寝るまで囁き続ける
綾香をベットまで運んで寝る体勢をとらせ、自分も寝る体勢をとる。昨日は綾香が俺の上に乗って色々されたけど今日は俺が後ろから抱きかかえるようにして寝転がる。
「こうやって冬夜くんからぎゅーってされるの好き」
「それはよかった」
「んっ……耳に息が当たってくすぐったいね」
「綾香がしろって言ったんだけど?」
「そうだけど、ちょっと恥ずかしくなってきた」
「じゃあやめるか?」
「ううん、私が寝るまでちゃんとやってよ」
「ちぇっ」
もしかしたらやめてくれないかなと期待を込めていってみたけど当然やめてくれるわけないのでやることは確定してしまう。
「んじゃそろそろ電気切るぞ」
「うん」
部屋の電気を完全に消して綾香をさっきまでより強く抱きしめる。それだけで綾香はビクッと体を跳ねさせて強張らせる。俺はその緊張をほぐすというより溶かすようにやさしく綾香に囁く。
「体から力抜いて」
「ふぅ……」
「ゆっくり息を吐いて、俺に委ねて」
「……うん」
綾香の強張っていた体から力が抜けていく。そして俺の体にさらに密着するように体を寄せてくる。さっきよりも綾香のぬくもりを確かに感じて心臓がバクバクと音を立てる。綾香に聞こえてるんじゃないかってぐらいにうるさくこれからのことが少し不安になる。
「じゃあいくよ?」
「うん」
「好きだよ、あや」
「っ……」
「好きだ、愛してる。ずっと一緒にいて欲しい」
綾香の耳元でそう囁き続ける。うるさくない程度に心地よく感じれるように囁く。話すたびに綾香が体をビクビクと震わせてさっき抜けたはずの強張りが戻ってくる。
「ほら、力抜いて」
「う、うん」
「震えてるの可愛いね」
「ふぁぁぁ……」
今度はどんどん力が抜けていきうずくまるように丸まっていく。俺はそんな綾香を逃がさないとばかりにより強く抱きしめて自分に引き寄せる。
今度は息を吹きかけつつさらに綾香に言葉をささげる。こういう時に言える語彙が少ないから同じことの繰り返しになってしまうのが辛いがそれが気にならないように愛を伝えようとする。
「好きだよ、あやはどう思ってる?」
「わ、私もっすきだよっ……っふ……」
「ありがと」
「ひゃあ!?」
耳を咥えてそのまま軽く噛む。それを痛くならないように続けて綾香の耳を咥えはむはむと噛み続ける。
「あっ、ふあっ……とうやくっ、それっだめっ……!」
「そんな反応されたらもっとしたくなるな」
「っん!?」
耳だけじゃなくてお腹のあたりを一緒ぬに撫でていく。突然のことにびっくりしたのか大きく体を跳ねさせる。そして耐えるようにぷるぷると震えだす。
「早く寝ないと明日がたいへんだぞ?」
「わかっ、てるよぉ……けどむりぃ……」
どんどん蕩けていって少し涙目になっているほどだ。それがさらに俺の欲を刺激して俺はもっと綾香のことを虐めたくなる。
「ほらもっとするよ」
「これいじょうはっ……もたないっから……」
それから俺は綾香が眠るまでずっと虐め続けた。……多分寝たんじゃなくて寝落ちしたに近いと思うけど。
「……寝たかな?」
顔を真っ赤にして息もすこし荒げているがそれも落ち着き始めていて多分寝てしまったのだろうと察する。
「寝顔も可愛いな」
距離感はさっきまでと変わっておらず綾香は俺の腕の中に包まれるようにして寝ている。だから俺がなにか喋ると耳元で囁いてるようになるけどまぁ仕方ないよな。
「綾香、大好きだよ。愛してる」
俺は寝てしまったのをいいことに独り言のように愛を囁く。
「ずっと大切にするから。幸せにするから。だからずっと傍にいてくれよ……?」
返答は帰ってこないが、俺は若干にやけた綾香の顔を見て納得し目を閉じた。
ーー綾香ーー
冬夜くんに愛を囁かれ続けること約1時間。時計は見てないけど多分それぐらいだと思う。体感だからもっと長いかもだし短いかもだけど。
私は耐えきれなくなって寝たふりをすることにした。し始めたのはもっと前だけど冬夜くんがなかなか気づいてくれなくて本当に辛かった。もう足腰立たないし体も心もドロドロに溶かされている。
少し落ち着けてから寝ようと思って油断していた私に冬夜くんから声が降ってくる。
「寝顔も可愛いな」
突然のことに体が硬直する。幸いそのおかげか顔には出なかったけど、かなりまずい。冬夜くんは私が寝たと思っているのだ。つまりここから何を言われるかわからない。
「綾香、大好きだよ。愛してる」
さっきまでのように愛を囁かれてまた体が強張る。今度はすこし覚悟していたこともあって顔も少しにやけてくる。
「ずっと大切にするから。幸せにするから。だからずっと傍にいてくれよ……?」
つい起きて冬夜くんに正面から抱きつきたい衝動に駆られるがそれをグッと抑えて私は顔を緩ませる。今はこんな反応しかできないけどいつかきちんと返せるといいなと思って私は今度こそ意識を手放した。
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