そしてレジに並んでから購入する。

それから店から出る。

綾香を見た。


「改めてお礼がしたいけど.....どうしようか。綾香」


「じゃあ今度こそファミレスのチョコパフェで」


「.....そうだね。じゃあそれにしようか」


「うん。お兄。有難う」


「とんでもない。俺の方だよ。お礼は」


言いながら俺達は歩き出す。

それからファミレス。

近所のファミレスに向かう.....と。

楓さんがその近所のファミレスの店内に居た。

俺達を見ながら手を振る。


「.....あれ?この前居た.....人だよね?」


「うんそうだね。.....確かに」


「この場所に居るって事は.....一緒かな?」


「違うと思うよ。一緒だったら一緒って感じじゃないかな」


「それもそうだね」


そして俺達は店内に入ってから。

楓さんの所に向かう。

嫌な顔もせずに俺達を受け入れてくれた。

こんにちは、と言いながらニコニコしつつ、だ。

俺達は、こんにちは、と言いつつそのまま相席をする。


「もしかして早速ですか?」


「.....はい。楓さんのお陰です」


「ふふふ。感謝して下さいね」


「その。えっと。何か奢りましょう。お礼に」


「アハハ。そういうのは要らないですよ。お兄さん」


言いながら俺を見てくる楓さん。

それから俺の横に座っている綾香を確認する様に見る。

そして、もしかして貴方は.....、と笑みを浮かべる楓さん。

そういう貴方は、と言いながら楓さんを見る綾香。


「.....クスクス。お互いに大変ですね」


「.....そうですね。あはは」


何か通じ合う事がある様だ。

俺はその姿を見ながら.....柔和な感じになる。

すると.....楓さんが俺を見てきた。

有難う御座います。お姉ちゃんの為に、と。

そう言ってきた。


「.....大丈夫だよ。.....俺がしたいって言ったんだから」


「はい。.....でも感謝しかないです」


「.....そうか」


「.....はい」


そんな会話をしていると。

スマホにメッセージが入って来た。

今から会いたいな、という椋のメッセージ。

俺は目を丸くしてから綾香を見る。

覗き見ていた綾香は、行って来たら?、と言う。


「.....すまん綾香。お金だけ渡すから。これで食ってほしい」


「.....もー。仕方が無いんだから。お兄は」


「すまないね」


そして立ち上がって楓さんを見る。

綾香にプレゼントの事は任せる事にしよう。

思いながら楓さんを見つめる。

楓さんは笑みを浮かべて俺を見てくる。


「気を付けて行ってらっしゃいです」


「.....はい。じゃあすいませんけど.....綾香の事頼みます」


「もー。お兄。私は大人だから」


「.....まあそうだけどね。一応」


言いながら綾香の頭を撫でる。

綾香は、仕方が無い、的な顔をしてから。

プレゼントを横に置いてくれた。

その様子を見ながら楓さんを見てから頭を下げてそのまま駆け出して行く。

何処に居るの?、とメッセージを送った。


(今は家の前に居る。君の)


(じゃあそこで待ってて。行くから)


(うん。何処に行ってたの?)


(内緒だね)


(そっか。分かった。嫌なら聞かない)


俺は口角を上げる。

そして家の前に駆け出して行くと。

そこに椋が鞄を前に立っていた。


椋は俺に手を振ってから笑みを浮かべる。

待ったかな、と聞く俺。

だけど椋は首を振った。

それから、その。遊びに来たの、と言ってくる。

いきなりでゴメンなさい、とシュンとしながら、だ。


「.....ゴメンね。.....その。お家.....が見てみたいから.....迷惑かな」


「だ、大丈夫だけど.....少しだけ片して良いかな。汚いから」


「.....うん。分かった」


「あ、そうだ。椋」


「.....何?雪歩君?」


君は本当に.....良い女の子だね、と言いながら俺は柔和になる。

椋はボウッと赤面しながら、そ。そうかな、と恥じらった。

俺は笑みを浮かべながら.....家の中に入る。

それから片していった。

こんな家に椋は呼べないからな。


しかしこれって何だか.....お家デートみたいなんだが。

思いながら俺は心臓の鼓動を感じた。

ドクンドクンと高鳴っている。


かなり.....何だか.....その。

恥ずかしいとかあるから、だ。

いや.....それ以外にも。

何だろうこの気持ちは.....。

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