第9話 メニュー開発?orデート?(超改訂)
正直に言ってこんな所で.....音無に会うとは思わなかったな。
音無のイメージは何というか非常識かも知れないが図書館というイメージがあった。
その様なイメージなのでファミレスに誰か分からないが女性と2人で来ているイメージは湧かなかったのだ。
友人が居たんだな、と思う。
このファミレスに来たのは多分だけどメニューの開発の為かな、と考える。
俺はファミレスに入ってから少しだけ緊張しながら目の前の音無を見る。
目の前の椅子に腰掛けている音無は恥ずかしさ故か.....目を回している。
音無の前の椅子に促されたから座ったけどこれは完璧な相席だなって思う。
意識して無かったが、だ。
音無は座らせてから恥ずかしくなった様である。
そんな俺達の側では、何あのバカップル、的な恨めしい声がする。
そんなのじゃ無いんだが.....勘違いしないでほしいもんだな。
思いつつソイツらを見つつ意を決して音無に向いた。
気になっている部分があるので、だ。
「音無」
「は、はい.....!?」
「えっとゴメン。全然違う話だけど.....さっきからチラチラこっちを見てきている.....あの女の子は誰なのかな?」
俺は苦笑しながら話題を変える様に言う。
陰ながらだが俺は気が付いていた。
さっきの側から見ていた奴らとは違いコチラを頻繁にチラチラと見てきており.....音無を応援している様な感じの少女を、だ。
見た感じ中学生の様にも見える。
すると音無がその言葉にホッとする様に柔和に笑みを浮かべた。
そしてクスクスと笑う。
それから言ってきた。
「あ.....えっと.....私の妹だよ。アハハ」
「あ。そうなんだね。可愛い妹さんだね」
「えっとゴメンね。紹介が遅れて。.....友人とかじゃなくて私を応援するって言うから付いて来ちゃったの。あの子、君に気が付かれてないと思っていると思うけどね」
「アハハ。そうなんだな。音無。.....でも心配してくれる点は俺と同じだと思うよ」
「え?それってどういう意味?」
そんな言葉を音無に投げ掛けながら音無に見る様に促す感じで外を見る。
丁度.....このファミレスから離れて2メートルぐらいの所の電柱。
そこに綾香が電柱を背にして立っていた。
俺はその姿を見ながら苦笑する。
こっちを見守っている感じである。
まあその。
保育園の劇で保護者が見守っている様なそんな感じ。
俺は苦笑いを浮かべずにはいられない。
音無も笑顔になった。
「一緒だね」
「そう。だから気にしなくて良いんだ」
「うん。.....あ。その」
「?.....どうしたの?」
「それはそうと.....格好良いね。今日の君の服装」
「え?でもこれは.....普段の外出着だよ?」
音無はその言葉に、でもね。うん.....何だろう。恋をすると彼がどんな服装でも嬉しくなっちゃうんだよね、と笑みを浮かべる音無。
俺はその言葉に赤面しながら、そ。そうなんだ、と言う。
全くこの子は.....。
何時も何時も褒めるのが上手すぎるのだ。
「えっと.....そ、そうだ。何か注文しようか。音無」
「あ、うん.....そうだね」
「えっと.....何が食べたいかな?」
「そ、そうだね.....えっと。そうだね。私.....パフェが食べたいかも。.....SNSに自慢を投稿したいんだ」
「え?何の自慢?」
それはまあ。
こんな素晴らしい彼氏が居るって事をだよ、と花咲く様な笑顔を浮かべる音無。
そんな言葉に俺はボウッと火が点いた様に赤面した。
アルコールランプに火を灯す様な感じで、だ。
本当に音無という.....。
いくら惚れさせるって言っても.....自慢の彼氏ってそんなに自慢にならないと思うんだよな。
考えながら俺は苦笑しつつ音無を見る。
音無はその姿に、エヘヘ、と言う。
「私が大好きな人だから。.....だから一緒に記念を撮りたい。保存したい。共有したい」
「いや。お、音無。まあその。そんなに嬉しい言葉がボンボン出ると恥ずかしいんだけど.....」
「.....うん」
く.....可愛い。
キュンとする様な顔をする音無がである。
俺はその姿にまたトマトジュースでも顔にぶち撒けたかの様に赤面する。
可愛い過ぎるんだよな。
本当に困るぐらいに。
とても可愛いから記念にこの笑顔を写真に収めたい。
それぐらい可愛いもんだ。
するとそんな可愛い顔を止めてから音無が柔和に聞いてきた。
俺は?を浮かべる。
「そういえば.....田中くん」
「.....何?音無」
「まだ私を好きにならない?」
「そ、そうだね。.....やっぱり女の子はまだ苦手かな。俺にはよく分からない次元の生き物って感じがするから.....傷付けたりするんじゃないかって.....思って。よく泣いちゃうからね。女の子は。扱いがとても大切だから」
「そうなんだ。優しいね。君は。.....じゃあ克服していかないとね。そういうの」
更に言えば茨城の事だ。
その事で怖いと感じているのだ。
全てが壊れてしまうのではないか、と。
その意味で嫌なんだと思う、と説明した。
そんな音無は頷きながら。
何度も頷きながら説明を1から聞き漏らさずに真剣な顔で聞いてくれて.....少しだけ楽になった。
相変わらずだな、と思う。
「過去は.....変えられないけど.....今から未来は変えれるよ」
「音無.....」
「.....今は過去を振り返っても仕方が無いから.....田中くん。.....あ。そうだ」
「ん?何?」
「.....レーズンパフェとチョコパフェ。.....私にはどっちが似合っていると思うかな」
言いながらメニュー表を見せつける様に見せてくる音無。
俺は目を丸くしながら顎に手を添える。
それから、レーズンパフェは期間限定だから.....君のご両親の喫茶店のメニューのヒントが得られるかもよ?、と言ってみる。
すると音無は、うん。そうだね、と笑顔を浮かべた。
そしてメニューを引き上げる。
え?、と思いながらその姿を見る。
すると音無は、占いだよ、と言ってきた。
え?え?
「.....私ね。レーズンパフェが好きなの。レーズンパフェは実家でも作っているから。その意味は.....つまり私を選んでくれたって事だよね」
「.....!」
「わ、私も恥ずかしいからね」
「いや.....うん。.....もー」
音無め。
俺は赤面しながら音無を見る。
でもでもそれ以外にも意味はあるんだよ?、とニコニコしながら言ってくる。
その言葉に俺は首を傾げる。
すると音無は柔和になりながら、新しいメニューの開発だよ、と答える。
俺はハッとした。
そしてメニューを見てニコッとする。
「君の為に.....やったり。メニューも考えれた。一石二鳥だよね」
「.....音無.....」
「こうやって好きにしていくから。この先も」
「.....」
彼女はそう言いながらまた何度目かの笑顔を浮かべる。
俺はそんな彼女を見ながら虚しい気持ちになった。
こんな彼女が.....早めに側に居てくれたら。
幼稚園も小学校も中学時代にも。
破滅にならなくて良かったのかも知れない、と思いながら。
ただただ.....涙が浮かぶ。
一生懸命に俺に向いてくれる彼女に。
「泣かないで。田中くん」
「.....有難う。.....音無.....」
「うん。大丈夫。大丈夫だからね。これを情けないって思わないでね?大丈夫。君は.....私も幸せにしてみせるから」
「.....」
俺は.....、と思う。
情けないよなこうして泣いてしまうなんて、と。
そう思いながら俺は涙を一筋流した。
切り替えないと、と思いながら何とか顔を上げる。
ご両親の営んでいる喫茶店の参考になるかもしれないから、と付け加えながら俺は、チョコパフェも食べるよ、と言った。
音無は驚きながら目をパチパチしていたが途中から照れはじめた。
それからニコッとして、うん。分かった。有難う、と言う。
俺はその姿を見ながら.....真剣な顔をする。
「.....音無」
「.....何?田中君?」
「ゴメンな.....好きにならないで」
「怖い事は怖いんだから。恐れているんだから。.....仕方が無いよ。でも..... これだけは知ってほしいかも。.....私は他の女子とは絶対に違うからね。.....心から貴方を愛しています」
「.....音無.....」
俺は涙をまた浮かべる。
恥ずかしい事を平然と。
ひたすらな思いを俺に打つけてくれる。
思いながら俺は複雑な顔をした。
その中で音無は林檎が熟す様に赤くなってはにかんだ。
俺はその姿に涙を拭う。
必死に、だ。
音無もハンカチを渡してくる。
それからクスクスと笑い合った。
恥ずかしい.....けど。
でも.....感情が安定して楽になりつつあるな.....。
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