勉強会


 どうにか心を落ち着けてリビングに戻るとなんとか説得し終えた綾香と詩乃ちゃんがいた。ちょいちょい声が聞こえていたから相当頑張ったのだろう。


「あ、冬夜くんおかえり」

「ただいま」


 どこかに出かけてたわけじゃないけどそう言って俺は席に着く。


「説得は終わったか?」

「なんとかね……勘違いすごかったよ……」

「あの状況は誰が見てもそういうことをする直前ですよ?」

「確しかに俺は半脱ぎだったし、お互い息が荒かったし、なんなら色々当たってたけど」


 言ってて気づくがあの状況ってどう考えても言い訳できなかったのでは?詩乃ちゃんの言った通り完全にそういうことをする直前だったのでは?


「……そりゃ勘違いもするか」

「わかってくれましたか」

「普通に考えたらする直前だわ」

「私のこと忘れて始めてしまったのかと思いましたよ」

「流石にそれはしない」

「いなかったらしてましたか?」

「卒業まで待つから、それまで俺の理性に頑張ってもらうから」

「それもつんですか」

「綾香が誘惑しなかったら」

「絶対もちませんよね」


 もつ自信ないけどもたせるから!だから最近綾香の誘惑がどんどん激しくなってきているのをどうにかしないといけない。極端だけど禁止令でも出した方がいいんじゃないんだろうか。


「そんな冬夜くんにお知らせです」

「なに?」

「実は私はまだまだ成長途中です」

「それは聞きたくなかった」

「ちなみに冬夜くんにあってから成長速度は伸びてるよ」

「……原因わかってよかったな」

「水着が楽しみだね?」

「俺はちょっと絶望が増したぞ」

「大丈夫?おっp―――」

「言わせねぇよ?」


 確実にやばいことを言いそうな雰囲気だったので無理やり口を塞いで言うのをやめさせる。


「やっぱり私帰りましょうか?」

「お願いだからいてください」


 帰ろうとした詩乃ちゃんに懇願して引き留める。すでに部屋にこもって寝たくなったが勉強会もあるので頑張らなきゃと気を引き締めた。






 綾香も朝ごはんを食べ終えてお昼まで勉強の続きをする。夕方ぐらいまで詩乃ちゃんはいるそうなのでテストはお昼からにした。2人は今昨日の復習と今日やるテストの勉強をしている。2人とも普通に勉強するのは間に合っているだろう俺のテストに集中しても問題ないだろう。


 そして俺はそれを横目に見ながら……特になにもしていなかった。テストは昨日作り終えてるから今やることもないし、2人に教えるのも今は大丈夫って言われたからやることないし、かなり暇である。スマホで謎の放置ゲーを入れて遊ぶぐらいには暇である。


 そのゲームも飽きてすぐにアンインストールしてしまっていよいよやることがなくなる。時間を見るとお昼を作るにも少し早い時間だ。けどすることがなさすぎるのでお昼を作ることにする。


「ちょっと早いけどお昼作っていいか?」

「いいよ~」

「お願いします」


 一応2人に許可を取ってからお昼ご飯の準備に取り掛かる。






 お昼ご飯を食べ終えていよいよテストに取り掛かる。俺は2人がテストをしている間に家事をする。ちなみお昼はラザニアとコンソメスープで絶賛してもらった。ラザニアっておいしいよな。昔給食で出てきた時はテンションが上がったものだ。


 と昔を懐かしみつつ洗い物をする。流石に30分もかからないので終わったらちょっと休憩。洗濯物はもうう少し干していたいし


 ソファに座って目を瞑っているとアラームの後が鳴り目を覚ます。それはテストが終わったことを示すもので少しだけ寝ていたことを知る。


「おはよ、冬夜くん」

「おはよ、テストはできたか?」

「まぁまぁかな」

「んじゃ採点しようか」


 2人から解答用紙を受け取って採点をしていく。朝は色々あってドタバタしていたがさすがというところだろう、しっかり切り替えて高い正答率を誇っている。綾香は変なミスしてるが。


「なぁ……」

「なに?」

「この漢字なに?」

「えっ……えぇーっと……」


 雰囲気はあってるけど微妙に違う造語を書いている。


「間違えるようなとこじゃないと思うけど……」

「ど忘れして思い出せなかったんだよね」

「本番でないようにしろよ」

「朝冬夜くんがドキドキさせてこなかったら大丈夫だよ」

「俺のせいなの!?」

「今日も冬夜くんと色々したし……」

「いや綾香が誘惑してきてるからな、綾香がなにもしてこなかったら俺もしないからな」

「……自制できるように頑張ります」

「そうしてくれ、んで詩乃ちゃんはすごいな。満点だ」

「色々あって集中できたので」

「……なんかだどっちを取るか迷うな」

「当日朝2人をみれたら私本気だしますよ」

「いちゃついてるって前提があるけどな」

「それしたら私が今みたいなミスするよ?」

「今から綾香のこと甘やかしつづけるか」

「えっ?」

「そうしてくれたら私は本気でますよ」

「じゃ綾香のこと溶かすか」

「その表現使われたことないけど!?えっ私なにされるの?」


 驚いている綾香を放ってそのまま抱きかかえる。そしてキスするように顔を徐々に近づけていく。


「えっ、ちょっ……えっ」

「ほらいくぞ」


 そうして綾香の額にデコピンをする。


「あたっ!?」

「変なミスしたおしおきな。次やったらデコピン2発だから」

「……はぁい」


 嬉しいような嬉しくないような顔をしている綾香を椅子に戻して俺たちは勉強会を再開した。

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