第9話 ウォッカ
グラスに、透き通ったウォッカが注がれた。
香りがなく、フレーバーも全く感じない。お酒特有の癖がある香りもなく、水のように違和感がない。
口に付ける。本当に一切の癖がなく、まさに水のような澄んだ味だ。
しかし口に触れたところから、燃えるような熱さを感じる。喉が熱い。他のお酒にはないアルコールの温かさ。
飲み込むと、全身に熱が回る。まるで命が燃えるような、体の芯に焚火があるような温かさを体内に感じる。
まさに『命の水』だ。
俺はそう思った。
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