第8話 ギムレット

バーカウンターにギムレットが置かれた。

私はそれを手に取る。液体は灰色っぽい白で、カクテルグラスに入っている様子は上品な美しさがあった。

一口、口を付ける。

辛口のジンと、ライムがマッチして、鋭い切れ味の辛みを感じる。

ただ辛いだけではなく、シュガーシロップの甘みや、ライムの酸味が混ざり音楽の副旋律のように辛味に寄り添う。

だが鋭い切れ味の辛みは決して鈍ることはなく、辛口のジンの鋭い味が舌の上で踊る。

シュガーシロップの甘みは、辛味で押さえられ、舌の上に残ることはなく、すっきりした後味となる。

俺はももう一献、口に含んだ。

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