第2話 クレープチャンス?(超編集)

何かおかしい気がするのだが。

一体何がおかしいかって言えばまあその。

俺みたいなモブがババ抜きで負けた罰ゲームとして学年一の美少女に色々あってナンパしてみたのだが。


そうしたらそのまま付き合うのがOKになったんだが一体どうなっている。

思いながら俺はその日の午後の授業を受けていた。

モヤモヤというか謎が多いな.....。

思いながら顎に手を添えて考えてみる。

俺の身を守る為に無謀な告白をしたのだが.....まさかである。


「.....」


学校一の美少女、音無椋。

俺は丁度.....壁際の席に居るその少女の横顔を見る。

そしてそのままノートに黒板の文章やら図形を書き写す。

チラ見してから考えつつ、だ。


一体.....何故だろうか。

こんな俺の告白を受けるのが本当に不思議でならない。

イケメンの男で50人ぐらい居る奴らがみんな告白して惨敗しているのに、だ。

なのでこんなモブの告白を受ける理由が見当たらない。

考えながら、うーん、と首を捻ってみる。


それから相変わらず鬱陶しい説明ばかりの数学教師の戸川の解説をそのまま聞き流しながら俺は窓から外を見る。

今日もそれなりにしとしとと雨が降っているな、と思いながら。

するとその時だった。


コツン


「.....?!」


頭に何かが打つかったのだが。

それから静かに地面に落ちる謎の物体。

拾い上げるとそれは.....なんと紙飛行機だった。

俺は?を浮かべてから拾い上げてからそのまま周りを見る。

すると唯一その紙飛行機を投げたのであろう音無だけが赤面しながら俺をチラチラ見ていた。

俺は首を再び傾げながら紙飛行機を見る。


「.....???」


俺は訳も分からないままだったが。

開いて的なアピールを音無がしていたので紙飛行機を広げた。

そこには、放課後空いてるかな?、と書かれている。

驚きながらだったが。


一応空いてるよ、と書いて横の首藤に頼んで音無に渡してもらってからそのまま音無を見てみる。

音無は受け取った紙を見てから手を叩いて嬉しそうな反応をする。

いちいち可愛いなその反応、と思いながら.....見ていると。

何かまた記載した。


「.....?」


それを横の首藤に渡してから笑みを浮かべる。

首藤は、いやお前ら何してんの?、という感じで?を浮かべながら俺にそのまま渡して来てくれる。

いや。申し訳無い、と思いつつ頭を下げてそれを受け取ってから俺は戸川が黒板を書くのに集中しているのを見つつ。

また紙を開いて見るとそこにはこう記載があった。


(放課後に一緒にクレープを食べないかな?)


と、であるが.....え?

俺は目をパチクリしながら確認の為に音無をもう一度見る。

音無は.....赤面しながら俺を見ていた。

その姿に俺は少しだけ赤くなる。

オイオイ、と思いながらだったが.....。


期待する返事を待っている、と問題を書く為か前に集中して向く音無。

ふり、の様にしか見えないが.....。

俺はその事に再び顎に手を添えて考えてみる。

これはデートの誘いの様に見えるのだが。

え?でも実際にそうなのか?


「.....」


しかしクレープって。

そんなの.....本気の恋人じゃないか。

俺はあくまでナンパした挙句の告白をしただけだが。

これはどうしたものか.....。

罪悪感が襲ってくる。


なので本気で誤解してしまうのだが.....どうしたものかな。

思いながらも.....俺は悩んでいたが.....ゆっくり書き記す。

考えて、考えて書いた。


女の子とその。

2人きりなのが辛いが.....でもこのまま断って食べないと怪しまれそうだからな。

そんな事になったらマズい。

考えてから俺は.....返事を書き終えた。


(分かった。食べようか)


と音無に向けて、である。

それから俺は横にいる眉を顰めている首藤を介して音無に紙を回した。

すると紙を受け取った音無は微笑みを浮かべてから嬉しそうに小さくガッツポーズをしながらニコニコし始める。


本当に何だろうあの反応。

何故.....そんなに嬉しそうなんだ?

まるで俺と出会っていた様な感じの喜びじゃないか?

思いながら俺は考え込む。


すると後ろの首藤が青ざめて指差していた。

何事かと思うと目の前に戸川が立って.....いる。

俺は一気に、ファ、と青ざめた。

眉を顰めている戸川先生。

あらまぁ.....。


「田中。随分と楽しそうじゃないか」


「戸川先生.....いや?楽しさはそこそこですね」


「ふむそうか。.....立っとくか?それとも難しい問題を解くか?何方が良いかな。罰としては」


「まあそうですね。何方かといえば問題を解く方が良いかもしれないです。その。あと30分近く立っておくのはキツイですしね」


教室中から俺に対して大笑いが出る。

音無が少しだけ悪い感じで俺を見ている。

俺はその顔を見て苦笑しながら少しだけ赤面しながら頬を掻いた。


それから.....指示された問題を解く為にそのまま立ち上がってから黒板に向かって約束通り難しい問題を解いた。

取り敢えず学んでいて正解だったなこの部分と思いながら。

空間図形である。


しかし全くな。戸川の奴め。

恥をかいてしまったじゃないか。

と逆恨みの様に横で戸川を見ながら俺は授業を受け続ける。

戸川は監視の為か俺をジッと見ていた。


因みにこの後の話だが音無が謝って来た。

悪いと思っていた様だ。

でも音無は悪くない。

俺が悪いしな.....うん。



「そのすまん。.....田中。.....それから首藤。俺は今日、クレープを食ってくる。音無と約束しているから」


「マジかよ。割とマジに巫山戯るなって感じだが.....まあしかし嘘告白からここまで発展するとは.....。好きでも無い相手なのにお前さんも大変だな」


「.....だなぁ」


そして、まあ気を付けてな、と言いながら田中と首藤はそのまま帰った。

取り敢えずは身を引いてやるよ、的な感じで.....というかこれはお前らのせいもあるんだけどな.....。

顔を引き攣らせながら俺はそのまま教室に戻り掃除当番の音無を見る。


音無は夕焼け空の中で1人で掃除していた。

っていうかひでぇなオイ。

掃除当番の奴らみんな音無に押し付けてから帰りやがったのかよ。


俺は盛大に溜息を吐いてそのままロッカーから箒を持って来て握った。

ちりとりとかも持って来る。

それから床の掃除をする。

音無が驚きの顔で俺を見てきた。


「え!?」


「大丈夫か。俺も手伝うから終わらせよう。時間短縮にもなるしな」


「でも私の担当だよ?これ.....悪いよ」


「.....良いから。せっかく俺も居るしな。こんなつまらない事とっとと終わらせようぜ」


それから俺は笑みを浮かべて音無と夕焼けの中2人で掃除をする。

俺と音無だけになっている教室にオレンジ色の光が差し込んでくる。

少しだけ考える時間にもなったな。

その様に考える。


でも何だか少しだけ場違いに感じるので早く終わらせよう。

すると音無が俺にゆっくりと尋ねてきた。

モジモジしつつ、であるが。

俺は顔を上げて音無を見てみる。


「私と付き合うの.....その.....改めて聞くけど嫌じゃない?」


「え?いや。そんな事はないけど.....逆に聞きたいかもしれない。何故俺と付き合う事を.....承諾してくれたんだ?」


「私は.....そうだね。.....えっと」


えっとね。私は.....、と言ったが。

その先を結局はぐらかす様にして言わなかった。

それから黙ってから.....そのまま掃除を続けていく音無。

俺は、???、と浮かべながらそのまま掃除に戻ろうとした時。


ボソッと、大切な君だから、と聞こえた気がした。

俺は背後を見るが音無は掃除にそのまま集中している様に見える。

聞き間違えか、と思いながら俺はそのまま掃除を続けた。

それから窓から外を見る。



掃除が終わったので俺達はそのまま学校から移動を開始した。

少しだけ時間が遅くなってしまったが.....まあ良いか。

約束していたクレープ屋に行く為に歩く。

歩きながら右横の音無を見る。


音無は嬉しそうに俺と一緒に歩いていた。

何だか鼻歌でも歌い出しそうな感じである。

手を繋いでは無いが恋人の感覚の様であり.....恥ずかしさもある。

何故なのだろう。

音無は.....何故俺にこんなに懐いているのだろうか?


そんな音無は俺を時折だが見上げてくる。

笑みを浮かべながら。

何か顔に変なものが付いているのか?、と思いながら俺は顔を触ったりするが音無はそんな事じゃない様な感じで前を見る。

そして歩く。


しかしそれはそうとその.....本当に。

なんかドキドキするな。

何だか女子と2人きりだしな.....うん。

考えながら俺は胸に手を添える。

そして考える。


俺は女子を嫌っている筈だ。

そして告白を受け入れるつもりは無かった。

のだが。

恋ってのはそんな事までも変えてしまうのか?

そんな哲学っぽい事を考えていると音無が俺に恥じらう様な姿で向いてきた。


「ね、ねえ。.....今日は何で付いて来てくれたの」


「え?あ、えっと。えっと。.....それは勿論.....恋人同士だから.....だよ」


「.....!」


「俺は君と恋人同士になったから行くんだ。それに行ってみたいって思ったから.....うん。そうだ」


何だよそれ。

嘘ばっかりだな俺は。

音無はその言葉に顔をかなり赤くしながら.....俺を見てくる。


これは駄目だ。

本当の事を言い辛くなってしまう.....。

言えない。


だってそうだろ。

俺は昔からずっと嘘ばっかりだなって思う。

傷を隠して.....嘘ばっかりだ。

だからアイツらに助けられたんだから。

思いながら俺は唇を噛む。


でも嘘の告白で騙す様に付き合うなんて.....悪いのに言い出せない。

こんな時間が楽しいと少しだけでも感じている自分が居て、だ。

狂っているんじゃないか俺は?

何か歯車でも飛んでしまったのだろうか。


本格的な馬鹿野郎だなと思う。

俺も.....。

その様に考えながら眉を顰めていると音無が見てきた。

そして言ってくる。


「私から愛の質問しても良いかな」


「え?愛の.....え?な、何でしょうか?」


「私の何処が.....その。好きになったの?」


「え.....あ.....えっと.....」


駄目だ.....割とマジに困った質問だ。

本格的に困ったな.....、と思いながらそのまま歩いていると俺達はクレープ屋に到着してしまった。

悩む俺。

心の底から悩んでしまう。


それから顎に手を添えて考える。

頭にあるものを整理してずっと考えて。

そして納得して答えた。


周りに居るカップルも見て。

茨城に言った事を.....全て再編した。

それから話す。


「俺は.....君の顔じゃなくて.....君の心に惹かれたって言えるかもしれない」


「.....え.....」


本当に.....その。

取り繕いの言葉かもしれない。

答えが合っているかどうかは分からない。

だけど.....これが多分答えだと思うんだ。


昔、茨城に言っていたから。

皮肉なもんだな。

そんな事を再編して言うなんて、だ。

俺は可憐な華に応える様なそんな感じで応える。

すると音無は赤面した。


「そ、そう.....なんだ」


と、だ。

それから何だか潤んだ目でそのまま俯く音無。

あれ?これは何か間違えたか?、と思いながらそのまま音無を慌てて見る。

これ以上の答えなんて、と思いながら。


すると音無は満面の笑顔で顔を思いっきり上げた。

その顔は本当に心からホッとした様な.....そんな顔だ。

俺は、!、と浮かべて見る。

そして音無は俺に柔和になった。


「有難う。こんな無愛想な私にそう言ってくれるなんて.....本当に嬉しい」


「.....!.....えっと。これが正しい表現かどうか分からないけどな。.....喜んでくれて嬉しいかもしれない。有難う」


「大丈夫。君は昔から変わらないね」


「.....そ、そう.....え?」


言ってから数秒後にハッとした音無。

それから音無は赤くなって静かに俯く。

音無はそれから数秒して、く。クレープ買いに行こう!このままだと遅くなる!、と掻き消す様な、アハハ、と大声で言ってくる。


今の言葉は何だったのだろうか。

それに何かその姿にかなりドキドキするのだがこれは嘘か本当か?

どっちの感情なんだろうか?そして.....嘘じゃなかった.....ら?

いやまあそれは無いか。

だけど。

俺は思いながら.....心臓をドキドキさせながらクレープ屋に向かった。

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