第7話 メッセージデート?orスタンプデート?(超改訂)

俺に女子とのそれなりの付き合い方を叩き込んだ綾香はそのままいっぱいのお菓子を袋に入れて持って帰って行った。

その姿を溜息混じりに見送ってから.....俺は、ヨシッ、と意気込む。

さて、と思いながら、である。


そして机の上に在るスマホを見つめる。

念力でも送るかの様に。

そしてバッとスマホを手に取った。

カルタでも弾くのかよ、的な感じで、であるが。


それから緊張する手でスマホに一文字一文字メッセージを打っていく。

その相手は.....当然だがアドレスを交換したばかりの音無である。

こんなにも緊張するのが何故なのか分からないが.....取り敢えず女子とのやり取りがあまりやった事が無いしな。

その為であろう。


「元気ですか。.....今日は楽しかったよ.....よし。どうだ」


そんな書いたメッセージを飛ばしてから。

綾香に言われた通りにスタンプもついでに送る。

教わった通り自信満々である。

これは完璧に近い。


個人間のやり取りなんだからあくまで業務用のメッセージにならない様にしないと、と綾香には人差し指を立ててキツく言われた。

だから頑張った.....のだが。

評価はどうなのであろうか.....。


すると.....音無から数秒してからメッセージが来る。

うん。とても楽しかった。私は久々にとても楽しめた、と。

それから満面の笑顔のスタンプを2個。

俺は目を丸くしてから。

笑みを浮かべる。


「.....」


それから音無に、今日は本当に有難う、と送ってみる。

すると音無は、私の誘い.....受けてくれて有難う。優しいね田中くんはやっぱり、とメッセージの返信が来た。


俺は少しだけそのメッセージに赤面しながらも。

何だか心から嬉しくなった。

これが女性とのやり取りなんだろうか。

すると音無がさらにメッセージを送ってくる。


(私ね。罰ゲームだけども君に告白されて良かった。その相手が私で良かった。いつか機会が有ったらって思っていたから)


(うん)


(私以外の女の子に告白したらショックだっただろうね。首藤くんと田中くんに心から感謝だね本当に。君にも感謝だよ。有難う)


(そうか)


俺は書きながら恥じらう。

そうだよな。時には良い事をするよなアイツらも。

まあ全て陰ながらだし本来は最低だけど、と思いながら苦笑しつつメッセージを打っていく。

するといきなり、ね。田中くん、とメッセージがきた。

俺は?を浮かべて見る。


(今度.....日曜日に是非とも来てくれない?ひだまりに)


(良いかもね。行こうか)


(やった。絶対に約束だよ)


(おう)


青ざめながら俺は服装などを。

そして窓に映った自分の顔を見る。

ヤバいんだが.....その。


どういう服装で行ったら良いんだ?

今週日曜日ってあっという間じゃないか?

自分自身が困るんだが.....!?


直ぐに来てしまう。

また綾香に助けを求めるか?

思いつつ見ていると、そういえば制服も全部夏服にもうなるね、と書いてきた。

俺は、そうだね、と返事を書く。

するとこんなメッセージが。


(夏服のデートもしようね)


(そうだね。.....確かにね)


青ざめた。

2回目であるが。

これはマズイ。

コーデも何も知らない俺が居る。

これはかなり.....青ざめるしかない。


(私はあくまで君を惚れさせるんだからね。だからずっと見ててね)


(この場では惚れさせてみてくれって言ったら良いかな)


(うん。それで良いよ)


『アンタ馬鹿なの?マジに』


小学校時代。

俺はアイツに。

茨城に、女子に散々に馬鹿にされて。

だけど.....ようやっとここまでやって来た気がする。

乗り越える時が.....来たんだ。


だから頑張らないといけない。

全てを乗り越えるんだ。

思いながら.....俺はメッセージを和かに見る。

それから強く頷く。

そうしていると.....メッセージが音無から来た。


(あ。ねえねえ田中くん)


(うん?)


(私ってどんな服装が似合うかなって思って)


(え?あ、えっと。え?)


(夏だとワンピースが基調だよね。でもそれだけじゃなくてTシャツにカットソーも良いかなって感じかな。あ!そうだ!!!!!良いこと思い付いた!今から着替えて写真送るからそれを見て評価してよ)


え?それって。

俺はボッと赤面する。

着替える、という点に関して、だ。


いかんいかん。

何故そこに反応する。

男だからか?全く。


俺は煩悩を除夜の鐘の突くヤツで打ち消す様にして直ぐにタップした。

文章を送って、分かった、と。

すると音無は、じゃあちょっとだけ待ってね、と笑顔を浮かべている様なメッセージを送ってきた。

俺は、ふむ、と思いながら待機する。


それから3分ぐらい経った時。

着替えが終わったのかポインと音がして写真が送られてきた。

その写真は.....Tシャツにカットソーの様な服装でヘアキャップを決めている。

俺は目をパチクリする。

音無のイメージが無い様な基調の服装だ。


「.....!」


何これ。

凄い可愛さだった。

俺は赤面しながらその写真をジッと見つめていると。

その。どうかな、とメッセージが来た。


こんなにも、音無、という固定観念のイメージが崩れるものか?

凄いな.....この子。

あくまで清楚なイメージしか無かったから。


って。イカンイカンと思い。

直ぐに、良いんじゃ無いかな。とっても可愛いよ、とメッセージを送ってみた。

すると、ふえ?そ、そう!?、と慌てたメッセージ。


そのままの予想通りの言葉だった。

大体慌てるか照れるかどっちかだろうと思ったのだ。

音無からメッセージが続け様にくる。


(か、可愛い?そんなこと言われた事無かったよ。ずっと)


(いや。とても可愛いと思う。俺は好み。音無は凄いね。イメージを壊すのが得意だ。服装のイメージをね)


(これただの外出着だよ?でも嬉しいよ)


(まだまだあるんだよね?楽しみだ。付き合うよ)


(有難う。優しいね。田中くんは。あはは)


これは.....その。

優しいのか?

分からないが付き合うのが楽しみだ。


俺に惚れている彼女もあるけど、と思いながら。

そして.....うん。

顔じゃなくて性格が可愛い女の子だから、だ。

全てが可愛い。

思っているとメッセージが来た。


(じゃあ次の服を出すね。ちょっと待っててね)


(うん。待つ。そういえばかなり可愛いのが見たいな)


(うん。じゃあ直ぐに可愛いの着る)


(え?あ。いや。そんな。本音が出てしまった。ゴメン)


(要望でしょう?だから着るよ。絶対に)


すんなり受け入れてくれた。

それから無言になる。

服を着替える為であろう。


俺はまたそのまま待機する。

すると今度はそんなに時間が掛からずして写真が。

その写真は.....さっきのコーデの別バージョンのコーデ。

何だこの.....可愛いさは!?


(フェイクレザーショートパンツっていうの。その。似合っているかな)


モノトーンの様なかなり可愛い感じのコーデだった。

俺は赤面しながら、似合っている、とゆっくり送ってみる。

というか。

恋する女の子ってみんなこんな感じでやる気ありありで動くのか?


俺は真っ赤に赤面しながら返事を待つ。

10秒ぐらい経った後に返事が来た。

恥ずかしいのだろう。


(有難う。嬉しい。とっても嬉しいよ)


(本当に君は何でも似合うね。というか選ぶのが上手いね)


(そうかな。普通だと思うけどね)


(でも上手だよ全部。上げてないけど.....うん)


そういえば何だか音無の言葉が弾んでいる。

俺は素直に聞いてみる。

やけに言葉が弾みを帯びてない?、と。

するとこんな返答がきた。


あ。御免なさい。とても嬉しくて人格を完全に忘れちゃった、と。

俺は目をまた丸くしてそのまま苦笑する。

そして、そうなんだ、と返事を送る。

すると頷きのウサギのスタンプが来た。


(田中くんと話していると何もかもが幸せだからね)


(そうですか?まあ有難う御座います)


(あはは。面白い田中くん。何言っているの?)


(こういうの全然慣れてないからね。ゴメン)


それからファッション大会は暫く続いた。

でもそれなりに付き合って最後に、当日のコーデは?、と聞くと、駄目。内緒、と言われてしまう。

あらら、と思いながら俺はまた苦笑した。

でも楽しみが増えたな、と思う。

それから俺は笑みを浮かべつつ窓から空を見上げた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る