第7話 ジン・トニック
バーに入る。
俺は一番端の席に座った。この席は私の定位置だ。このバーに通ってもう十年になるが、この席以外の席に座ったことはない。
「ジン・トニックを」
俺が慣れた口調で言うと、バーテンダーは一礼して、タンブラーを取り出した。
そこに氷を入れると、ドライ・ジンを注いでバー・スプーンで軽く混ぜた。少しツーンとする、爽やかな香りが広がる。
そこに冷えたトニック・ウォーターを注ぎ込む。今度は柔らかい柑橘系の香りが広がる。ライムをカットし、グラスの縁に飾った。
バーカウンターにジン・トニックが置かれた。
俺はライムを絞って、それを口に付ける。
ドライ・ジンの、少し苦いけど爽やかな甘さのある上品な味に、トニックウォーターの香草や、柑橘系の爽やかな甘みと苦みが混ざり合う。
さらにライムの一癖ある苦みと、酸味が混ざることで、シンプルながらも爽やかで、水のようにすっと入ってくる上品な味が作り出される。
ここのバーテンダーは腕がいい。
俺は滑らかなジン・トニック。このバーに来た時、最初に飲んでそれからこのバーの常連になった一杯をゆっくりと味わった。
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